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Special Interview
Person of the month Kenji Eno(WARP)



飯野賢治氏(WARP社長)D2を語る!(Part2)

先号に引き続き、M2用ソフトとして唯一国内でタイトル名、内容が公表されている『Dの食卓2』を制作しているWARPの飯野賢治氏にその後のM2事情を交えながら『Dの食卓2』の現在を語ってもらった。 だが、その前に前回のインタビュー(3月中旬に行われた)と、今回のインタビュー(6月10日に行われた)の中間に位置するインタビューの内容をかい摘んでご報告すべきだろう。というのも、飯野氏の発言は、直接にはその中間に位置するインタビュー(5月下旬に行われた)を踏まえた上で行われているからだ。 その際の飯野氏の言葉はある種の悲観主義で全体が覆われていた。それは、M2の開発機に予期した程のポリゴンが出ないということから発するものである。さらには、これは現在も続いていることだが、M2自体がいつ出るのかが全く不明である、ということもあっただろう。 『Dの食卓2』は前回の記事でも語られたようにメイン部分をリアルタイムポリゴンで構成するある種のリアルタイムゲームになる予定であったものを、そうした事情がムービー主体のゲームへと方針変更を余儀なくされるに至っていたのだ。それこそはゲームの根幹を揺さぶる大変更であるに違いなく、すべてゼロからやり直し寸前のところまでいっているというものだった。もちろん、それはそれで『Dの食卓』をプレイしたユーザーに対して最良のものになるように工夫されるべき作業であったのだが、とにもかくにもそうした変更が必要とされるのではないか、という状況が存在したのは事実である。 今回のインタビューではそうした障害が払拭されていることを先に報告しておきたい。飯野氏が語るところではM2はまさにニューM2へと変貌を遂げたのだ。公表されているスペックそのままとはいわないとしても、かなりのポリゴン数が出るようになったニューM2上では、以前からの構想通りリアルタイムポリゴン主体の『Dの食卓2』が遊べるようになるようなのである。


『Dの食卓2』はPlaystationやSEGASUTURNでは絶対に無理なゲーム

飯野「M2のボード自体が新しくなるようなのと、OSも新しいものが出てくるらしいんです。OSに関してはWARPでは直接ハード叩いていたんで(既成のOSを使わずにハードの性能ぎりぎりまで活かすようなオペレーションを行っていた。編集部注)、あんまり関係ないけどOS使ってもかなりのスペックが出せるようになってきた。強力な開発環境が整ってくるんじゃないかな。

で、そうした変更が加えられてM2はニューM2と呼ぶべきものになってきている。これで、前にお話ししていたような、ほとんどリアルタイムポリゴンでいけるんじゃないかなって感触持ってます。

2CPUになるかも、ということで、そうなったら面白いことになるかもしれませんね。もちろん開発は大変な作業になるというのはありますけどね。でも、1CPUでいけるように画面表示関係は作っておいて、後はサウンドとかそういった面をもうひとつのCPUにやらせるという作り方すれば大丈夫でしょう。

ポリゴン数は、満足すべきレベルまで出てくれると思いますよ。もちろん、前にお話ししたときのようなポリゴン数でも、WARPじゃなければ当然許容範囲だったと思うんです。WARPは少なくとも『Dの食卓2』に関しては映像美というものを追求したいと思っていたんで、前のM2ではリアルタイムポリゴンではいけないんじゃないかという話だったんですよ。普通のポリゴンゲーム作るんだったら十分許容範囲だったてことはいっておいたほうがいいですね。

しかも、M2はMIPマッピングがあるでしょ(MIPマッピングは複数のテクスチャデータを用意しておいて、ポリゴンの表示サイズに応じてそれに最も近いものを選びテクスチャマップを施す機能。テクスチャデータは大幅な拡大縮小をすると、どうしても粒子が拡大されたりして表示が荒れるのだが、MIPマッピングを使えば常に美しいテクスチャを表示することができる。編集部注)。MIPマッピングが使えると、ある程度少ないポリゴン巣でもきれいな絵は出せるんですよ。MIPマッピングありで、引っ張ってもゆがまないポリゴンで4000polygon/sec出せれば、Playstationで10000polygon/sec出しているのと同じほどのクオリティーの絵が出せるんです。

まあ、あんまりポリゴン数がいっぱいあってもしょうがないんで、『Dの食卓2』はグラフィックのクオリティーや質感といったものを大事にしたいんで、このMIPマッピングが使えるのは大きい。PlaystationやSEGASUTURNでは絶対に無理なゲームですね。」


時期が固まらないのが今最も心配なところだね

飯野「『Dの食卓2』のウォークスルーは基本的には主人公の視点で動くタイプです。主人公出すとポリゴン数が余計になるとかそういう技術的な問題よりも、バーチャルリアリティーを維持する上で不自然なんですよ。もちろん、主人公が表示されるよな局面、例えば戦闘なんかの実験はしていますけどね。ただ、あくまで実験でそれが『Dの食卓2』というゲームにそぐわないというようなことがあればいつでも切り捨てます。格闘ゲームじゃないんで、それによってゲーム性変わっちゃうということだと困るんでね。実験ということでいえば、64bitゲームの特質は浮遊感じゃないかって気がするんですよ。SEGAの『Nights』は32bitでありながら、64bitっぽい雰囲気出しているし『MARIO64』なんかももちろん浮遊感が一種の特質になっているし。『Dの食卓2』におそれが合うかどうかわからないんだけど、地に足を付けない場面というのも考えてはいるんです。

そうした実験ばっかりやってるのは、ある意味いいゲームを作る上で不可欠なことで、いいことなんだけど裏返すと、M2がいつ出るのかが未だに見えないから実験ばっかりやらざるを得ないというのがあるんです。もちろん、発売前のハードのソフト作ろうと思ったら苦労するのは当然だと思うんですよ。ライブラリがないとか、OSが固まらないとかは問題じゃないんです。そんなことで文句いうのはお門違いなんですが、出る時期を明確にしてもらいたいというのはありますね。例えば、ある時期に出るっていわれて、それに合わせて作っていると、実際は半年遅れて出たとしますよね。そうするとゲーム自体は古くなってしまうし、その半年があるならもっとこういうことができたんじゃないか、ってことも出てくるわけなんです。


(C) WARP


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