----------------------------------- 第0話 突然の始まり〜Is he god? ----------------------------------- 「…を…して…の…いて…」 …?…何だろう… 「目を覚まして、ボクの話を聞いて…」 !!…今度ははっきり聞こえた…誰かが僕の事を呼んでる…… 「うぅ……あれ?…ここは…何処だ…?」 誰かに呼ばれたような気がして目を覚ました少年(?)、白鳥隆士は辺りを見て、自分が不思議な空間に居る事に気付いた。 一面が真っ暗な闇に包まれているのに視界はハッキリとしていて、それにどこか心地よい浮遊感を感じていた。 「…僕は…確か桃野さん達と部屋で宴会を…」 ボーっとする頭で懸命に状況を整理してみるも自分の置かれた状況が全く理解できない。そんな時 「あの…ちょっといいですか…?」 「えっ?…って、うわあぁっ!!?」 いきなり声をかけられて振り向くとそこには不思議な生き物が立っていた。 紫色の四角い少し厚めの板切れの様な物の真ん中より少し上に顔とおぼしき記号の様な物、 そして殆ど細長い棒か紐にしか見えない手足が生えたそれはいつの間にか隆士のすぐ後ろに居た。 「やっと気付いてもらえた、よかった…。」 呟くその声はよく考えると先ほど自分に呼びかけていた声だった。 「ええっと…貴方は一体、誰?それにここは何処ですか?」 とりあえず自分の正直な疑問をぶつけてみると 「ボクは『コジマアキラ』…えっと、簡単に言うと君達や君達の居る世界を作った神様…みたいなものかな。 そしてここはボクの話を聞いてもらう為に君の意識を呼び出したんだよ…。」 「……」 なんだか余計に状況が飲み込めなくなってきた…神様?話を聞いてほしい??呼び出した??? 一体どういうことだろう… 「実は君達の世界に大きな危機が迫っているんだ、あいつは君達の世界そのものを否定し破壊しようとしている。」 「???」 最早何だかわからない。危機?否定??破壊??? 「もうボクではあいつを止められない、だからこうして君に伝えに来たんだ。世界を、君の大切なものを守り、救って欲しいって。」 「どういう事ですか?世界を救えだなんて…、それにあいつって一体誰なんですか?」 「あいつはボクの分身、ボクから生まれた闇の邪念。もうボクはあいつに飲み込まれかけているんだ。」 「闇の邪念!?」 なんだか事がどんどん大きくなっています 「一体どうしてそんな者が生まれたんですか…それに飲み込まれるって…」 「…実は…」 ゴクッ…何だか訳がわからない状況にしても嫌が上でも緊張が走ります。 「最近すっごく仕事が忙しくって、ちょっと『休みが欲しいな〜』なんて考えてたらそいつが出てきて『じゃあ世界を変えてやろう、終わらせてやろうって…』言い出して。」 「………」 「言うや否やボクは意識が遠くなって…、多分あっちでは過労って事になってるけど本当はあいつに意識と身体を乗っ取られたんだ。」 「………それってつまり貴方の中のもう一人の貴方がこの世界を壊そうとしているって事ですか?」 さすが作家志望だけに非日常への飲み込みが早いのか程度の差はあれ身内に似たような人が居るからなのかアッサリと順応している。 「って言うかそれって貴方のせいなんじゃ…」 「……テヘッ」 「それに僕はただのデザインスクール生ですよ。そんな神様みたいな相手に何ができるんですか。」 もっともな話である。と言うか白鳥隆士はお世辞にも格闘技や運動に強いとは言えない。 「それは大丈夫。あいつだって世界のルールには逆らえない、一気に全部を消し去る事はできない。 だから少しずつ歯車を狂わせて最終的にこの世界が存在する意味を失わせ世界に矛盾を抱えさせる事で消去しようとしているんだ。」 「それってどういう事ですか?」 「簡単に言うと世界にあり得ない事やおかしな変化を生み出す事で自分の干渉できる幅を広げていき 最終的にこの世界がある意味を奪う事で世界を不要なものにするって事。」 「…それと僕が世界を守れる事とどういう関係があるんですか?」 「世界に干渉する事で起きる変化は当然君にも現れる。 と言うか世界にあるもの全てが何らかの影響を受ける。だからあいつが世界を滅ぼすための攻撃を行えば 当然君たちにもそれに対抗できるだけの力を得られるんだ。」 最早完全にSFの世界である、ほんわかアパートメントコメディはどこへ行ったのだろう… 「それでも…僕一人で何ができるんですか。無理ですよそんなの。」 そういうと『コジマアキラ』は微笑みながら(?) 「大丈夫、君は一人じゃない。君を支え、君に支えられる仲間が居る。君なら世界を守れる、 この世界がある意味と、君の大切な物を…」 まるで全てを知っている卓越した賢者(当たり前だが)の様に隆士を諭すと 「もう、限界だね。 既に同化されかけている僕が世界に干渉するとそれだけであいつの力を強める事になってしまうから もう帰らなきゃ。既にあいつは世界に干渉、侵入するために少しずつ毒牙を伸ばしている。気をつけて、 そう遠くないうちに君の周りは変化を遂げる。 あいつの放った悪意が世界の中心たる君たちに襲い掛かってくる… もうあいつは少しずつ世界を侵しかけている…」 そう言うとコジマアキラは眩しい光に包まれていった 「えっ、ちょ…待って…」 慌てて声をかけるがもうその時には隆士の視界には何も無い深遠だけがあった。そして… ピピピピッ、ピピピピッ、 目覚し時計のアラームが隆士を現実に引き戻した。 「…一体今のは…夢だったのかな…?」 布団から上半身を起こして辺りを見回すとそこは慣れ親しんだ鳴滝荘の2号室、 部屋の机の上には食べ散らかされたおつまみのカス、床にはビールの缶、 ジュースやカップ酒のビンが散乱していた。間違いなく昨日から変わらない風景である。 普段きれいに片付いているこの部屋を散らかした張本人達はもう自室に戻ったのか部屋はとても静かだった。 「…やっぱりただの夢だったのかな…」 そう気持ちに整理をつけると、とりあえず目立つゴミを片付けてから簡単に着替えた後、 朝食を食べる為キッチンに向かった。冬の朝特有の何とも言えない空気の感覚を肌で感じながら 廊下を歩いていく隆士には庭の植え込みに潜む影に気付く由も無かった。 814 名前: たろ 投稿日: 2005/07/04(月) 01:07:46 ID:Uo9ppMWj 色々といたらない所も多いと思いますが今日はこの位で。 当たり前ですが作中の羊羹の言動は全てフィクションです。 次回からは何箇所か選択肢が入ります。それとTTRPGなので戦闘やアイテムの 要素がありますがあまり関係ないです。