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ファミコン高速化


 ディジタル回路を学ぶと分かると思いますが、データを送ったりするにはクロックパルスが必要ですね。PCの性能のお話にも出てくるので分かる方は多いでしょう。このクロックパルスが速ければ速いほど、ディジタル回路の動きは速くなります。そこでこれを速くしたのです。
 ファミコンの場合クロックパルスは、水晶発振回路で発生させています。だから最初は水晶振動子を速い物に交換するだけでできるかと思い、やってみましたが、できませんでした。そこで、もっと強制的に速いクロックパルスを送ろうと、水晶発振器を付けてみました。

 水晶発振器を真上から見ています。4本の足があり、左上が+5V、右上が出力、右下がGND、左下は何もつなぎません。これだけでクロックを発生させられます。  本体に組み込んだところです。水晶発振器はICソケットを使ってつなぎました。水晶発振器の出力は100Ω位の抵抗を通して丸印のところにつないであります。私のは新しい基板ですが、古い物ではCLKと書いてあるので分かると思います。水晶発振器の電源は別にスイッチを設けて、速いクロックを送るかどうか簡単に切り替えられるようにしました。しかし、ゲーム中に切り替えると暴走しやすいです。


 ファミコン本体はこれだけで速くなるのですが、大きな問題があります。それは、テレビには映せないということです。ゲーム関係の本でも時々「秒間60コマ」などと書かれていますが、テレビは毎秒60回の速さ(60フィールド、30フレームだっけ? ファミコンでは飛び越し走査を利用しないので60フレーム。)で影像を描いています。ゲーム機もそれに合わせて作られているのに、速さを変えてしまっては映るはずないのです。しかし変なことを思い付きました。2倍速にすればテレビは1倍速のつもりで映し出し、なんとか見えるのではないかと。ファミコンの水晶振動子は21.47727MHzです。2倍というと43MHz位になるのですが、こんな水晶発振器はありませんでした。しかたなく40MHzの物を購入し、試してみました。約1.86倍速です。テレビは毎秒約56回の速さで動いてくれました。しかし垂直同期は取れましたが、水平同期は取れませんでした。テレビを開け、水平同期調整つまみを回したら水平同期も取れ、見えるようになりました。感電に注意!(注:「同期を取る」 垂直方向、水平方向に、いつから描き始めるのか、タイミングを取ること。)そうそう、映像信号が速くなっているのでカラーでは映らないことも忘れてはいけませんね。

 約1.86倍速にしたファミコンをそのままテレビに映したら水平同期は取れませんでした。だいたいこんな風に見えます。  テレビの水平同期調整つまみを回して同期は両方とも取れました。だいたいこんな風に見えます。逆に普通のテレビ放送などが同期が取れなくなります。


 縦のドット数は走査線数で決まることもあり、更に速くしてしまったことで例えば8×8ドットでできている文字は8×4ドットに分かれてしまい、とても読みにくくなります。(注:「走査線」 映像を構成する水平線。テレビの映像は線の集まりです。)


 しばらくはそのまま遊んでいましたが、あまりにも不便で見辛いので徐々に改善策を練っています。 テレビには映せなくてもパソコン用ディスプレイを使って映しました。水平発振周波数24kHz、垂直発振周波数60Hzの古い98シリーズ用ディスプレイにつないだところ、約29kHzでも水平同期が取れ、文字が読み辛いという問題が改善されました。垂直の方はテレビと同様です。

 パソコン用ディスプレイ、NECのPC−KD882に映したところです。写真では見辛いですが、白黒でもはっきり見えますよ。
 このシーンの音楽です。よかったらダウンロードしてください。 fastff3.mp3 136kB
 映像信号をパソコン用ディスプレイにつなぐためのキットです。カラー化の予定が無ければ必要ありません。まだいじる予定があるので、きちんとつないでないところがあります。この回路の電源には、高校2年生の時に実習で作った直流安定化電源を使っています。(役立つなぁ。)
 このキット、そのままではRPGのマップやSマリオの地上面のような全体が明るい場面でよく見えません。オシロであちこち当たっていて見つけた偶然なのですが、ICの写真上側左から3番目の足から1MΩの抵抗をつなぎ、それをGNDにもっていくと良く見えるようになりました。


 ここまでしか試していませんが、更に試してみたいと思っています。水平発振周波数31.5kHz、垂直発振周波数120Hzの組み合わせて映るディスプレイを使う、カラー化・・・などなど。

 速くなったファミコンで遊んでみた感想(?)です。ファイナルファンタジー3とドラゴンクエスト3や4で経験値を稼ぐのが楽になったのは良かったです。速いボタン操作が必要なシューティングなどはとてもできません。マリオブラザーズは程良く忙しくて楽しめました。しかし全ての音も速くなるので雰囲気はぶち壊しです。動かないゲーム、セーブデータが壊れるゲームも多くあります。また、同じゲームでもカセットによって動いたり動かなかったりするようです。
 この高速ファミコンをテレビに映す方法、そして、クロックアップを利用することで処理落ちし難いファミコンへの改造が目標です。原理的にできるものかどうかも分かりませんが・・・。

 今回の速さでのカラー化はかなり難しそうです。映像信号が速くなった分、他の部分も速くすればちょっと不安定ながら色が出ることは確かめられました。しかし、今回の速さ(色副搬送波6.666MHz)に合う水晶振動子は売っていませんので、速さを取るか、色を取るかみたいな問題にう〜むです。(どこかのHPでSFCでやってたような)
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 後から思ったんだけど、水晶振動子に合ったコンデンサを付ければ、それでも動いたのかなぁ?とか・・・。