-------------- 勇気のマホウ -------------- 「なんだろう、用事って…」 僕は管理人室の扉の前に立って思案していた。 それは半日ほど前のこと…。 『隆士君…こんにちは…かも』 『あっ、梢ちゃ…棗ちゃん?』 『そう…かも』 『…どうしたの?』 『とっておきの…手品…見せたいから…今夜…部屋に来て…欲しい…かも』 『今夜…? 今じゃダメなの?』 『ダメ…かも。 隆士君は…ダメ……かも?』 『ううん、いいよ。 今夜だよね?』 『そう…かも』 本当は課題があったけど、恋人のお願いとあっては無碍にするわけにも出来ない。 棗ちゃんと別れた後、普段よりハイペースで課題を終わらせた。 「ちょっとやっつけ気味になっちゃったけど…しょうがないか」 『隆士君…今夜…絶対来て…』 「よっぽど自信作なのかな…?」 彼女の決意の表情を思い出し、僕は管理人室のドアをノックした。 「隆士君…かも?」 「うん、棗ちゃん、入っていい?」 「どうぞ…かも」 「お邪魔します」 部屋に何か仕掛けがあるのかと注意しながら中に入ったけど、特にいつもと変わりはないようだった。 「隆士君…どうしたの…かも?」 「あ、いや、大がかりな手品なのかなと思って…」 「そういうの…とは…違う…かも」 「そうなんだ」 「誰にも…見られたく…ないから…鍵…閉めて欲しい…かも」 「あっ、うん」 僕はそう言われて思い出し、開けっ放しだったドアを閉め鍵をかけた。 「それでは…そこに座って…ください…」 「うん」 棗ちゃんはいつだったかみんなに手品を披露したときのように手品師の口調になっていた。 僕は彼女に指示された通りにベッドの傍らに腰を下ろす。 「この手品は…とても…集中力と…勇気が…要ります…どうか成功を…願っていて…ください」 「うん、頑張って、棗ちゃん!」 「では…いきます」 そう言うと棗ちゃんは僕の前に立つと大きく息を吸い込み、真剣な表情になった。 「隆士君…両手を…広げて…前に出して…ください」 「こう?」 「…はい」 僕は彼女に言われたとおり手を広げる。 それを確認すると棗ちゃんは僕と手を重ね何かを掌の上に乗せた。 「それが…なにか…わかります…か?」 「えっ……?」 彼女の手が退けられると僕の手には何か暖かいものが乗っていた。 お椀を包み込むような形をした布きれ…女性用下着、いわゆるブラジャーだった。 「えっ? えええぇぇ!?」 「隆士君…こちらを…ご覧ください…」 「!?!?!?!?!!!?」 いきなり手渡されたブラジャーに呆気にとられていたが、棗ちゃんの声で更に愕然となった。 彼女はワンピースの上着をたくし上げ、その素肌を僕に晒していた。 「なっなつめちゃん!!!?」 「…ビックリした?」 「い、いや、ビックリしたっていうか…」 しどろもどろになりながらも僕は彼女の体から視線を背けられずにいた。 棗ちゃんは下の下着はつけているけど、上は…。 「脱ぎたて…かも」 「…………!」 「隆士君…どうだった?」 「えっ!? えっと……」 「ここから…先は…わた…しだけでは…出来ません…」 「そ、それって…」 彼女の言動、行動に僕は絶句するしかなかった。 「………」 棗ちゃんは何も言わずにじっと僕の答えを待っている。 僕は答えることもできずに沈黙の時間が過ぎる。 そうしている間にも彼女の肌は上気しほんのりと朱に染まっていた。 柔らかそうな双丘に自然と目がいってしまう。 「隆士君は…触って…みたい…かも?」 「そ、それは……」 「わ…たしは…触って…欲しい…かも」 「な、棗ちゃん…本気?」 「冗談で…こんな…こと…しない…かも…」 のぞき込んだ彼女の瞳は真剣そのものだ。 本気で彼女は───わたしを抱いて欲しい、そう言っているのだ。 (棗ちゃんは…本気だ…) 「隆士君……」 だったら、僕の答えは一つしかない。 「棗ちゃん…」 「……」 棗ちゃんはゆっくりと目を閉じ、僕の答えを待っていた。 僕はそんな彼女に近づくと肩を抱き、ゆっくりと唇を重ねる。 彼女の想いと勇気は重ね合った唇から熱と共に僕に伝わった。 「んっ……」 僕たちは深い口づけを交わし、温もりを感じあった後ゆっくりと唇を離した。 「いい…? 棗ちゃん」 「うん…隆士君の…好きに…して欲しい…かも」 「棗ちゃん…」 彼女の了承を得るとゆっくりと彼女が晒していた胸に手を伸ばした。 熱く柔らかいふくらみに手を重ねると棗ちゃんの全身に緊張が走った。 そんな彼女の緊張をほぐすようにもう片方の手で長い髪を撫で、唇を重ねた。 「んっ……んんっ……」 壊れ物を扱うかのようにゆっくり優しく彼女の体を包み込んでいく。 「隆士…くん……」 「棗ちゃん…」 丹念に愛撫を続けるうちに次第に彼女の体から硬さが消え、しっとりと汗ばんできた。 僕は棗ちゃんをベッドに横たえると再び愛撫に専念した。 「んっくっ……なにか…胸が…熱い…かも…んっ…」 「大丈夫だよ…僕に任せて」 「うん…」 普段は着やせしていてわからない彼女の大きな両の胸を手と唇を使ってじっくりと刺激する。 次第に彼女の体の反応も大きくなり、息づかいが荒くなってきた。 「隆士君……切なくて…苦しい…かも……」 「うん、それじゃ…」 このままだと棗ちゃんが耐えられないと判断し、僕はゆっくりと下腹部に手を伸ばしていった。 「あっ…隆士君…そこは…」 「可愛い下着だね」 「うん…今日は…頑張った…かも」 「ありがとう…」 僕は彼女の健気な努力と勇気に感謝し、ゆっくりと下着の下の茂みに手を差し入れる。 棗ちゃんの茂みの中は他の場所以上の熱と湿り気で僕を迎え入れてくれた。 「棗ちゃん、大丈夫?」 「うん…続けて…欲しい…かも」 棗ちゃんは僕の指を受け入れると目を閉じて刺激に身を委ねた。 ぬるぬると湿る指先をゆっくり秘所に這わせると彼女は体をくねらせる。 「あっ…んん……隆士…くぅん……」 指が動くたびにくちゅくちゅと淫らな音が耳を刺激する。 彼女の秘所からは愛液がとろとろと溢れ、下着はすっかり濡れてしまっていた。 「ダメ…パンツ…汚れちゃう…」 「うん、それじゃ脱がすよ…」 「恥ず…かしい…かも……」 そう言いつつも棗ちゃんは自分でお尻を浮かせ、脱がしやすい姿勢にしてくれた。 僕はゆっくりと下着に手をかけそれを脱がせると彼女の大事なところに目が釘付けになった。 「隆士君…あんまり…見ないで…欲しい…かも…」 「棗ちゃん…」 「やっ…ダメ…そん…な…ところ…あんっ…」 こらえきれなくなった僕は棗ちゃんの股間に顔を埋めると舌と指を使って集中的に愛撫し始めた。 秘所の割れ目を指で開き、彼女の一番奥へと舌を差し入れる。 たちまち僕の口の中は彼女の愛液で満ちてくるが、それでも後から後から熱い液体が溢れ出てくる。 「あっああっ…やぁっ…んっ……りゅうし…くんっ……んっ…」 快感に身を委ねる棗ちゃんは更に僕の欲情を掻き立てた。 「隆士…くん…もう…ダメ……我慢……出来ない……」 「うん…」 棗ちゃんが限界に近づいていることを確認すると僕は自分の服を脱ぎはじめた。 「じゃ、いくよ…?」 「うん…来てほしい…かも…」 棗ちゃんの了承を得ると僕は彼女の中心に自分のモノを宛う。 僕のモノはすでに準備するまでもなく熱く滾り、彼女を求めていた。 「ちょっと…怖い…かも…」 「大丈夫、僕に任せて…」 「うん…」 彼女は僕の言葉を聞くと目を閉じて、指で自分の秘所を押し広げた。 そんな棗ちゃんに合わせるように僕も彼女と一つになるためにグッと腰を突き入れた。 くちゅっと音がして、熱くぬるぬると滑る膣内に僕のモノは侵入していく。 「んくっ…はぁ…!!」 「棗ちゃん…!」 最初は抵抗があったモノのしっかりと濡れていたため、それほど苦もなく彼女の最深部まで到達した。 彼女の内側は熱くきつくうごめき、僕を締め付けた。 それを確認すると彼女も目を開き、二人の結合部に目をやる。 棗ちゃんもそれほど辛さを感じていないようだ。 「大丈夫、棗ちゃん?」 「うん…思ったより…ずっと…平気…かも」 棗ちゃんはともかく、梢ちゃんとは経験済み…つまり肉体的には処女ではないので破瓜の痛みはもうない。 彼女が苦痛を味わうことがないということは僕にとっても幸いだった。 「隆士君…動いて…いい…かも」 「じゃ、動くよ」 「あっあっあ、ああっ…んくっ……」 「棗ちゃん…気持ちいい…?」 「んっん……気持ち…いい…隆士…くん…っはぁ……」 棗ちゃんもすっかり慣れたのか、僕の動きに合わせるように腰を動かし互いに快感を高めていた。 ギシギシとベッドが揺れ、シーツが乱れる。 「あの…隆士君……」 「…? どうしたの、棗ちゃん?」 「その…自分で…動いて…みたい……かも」 「え……?」 「隆士君…仰向けに…なって…欲しい…かも」 棗ちゃんの思いがけない提案。 上になる…と言うことは騎乗位?という体位だろうか…。 なんだか、千百合ちゃんを連想させたけど棗ちゃんがどうしてもと言うので僕は彼女の言うとおりに仰向けに寝転がる。 さっきとは逆に棗ちゃんが僕の上に跨るような格好になった。 「それじゃ…入れる…かも」 「棗ちゃん、無理しないでね」 「だいじょうぶ…かも」 そう呟くと彼女は僕の上に跨り、ゆっくりと自分の膣内に僕のモノを入れていった。 「はっぁぁ……」 「くっ…!」 ずぶずぶと突き上げるような格好になり彼女の膣内を侵入させられる。 ドロドロな熱い内側をスムーズに進むとやがて最深部に到達した。 「んふぅ…んっ……さっき…より…深い…かも…」 彼女が少し腰を振ると、僕の先端は彼女の最深部をこつこつと叩いた。 「棗ちゃん…ホントに大丈夫…?」 「うん…すごく…気持ち…いい…かも」 棗ちゃんは小さく頷くとゆっくりと腰を動かし始めた。 初めはぎこちない動きだったけどだんだんコツを掴んでリズミカルに僕の上で動いた。 「ああっ……あっあっあぁっあっん……気持ちいい…あっ……あぁん……」 「くっ…棗ちゃん…凄いよ…」 「んっ…隆士…くんもっ……気持ち…イイ…?」 「うっん…」 「じゃ…もっと……んっ」 彼女はそう言うと腰の上下運動に加えて、膣内の締め付ける力に緩急をつけてきゅっと僕のモノを締め上げた。 「はうっ!」 「んんっ…すごぃ…隆士…くんのを…あぁっ…こんなにっ…感じる……」 「棗ちゃん…棗ちゃん……!」 棗ちゃんが腰を上げるときに僕も腰を引き、彼女が腰を下ろす瞬間に僕も突き上げる。 お互いのリズムを掴み、さらに快感を高め合う。 僕は空いている手で彼女の両胸を激しく揉みしだき、指で乳首を摘み転がした。 ───僕たちはすっかり快楽に溺れ、互いを貪りあっていた。 「あっあっ……あぅっ……んんっ! …りゅ…ぅ…し……くっ……!」 「棗ちゃんっ……!」 棗ちゃんは僕の上で身を仰け反らせ、快感に溺れていた。 そして、僕も彼女から伝わる快楽の波に身を委ねていた。 じゅぷじゅぷと二人の結合部から愛液が溢れ、痺れるような感覚が下半身からせり上がってくる。 「隆士…くん……わ…たし…もう……っ!」 「僕も……!」 「一緒に……いっしょ……に……あっあぁん……!!」 互いに限界を感じ、一気に上り詰めるように最高速で腰を振った。 もはや何も考えられなくなり、無我夢中で抱き合った。 「はっ…はぁ…はぁ…わ…たし……んっ……もう……ダメっ……!」 「棗ちゃん…棗ちゃん…っ!」 「あっあっあっあっあっ………………も…う…っ!! あっあああああああぁぁぁぁぁっ!!」 「な…つめ…ちゃん……っ!!」 目の前が真っ白になり、下半身で何かが弾けた。 僕のモノから迸った熱い奔流は棗ちゃんの一番深いところで溢れ出て、彼女の中に染みこんでいく。 彼女の膣内も一滴残さず搾り取るように収縮し、深い絶頂が何度も押し寄せた。 僕の中から全てがはき出され、彼女の中に放ち終える。 全てが終わると僕たちはぐったりと脱力し、抱き合ったままベッドに崩れ落ちた。 「…棗ちゃん、大丈夫?」 「……。 だい…じょうぶ…かも…」 「よかった…」 あまりに激しい快感だったので棗ちゃんは気を失ってしまうんじゃないかと思ったけど、彼女は満足げな笑みを僕に返してくれた。 そんな彼女を見て僕も自然と笑みがこぼれた。 「こんなに…気持ち…いい…って…思わなかった……かも」 「うん、そうだね…。 やっぱり好きな人と一つになれるのは幸せだからじゃないかな」 いつものように自然と本音が出て気恥ずかしくなった。 でも、この包み隠さない想いは嘘偽りない本物の気持ち。 「隆士…君…」 「あっ…。 あはは……」 「わ…たしも……隆士…君のこと…大……好き…」 そう言って棗ちゃんはギュッと僕をその胸に抱いた。 彼女の胸から伝わる熱い鼓動と愛情。 柔らかな暖かさに包まれて…まだ繋がったままだった僕はまた元気になった。 「あっ……」 「……。 隆士…君…もう…一回…する……かも?」 愛の形は体を重ねる事だけじゃない…と思う。 でも今は、今こうやって体を重ねて幸せを感じられるならそれもまた一つの愛。 そう思うことは間違った事じゃないと思う。 今はこの温もりと幸せを互いに分かち合おう…。 「隆士…君の…エッチ……」 <勇気のマホウ>   Fin. 758 名前: 勇気のマホウ あとがき [sage] 投稿日: 2005/07/03(日) 19:41:23 ID:I5mAPsr7 最近ご無沙汰のなっちん純愛ものです。 いや、あんまり内容はないんですけどね。 虹のほうにあった絵↓に刺激を受けたのは間違いありません。 ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000032.jpg まあ、見たまんま、ただエッチするだけの内容ですが、 たまにはこういうのもいいですよね?よね? ではまたほとぼりが冷めた頃に投下しに来ます。