------ 正夢 ------ 俺は、いつものように釣りをしている。 鳴滝荘の指定席。 池のほとりの、大きな石。 無心になって、水面を見つめる。 「………ん?」 釣竿が……反応している!? 「う、うおおおおおおお!!!!」 思わず、力の限り竿を引く。 そして。 鯛が一匹釣れた。 「おお、鯛だ………って」 ちょっと待て。 ここで鯛が釣れるのか? 明らかに、これは池だぞ? 何か、おかしい。 すると。 「お父さん、すごーい!!」 そう言って、一人の女の子がやってくる。 長い黒髪で、和服を着れば日本人形になるのでは、と思うような可愛い子。 誰かに、似ているが――――― 「――――?」 待て。 俺は今は独身だ。 子供も生き別れた。 だから、お父さんと呼ぶ奴は、いないはず―――――― そう考えていると。 「お父さん、やったね!」 「おとーさん、おさかなつった!!」 「おとーたん、ちゅごーい」 「ばぶー」 「だー」 わらわら。 わらわらと、童がやってくる。 いや、何親父ギャグやってんだ俺は。 「え、ちょっと、待て、お前ら、俺は―――――」 あっという間に、子供達に囲まれる。 なすすべも無く、もみくちゃにされる。 「ちょっと、待て、おい、ぐは、おっと、はべし―――――――」 「―――――――!!!」 がば、と飛び起きる。 ゆ……夢か。 びっくりした。 あんなに、子供がいるなんて、有り得ない。 それにしても、恐ろしい夢だ。 確か、昨夜は、恵の宴会に参加して……その後、何か重大な事をしていたような…… 記憶が定かじゃない。 しかし、あの女の子。 誰かに、似ていたような――――― 「う〜ん…………」 すーすー。 すやすや。 ん? 誰の寝息だ? 横を見る。 そこには、珠実が眠っていた。 全裸で。 少女の、白くて瑞々しい肢体が、そこにはあった。 「……………」 「う〜ん――――――あ」 起きた。 珠実が、目を覚ました。 どうする、俺。 どうする、俺!? 「おはようございます――――由起夫さん」 「―――――???」 は? 由起夫さん? 「―――――――おはよう、珠実」 何とか取り繕って、珠実に言う。 「で――――なんで俺の部屋にいる」 「何でって――――二人で一夜を共にしたからです〜」 …………………は? 「由起夫さん〜」 俺に抱きつく珠実。 「え、ちょ、おい」 「大好きですよ〜、由起夫さん」 「………」 「梢ちゃんの次に、大好きです」 「梢の次なのか……」 「はい〜」 珠実の笑顔は、どこか小悪魔で、とても眩しかった。 そんな珠実が、とても、愛しくなって――――― 「……まったく、可愛い奴だ、お前は」 まあ、世間体は悪いかもしれないが、 この幸せを、ずっと噛みしめるのも、いいかもな―――――― 「あの、由起夫さん」 「何だ?」 「―――――赤ちゃんが、出来たみたいです」 ……………え? 「ちゃんと、責任を取って下さいです〜?」 ああ、この笑顔が愛しいから、いいか。 新しい幸せが、また一つ増える、 だけど、貯金、まだ十分にあったかな……? その日、鳴滝荘にはあの言葉が響いた。 883 名前: 正夢(6) [sage これがしたかった] 投稿日: 2005/07/05(火) 00:01:05 ID:Eo+m4fhx          ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!           cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・ ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 | ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ| '"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i   j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /       :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ        \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l    u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /               u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /            _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /   ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /         ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、        /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__ 、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i 884 名前: 正夢(アトガキ) [sage 今はスッキリしている] 投稿日: 2005/07/05(火) 00:04:33 ID:Eo+m4fhx 珠実で思いつきました。完全に勢い任せ。 灰原とくっつくのも悪くないかと。 そして、俺が言いたいことは唯一つ。 俺は、単に課題のストレスを発散させたいがために、 「な、なんだってー!」を叫びたかっただけだったんだよ!