-------- 誕生日 --------  今日は朝美ちゃんの誕生日。  いつも彼女の笑顔にはとても助けられている僕は、プレゼントを買おうと街に出た。 「朝美ちゃんには何がいいかな?」  普段から金銭や食料に貧困しているから、朝美ちゃんの喜びそうな物が良い。  でもそのままお金を渡すのも変だし、っていうか僕自身もお金に  余裕のある身じゃないし……。  食料って言っても何がいいのやら。というかカテゴリが広すぎるよ。  僕はデパートの中を上に下にとうろうろと徘徊していた。  そして地下の食料品売り場に来ていた。 「そうだ、僕が料理作ってあげようかな?」  ヘタなりにも一応人の食べられる程度には作れるし、  朝美ちゃんと一緒に作ってもいいかもしれない。  でも誕生日だから、梢ちゃんや桃乃さん辺りがご馳走を用意するかも……。 「う〜ん、どうしようかなぁ……」  僕は色々と見て回り、今日の特売と売り出されいる物を見つけた。 「ホットケーキか」  僕の勝手な想像だけど、もし朝美ちゃんにプレゼントを買っていったら、  きっと金額のことを心配すると思う。  だけど特売の物だとなったら、少しは納得してくれるんじゃないだろうか?  それにこれなら一緒に作れるし、僕でも多分美味しく作れる。 「よしっ、これにしよう」  安いのを良いことに、お一人様三つまでの特売品を、限界の三つ買って僕は  デパートをあとにした。 「ただいま〜」  鳴滝荘についた僕が、玄関のドアを開けると、そこはすでにパーティー会場並み  にコーディネーションされていて、ビックリした。 「あ、おかえりなさい白鳥さん」  パタパタと鳴滝荘内を走り回っていた梢ちゃんが、玄関でしばし呆然としていた  僕に気付き、おかえりを言ってくれた。 「ただいま梢ちゃん。梢ちゃんは料理担当?」 「はいっ。もう少しで完成ですよ。白鳥さんは朝美ちゃんのプレゼントを買いに  行ってたんですか?」 「うん。でも何が良いか分からなかったからコレにしたんだ」  僕はそう言って梢ちゃんに袋の中を見せた。  すると梢ちゃんはとても嬉しそうに微笑んで、 「わぁ、朝美ちゃんきっと喜びますよ。でもケーキなら用意しちゃいましたし、  どうしましょう……」  ふと考える表情を見せた。  僕は慌て手を振り、 「あ、いや、これは今日食べる分じゃなくて、今度朝美ちゃんと一緒に作ろうかと  思って」 「そうなんですか。とても素晴らしい考えだと思います」 「そうだ。朝美ちゃんが良いって言ったら梢ちゃんも一緒にどう?」 「はい。その時は是非ご一緒に。あ、そろそろ私行きますね?」  梢ちゃんは僕に軽く一礼すると台所へと走っていく。  慌てている梢ちゃんはちょっと新鮮だと思った。 「「「「「「朝美ちゃんっ! お誕生日おめでとう〜!」」」」」  なぜか僕の部屋で誕生日パーティーは執り行われる。  まあ、今日はおめでたい日だから良いんだけど……。 「み、みんなぁ……ありが、ありがどぅ〜」  始まったばかりだというのに、朝美ちゃんはもう涙を浮かべていた。 「泣くのは早いわよ朝美ちゃん! 今日は一杯ご馳走用意したからねっ!  腹一杯食べるのよっ!」  高らかに宣言する桃乃さん。変に気合が入っているのはいつものことだけど、  いつもよりもテンションが高い……。 「う、うん」 「ああっ、ちょっと待って下さい。いまケーキを持ってきますから」  ギリギリまでケーキを冷やして、生クリームが解けないようにと、冷蔵庫に  入れていたのだろう。  それを持ってきた梢ちゃんは、テーブルの中央にそれを置くと、ローソクを  立てた。 「僕が火を点けるよ」  梢ちゃんからライターを受け取ると、一つずつ火を点けていく。  そして部屋の電気を消す。  ローソクの灯りが幻想的に室内を照らし出した。 「「「「「「ハッピバースデートゥユー♪ ハッピバースデートゥユー♪  ハッピバースデーディア朝美ちゃーん♪ ハッピバースデートゥユー♪」」」」」」  手でリズムを取り、朝美ちゃんのために皆が歌う。  朝美ちゃんは手で顔を押さえながら、何度も嬉しそうに頷いていた。 「ささ、朝美ちゃん! 今こそ火を吹き消すのよ!」  桃乃さんの言葉に、朝美ちゃんはふーっと小さな口をすぼめて息を吐き出す。  一本一本がしっかりと消え、全部消え終わるのを確認して電気を点けた。 「さ、食べましょうか」  それぞれが目の前のご馳走に手を伸ばし、美味しいと言いながら口へ入れていく。  梢ちゃんの作った料理は本当に美味しかった。 「恒例のプレゼントターーーーーイム!!!」  仕切りを担当している桃乃さんからさっそく朝美ちゃんにプレゼントを渡していく。  なんか皆綺麗にラッピングされてて、僕のがとっても霞んで見えるなぁ。  もともとそんなに高い物じゃないから仕方ないんだけど、せめてラッピングくらいは  しておいた方が良かったかも。  この時僕は後悔先に立たずということわざを理解した。 「ありがとうぅ、ありがとう」  朝美ちゃんは何度も涙を流しながら、渡された品々を受け取っていく。  渡されたのが分かったのは、灰原さん(ジョニー)の渡した「コイツのオススメの  小説だ。読んでみてくれ」という触れ込みの小説。  梢ちゃんの渡した「私のお気に入りのヌイグルミです。お古であれなんですけど、  可愛がってくださいね」とリボンで綺麗に装飾されたクマのヌイグルミ。顔が長い。  そしてお母さんの沙夜子さんの渡した「朝美……これ……」とだけ短く告げ、  木彫りの朝美ちゃん人形だった。とても上手だ……。 「あ、朝美ちゃん。僕のはその、安物なんだけど……」  そう言ってデパートの袋を差し出す。 「ふえ?」  中を見た朝美ちゃん。目のうるうるが止まってなかった。 「え、いいのお兄ちゃん?」 「うん。今度一緒に作ろう? それから、さっき急いで作った『王様になれる券』も。  一応僕にだけ有効だから」  ポケットから出して、それも一緒に渡す。 「ありがとぅ、嬉しいぃよぉ〜……ありがとうお兄ちゃん」  朝美ちゃんがとても嬉しそうだったので、僕も嬉しかった。  その後パーティーとは名ばかりの宴会になったのは言うまでもない。  コンコン。  後片付けもようやく一段落し、ちょっと座って休憩していたら、部屋のドアが  ノックされた。  時間はもう十時を回っているから、梢ちゃんだろうか? 「開いてますよ?」  ドアが開かれ、立っていたのは意外にも朝美ちゃんだった。  優等生な朝美ちゃんはこの時間帯にはもう寝ているんじゃないのだろうか?  そうか、内職でもやってたのかな? 「お兄ちゃん今時間大丈夫?」 「あ、うん。どうしたの朝美ちゃん?」  朝美ちゃんは僕の傍に近づくと、僕のひざにいきなり座ってきた。 「うわっ、あ、朝美ちゃん!」 「えへへへ〜」  何だか嬉しそうな朝美ちゃんを見ると、何も言えなくなる。 「ど、どうしたの朝美ちゃん?」 「あのね、これ使ってもいい?」  朝美ちゃんが取り出したのは一枚の券。僕が渡した『王様になれる券』だった。 「さっそく? いいけど、何がしてほしいの?」  僕は朝美ちゃんが落ちないように、ちょっと恥ずかしかったけど腰に手を回して、  体を支えた。 「今日だけ……今日だけでいいから、お兄ちゃん……私の『お兄ちゃん』なって」  僕の顔を見ずに、搾り出した声。  やっぱり父親が恋しいのだろうか? せめて家族がもう一人でもいれば、また  違ったのかもしれない。  最近、沙夜子さんの妹さん、まひるちゃんとも仲が良いみたいだったから  あまり気付かなかったけど、やっぱり肉親が恋しいのかもしれない。  僕は朝美ちゃん頭に手を乗せると、 「いいよ朝美ちゃん。今日だけじゃなくて、いつだって僕は  朝美ちゃんの『お兄ちゃん』になってあげる。もちろんその券はいらないよ?」  そう言って頭を撫でる。  すると朝美ちゃんは顔を上げて、僕の方を見つめ、目から涙を零していた。  今日は朝美ちゃんの涙を見る率が以上に高いな。 「いいのお兄ちゃん? 本当にいいの?」 「うん、いいよ」 「ありがどーお兄ちゃん……」  朝美ちゃんは僕の体にすがって泣きついた。  こんな可愛い妹なら僕からお願いしたいくらいだし。  そして僕は朝美ちゃんが泣き止むまで、そっと体を抱きしめ続けた。 「ありがとうお兄ちゃん」  朝美ちゃんは目の周りをちょっと赤くしながら、はにかんだ表情でお礼を言った。 「どういたしまして」  何だか僕も恥ずかしくて、鼻を掻く。  すると朝美ちゃんは僕の目を見つめて、 「お兄ちゃん。あの券使ってもいい?」 「え? もう? いいけど、もう何に使うか考えたの?」 「うん」  なぜか朝美ちゃんは顔を赤くして頷いて、僕の頭は疑問符で埋まる。 「何?」  朝美ちゃんは僕から立ち上がって、くるっと振り返って僕のほうを向いた。 「私を女にして」 「へ?」  突然意味不明なお願いをされて、僕は声を裏返らせてしまう。  女にして? はて、朝美ちゃんは男だったのだろうか? いやそんなはずはない。  え? っていうことはどういうことなの? 「朝美ちゃんはもう女の子でしょ?」  見たまんまのことを言う僕。結構マヌケっぽいぞ。 「ううん。私を大人の女にして欲しいの」  首を振り、朝美ちゃんがそんなことを言った。 「……………………………は?」  自分でも思うくらいにマヌケな声を出す。  すると朝美ちゃんはスルリと着ていた衣服を脱ぎ始めた。 「あわわわっ! あ、朝美ちゃん!」  僕の制止する声を朝美ちゃんは聞いてもくれず、一枚一枚服を床に落としていく。 「ダ、ダメだって朝美ちゃん!」  言っても止めてくれなさそうだと判断した僕は、両手で目を隠す。  でもそうすると他の器官が敏感になり、朝美ちゃんの服の擦れる音がとても良く  聞こえてきた。  今どこまで脱いだのかは分からないけど、もう絶対にヤバイ所まで脱いでいるはず  だ。 「お兄ちゃん……見て」  囁くような声がはっきりと僕の耳に聞こえる。 「ダ、ダメだって朝美ちゃんっ。は、早く服着てよ! それに僕には梢ちゃんが」  いるから、と言おうとしたんだけど、言えなかった。 「分かってる! だから券を使うの。お願いお兄ちゃん」  朝美ちゃんによって遮られたからだ。  ふわっと甘い香りが僕の鼻腔ををくすぐると、僕の体に程良い重さが感じられた。  それはさっきまで僕のひざに感じていた重さだった。 「うわっ!」  僕の体は押し倒され、受け身を取るために両手で体を支えた。  そして僕はしっかりと見てしまった。  雪のように白い肌。小さな胸。柔らかそうな太もも。形の良さそうなお尻。  全てが可愛らしかった。 「ねぇ、朝美の身体……綺麗?」  とても中学生とは思えない妖艶な表情に僕は息を呑んだ。  朝美ちゃんは僕の上で体を起こすと、自身の身体を抱きしめた。 「……あ、さみ、ちゃん……」  僕は情けないことに綺麗だと思ってしまった。  梢ちゃんがいるのに、今僕は朝美ちゃんに目を奪われてしまったのだ。 「初めては痛いってお友達が言ってたけど、お兄ちゃんだから我慢するね」  朝美ちゃんは僕にそう言うと、僕のズボンのチャックを下ろした。 「朝美ちゃん……」  その時、僕は逃げられたはずなのに、止めさせることが出来たはずなのに、  頭では分かっていたのに、体を動かすことが出来なかった。  それなのに、僕の身体は朝美ちゃんの艶やかさにしっかりと、情けないくらいに  反応をしていた。 「あっ!」  クチュっといやらしい音がして、僕の身体が温かさを覚えた。  締めつけられる……! 「い……たっいぃ!」  朝美ちゃんは大きく背を仰け反らせ、苦悶の表情を浮かべる。  僕はとっさにこれ以上朝美ちゃんが腰を下ろさないようにと、手を差し伸べた。  ムニュ……。  バカだった。僕はバカだ。そうしようとすれば、自ずと朝美ちゃんのどこを  触ることになるのか気付かないなんて。 「あんっ」  僕は朝美ちゃんの柔らかなお尻を掴んでいたのだ。  や、柔らかい……。  もうダメだ。僕はヘンタイに成り下がったのかもしれない。  口は何とでも言うけど、やってることは全然反対のことだし。 「も、っと触ってお兄ちゃんんぁっ!」  朝美ちゃんは痛みを堪えて、僕の手の静止を振り切って、一気に腰を下ろした。  生温かい液体が僕の分身を包み込む。  正直気持ち良かった。けど、僕は気持ち良くなって良かったのだろうか?  仮に良かったのだとしても、朝美ちゃんを傷つけたことには変わりないし、  痛い思いをしているのはやっぱり朝美ちゃんだけ。 「朝、美ちゃん……うあっ、い、たい、くぅっ、でしょ?」  ゆっくりと腰を上下させ始める朝美ちゃん。  僕の耳に、朝美ちゃんの荒い息遣いと、僕と朝美ちゃんが繋がっている部分から  水の混ざり合う音が聞こえる。 「うう、ん。痛く、ああっ! んあ、はぁ、なぃぃ、よぉ? あ!」  破瓜の痛みが薄れてきたのか、朝美ちゃんは動きを増し、僕の分身を  存分に刺激する。  初めての感覚。今までに感じたことの無い快感。  様々な刺激が僕を狂わせていく。 「朝美ちゃんっ! 朝美ちゃんっ!」  いけないことだと頭の片隅でまた理解している。けれど僕の身体は正直で、  朝美ちゃんが腰を振るのに合わせて、腰を振り始めた。 「んんぅ! ああ、くっ、ふぁっ、は、あ、ふぅ、ひゃあ、あっ!」  僕たちが腰を打ち付けあう度に朝美ちゃんは声を上げ、それに会わせるかのように  僕に対する締めつけも強くなる。  も、ダ、メだ! 「朝美ちゃん! 僕イッちゃうよぉ!」 「ホン、ト? はぁ、あっ、うぁぁぁ!」  僕の射精と同時に朝美ちゃんも絶頂に達したらしく、力が抜けた身体を  僕に預けてきた。 「はぁ、はぁはぁ……」  僕は肩で息をしていた。朝美ちゃんの体をしっかりと抱きしめたまま。 「はぁ、ふぅ、んん……お兄ぃちゃん……」  小さく呟いて、朝美ちゃんは目を閉じた。  僕は朝美ちゃんの温もりを胸元に感じ、そっと頭を撫でる。  そして僕たちは一緒に一夜を過ごした。 679 名前: メリー [sage] 投稿日: 2005/07/02(土) 01:05:07 ID:VF8hXAJB 以上〜 今回何度『朝美たん』と入力間違いをしたことかorz にゃ〜んな感じを保とうとした結果、こんなんなりましたけど? 積極的な朝美ちゃん……。なんか変?