2008年6月26日付け
北朝鮮に対するテロ国家支援指定解除に関連した、
ブッシュ大統領演説の要旨
President Bush Discusses North Korea
北朝鮮に関する記者会見
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2008/06/20080626-9.html (原文)
超訳。
ブッシュ演説の要点(以下は、這い寄る混沌氏による、ブッシュ演説の翻訳と発言の要点を整理したものです)
今回の演説で一番のポイントは「中国を通じてpromissした」というところで、中国を北朝鮮による契約遂行の連帯保証人にした点。
I, GEORGE W. BUSH, President of the United States of America, find that
the current existence and
risk of the proliferation of weapons-usable
fissile material on the Korean Peninsula constitute
an unusual and
extraordinary threat to the national security and foreign policy of the United
States,
and I hereby declare a national emergency to deal with that threat.
わたくし、米国大統領たるジョージ・W・ブッシュは、朝鮮半島に存在する武器使用可能な核分裂物質が拡散する危険が、我が国の国家安全保障および外交政策に対する緊急かつ大きな脅威を構成すること見いだしたためその脅威に対処するために国家非常事態を宣言します。
President Bush Discusses North Korea
北朝鮮に関する記者会見
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2008/06/20080626-9.html (原文)
這い寄る混沌氏による抄訳は次の通り。
大統領報道官事務局
2008年6月26日(東部標準時)
「北朝鮮に関する記者会見」
ローズガーデン
東部標準時 午前7時40分
■大統領:
おはよう。
いかなる核兵器も存在しない朝鮮半島こそが我が国の政策です。
今朝、北朝鮮政府関係者が6者協議での合意の一部として中国政府に核開発計画の申告書を提出したことで、私たちはそのゴールへの1歩を歩み出しました。
我が国は、平壌の政権について幻想を抱いていません。
私たちは、北朝鮮の人権侵害、ウラン濃縮活動、核実験および拡散、弾道ミサイル計画、および韓国などの近隣諸国へ脅威を与え続ける姿勢について深く憂慮しています。
しかし今のところは、北朝鮮と中国、日本、ロシア、韓国および我が国の間の6者協議によってレイアウトされた多重ステップ・プロセスの1歩として、今日の進展を歓迎します。
昨年、北朝鮮は核施設の無力化を誓約しました。
北朝鮮は、核兵器用のプルトニウムを生産するために使用されていた寧辺の核施設の無力化を開始しました。
この作業は、アメリカとIAEAの職員によって監視されています。
また、その実証のため、北朝鮮は明日国際的な取材陣を入れ寧辺の冷却塔を破壊すると述べました。
昨年、北朝鮮は、同様に核活動についても申告することを誓約しました。
今日提出された申告書で、北朝鮮は、プルトニウムに関連する活動について説明し、さらに1986までさかのぼる核開発計画と関係する他の文書も提供されます。
また、核開発計画に関連する人員と同等のレベルで、寧辺の炉心および核廃棄物施設への立入り許可も約束しています。
これらの情報はすべて、北朝鮮がその核開発計画と活動を終了していることを確認することにとって必要でしょう。
6者協議は「活動のための活動」の原理に基づきます。
したがって、既存の6者協定と一致して、アメリカは自分自身の2つの活動で北朝鮮の活動に対応しています:
まず最初に、北朝鮮に関して敵国通商法の処置を取り除く旨の声明を出します。
つぎに、45日のうちに、議会に対し北朝鮮のテロ支援国家という名称を取り消す意思を、議会に通知(引用者注:大統領による通知は、決定を促すという意味ではなく、確定でもない)します。
この45日は、北朝鮮の協力の意志がどれだけ真剣かを示すための重要な期間になるでしょう。
我々は6者協議を通じて、総合的で厳密な検査規約を明確にし、この期間、我が国は北朝鮮の活動がしかるべきかについて注意深く観察するでしょう。
我が国が講じる2つの処置は、北朝鮮の金融・外交における隔離状態に、ほとんど影響を及ぼすことはなく、依然として世界で最も厳しい制裁をうけている国家のうちの1つとして、人権侵害、2006年の核実験および兵器拡散のために現在北朝鮮が直面している制裁は、すべてとどめおかれることとなります。
また、国連安全保障理事会の制裁も、同様にすべて有効なままとどめおかれます。
6者協議のプロセスは、我が国と国際社会に、北朝鮮が国際社会に受け入れられるために取り組むべき重大かつ重要な多くの問題を明確に示しました。
核施設をすべて取り壊し、プルトニウムの抽出を止め、ウラニウム濃縮と拡散活動に関する未解決の疑問を解消し、私たちが完全に確認している各種の活動を終了しなくてはなりません。
北朝鮮は、さらに6者協議で承知した他の義務も果たさなければなりません。
我が国は、北朝鮮による日本国民の誘拐を決して忘れないでしょう。
我々は日本との緊密な協力と協調を継続することで、北朝鮮に対し、拉致問題の速やかな解決を迫っていくでしょう。
これは北朝鮮にとっては好機です。
北朝鮮が正しい選択を行ない続けるならば、国際社会との関係を修復できます--
過去数年にわたりリビアが行ってきたようにです。
しかし、北朝鮮が間違った選択を行なえば、我が国や6者協議参加国は、しかるべく応ずることでしょう。
そして、もしプルトニウム、高濃度核燃料、および核拡散活動について完全な開示を行わなければ、彼らはさらなる結果を甘受しなくてはなりません。
多国間の外交は、北朝鮮の核問題を平穏裡に解決する最良の方法です。
今日の進展は、粘り強い多国間の外交が有望な結果をもたらすことができると示します。
しかし、外交プロセスはそれ自体で終了ではありません。
私たちの究極のゴールである、人々が圧政や飢餓、疫病から免れ、核兵器も存在しない平和で安定した朝鮮半島は依然明確であり、そのゴールへの道程はいまだ彼方です。
しかし、今日、私たちは正しい方向に向けた大切な一歩を刻みました。
質問を受けます。
マイク。
■問: ありがとうございます、大統領。
「悪の枢軸」の一員と名指しし、その後2006年に北朝鮮が地下核実験を行ったあとで、この段階に到ることができるのかについて疑いを抱いたことはありませんか。
また、北朝鮮の人々のためのメッセージがあれば伺いたいです。
■大統領:
6者協議における参加国を抜きにして、我が国がこの問題の解決に手をつけることはできず、従って解決すること自体が不可能であることは自明の理です。
また外交を有効に運ぶためには、てこ入れがなければなりません。
そこには、必然的に駆け引きがあります。
北朝鮮に対し、核開発計画を廃棄することを約束し次いで実行すれば、よりよい方向に前進できるというメッセージを、中国、韓国、日本、ロシアと連携して送るため懸命に努力しました。
言いかえれば、私が声明で言ったように、それは活動のための活動です。
北朝鮮が6者協議を真剣に受けとめるようになるまでには、我が国以外の人々からも、前向きな対応が得られない場合にはその結果を甘受しなくてはならない、という提携したメッセージを受け取るまで、しばらく時間がかかりました。
このような多国間の外交は、今に至るまで、しばしば困難なものです。
人々を同じ方角に向けることは困難が伴いますが、私たちはともにそれを成し遂げました――参加国からは、私が失敗しないよう、多くの助けを得ました。
北朝鮮の人々へのメッセージはこうです。
「私たちはあなたたちを飢餓から救いたい、私たちはあなたたちがよりよく生きてほしい、私たちはあなたたちと敵対するのではなく、ためになることに関心を持っている、そして、私たちは、国際社会との関係を、よりよくするための方法を、あなたたちの指導部に支援したい。
ここは飢餓を定期的に繰り返している社会なのです。
私は、大統領選の折り、食料を外交上の武器として使用しないと言いました。
北朝鮮では、支援の食料が国民の手までたどりつかないことが、しばしば懸念されています
-- 言いかえれば、政権が横領しているのです。
そう、私からのメッセージは、あなたたちを気にかけ、あなたたちのおかれた立場について心配することを私たちは継続しているということです。
そして、それと同時に朝鮮半島からの核兵器の排除を追求するのです。
今日、私たちは1歩を記し、それは非常に建設的な1歩ですが、まだまだ先は長いのです」
デボラ
■問:
大統領、あなたが、単に辞任する前に何かをするために薄められて希薄になった宣言を受理したと主張する批評家についてはいかがですか?
つまり、あなたはウラン濃縮問題を扱わないと言いました。そうなると、シリアが原子炉を構築するのを支援するために北朝鮮が行ったかもしれないことについても扱わないということになります。
■大統領:
ふむん、まずは再検討してみましょう。
過去、私たちは、北朝鮮のする、言を左右する約束がいつか満たされるという希望の元に利益を供与しようとしてきました。
言いかえれば、それは私がホワイトハウスに入る前におこなわれていたことです。(引用者注:クリントン政権による米朝二国間協議の失敗、太陽政策の行き詰まりを指す)
誰もが核兵器を所有する北朝鮮について関心を持っていました;
誰もが核拡散活動について関心を持っていました。
それでもなお過去の政策は、利益を供与し、それに応じた対応をとってもらうことを希望する、というものでした。
もちろん、それらに応じた対応がとられたことはありません。
このような理由により、私たちの政策は、建設的な行動への希望ではなく、裏付けのある前進によってのみ懲罰的な措置を縮小するかたちに変更されました。
そして北朝鮮に対しては、まだ多くの制限があります。
私の指摘したい要点はここです――見てみましょう。
彼らは、寧辺にある施設の一部を破壊すると言っています。
これは非常に建設的な一歩です
-- 結局、プルトニウムを生産したのはこれらの施設なのです。
彼らは申告書で述べたことがあります。あなたが昨年9月に提出された申告書を読めば、そこで明確に何をするか述べられているでしょう。
我々の政策、そして今日の声明は、彼らのした約束について我々から負わされている責任を明確にします。
彼らが約束を履行した時、より多くの制限が緩和されるでしょう。
しかし、約束が履行されなければ、より多くの制限が置かれるでしょう。
これは活動のための活動です。
これは、誓約を履行するという範囲まで我々は信頼するということです。
そのようなわけで、現在の進展には満足しています。
私はこれが第一歩であるということに幻想を抱いていません;
これはプロセスの終わりではなく、活動のための活動におけるプロセスの始まりです。
そして、私が我が国の国民に強調したい点は、我々は多国間外交の場において懸命に努力したということです。
なぜなら、金正日と腰掛けて語り合ってきた過去の我が国の外交では何も解決しなかったからです。
単独での交渉には意味はありません。(引用者注:二国間が秘密を持たねばならず、北朝鮮がしばしば実在する秘密ではないデマゴーグを発して、秘密を正直に守るアメリカを翻弄したことから、米朝二国間交渉が効果がないことを指す)
今現在、この声明の中で触れ、実際に行われる必要のある、さらにたくさんの検証作業があります。
濃縮核燃料に対する私たちの懸念に触れました。北朝鮮政府から、まもなくその計画が提出されることを期待します。
私たちは核拡散についても話し合い、核拡散活動についての提出と停止を期待しています。
私は、何を生産したかに関する寧辺プラントへの立入り検査のために、私たちが財産目録の把握を開始したいう事実に触れ、まもなく生成物と原料について提出されることを期待します。
今日、私は、多重ステップ・プロセスの第一歩を記したことについて6者協議の参加各国に感謝したい。
朝鮮半島の非核化というヴィジョンは、中国政府を複雑で入り組んだ問題に関わらせる発端となりました--そして信じられないくらいに有用だったのです。
北朝鮮が中国にドキュメントを渡したことに注目してください;(引用者注:中国が北朝鮮の契約履行の連帯保証人になったこと、北朝鮮が諸国に対して発する単独の嘘を、中国が認めない立場を取らざるを得なくなったことを指す)
結局、私たちはみな6者協議の参加国なのです。
これらの他に、日本の友人達に保証したいことがあります。
このプロセスにおいて、拉致問題を置き去りにしてすすむようなことはありません。(引用者注:45日で履行される六者協議の合意に基づくプロセスには、日朝関係の正常化=拉致問題の完全な解決が含まれる)
我が国は、拉致問題を非常に深刻に受けとめます。
北朝鮮が日本の意図に沿った方法でこの問題を解決することを期待します。
日本には、何が起こったかについて深く関心を持っている多くの人々がいます。
私は、大統領執務室で北朝鮮によって拉致された子どもの母親(引用者注:横田早知恵さん)と会ったことを覚えています。
娘が奪われるということがどのようなことかに関し、母親としての気持ちに耳を傾け心痛めた時でした。
日本の皆さんに知っていてもらいたいことは、我が国は拉致問題が解決するまで支援を続け、決して同盟国および友人達を見捨てたりはしないということです。
今日は前進の日です;
一歩、前に進むことができました。
まだまだ、より多くの仕事がありますが、私たちは実行プロセスの裏付けを求める方法で正しい場所に進むことができるようになったのです。
ありがとう。
東部標準時間 午前7:53 会見終了