------ 名前 ------ 「ねえ、ちょっと」 「何よ、今忙しいのよ」 「忙しいって、ホモ小説読んでるだけじゃない」 「ホモって言わないで!これはボーイズラブだよー」 「あいつの言い草じゃないけど、言い方を変えてるだけよ」 「うぅ……………」 ここは脇役天国。 本編における登場頻度が低い者達が集う場所。 「なんかひどい言い草ね、ナレーター」 「うん」 ……だって、そう表現するしかないし。 それはともかく。 「にしてもさー、あんたの名前の『理想奈』って……」 「いい名前でしょー、少女マンガのヒロインみたいで」 「あんたはそうかもしれないけどさー……私にしてみれば、  銀行  ……なんだよね」 「はうううううぅぅぅぅ!!!!!」 ショックを受けるホモスキー。 「ひ、酷いわ、私がずっと気にしてる事なのに!それを言うだなんて!  この元ネタはラテン語で『共鳴する』って意味なのに!馬鹿!外道!鬼畜!  馬に踏まれて死んでしまえー!!!」 「そこまで言われる覚えは無いわよ……」 ギャーギャー騒ぐ理想奈に対し、釘バットは呆れ顔。 「何よ、それを言ったら、あなたの『瑞穂』だって銀行の名前じゃない!  しかも往年の寝台特急にもなってるわ!!」 「な、なんですってーーーー!!」 過剰反応する瑞穂。 「それだけはあんたに言われたくなかったのに!しかも廃止された寝台特急まで持ち出して!  あんたのほうが外道よ!腐女子!変態!豆腐の角に頭をぶつけてしまえー!!」 「二人とも元気良く喧嘩してるトコ悪いんだけどさ」 最早泥沼の二人へやってくる影。 「あ…………お姉さん」 やってきたのは、阿甘堂のお姉さん。 「あんたたちはまだいいわよ……銀行にしろ、列車にしろ、今も元ネタがあるんだから。  それにひきかえ私は…………銀行は『りそな』とかいう変な名前になるし、  列車に至っては急行から新幹線にまで上り詰めたのに、『朱鷺』に変わっちゃうし」 そう話す旭さん、すごく疲れた顔をしている。 人生に疲れた顔だ………… 「お姉さん…………」 「……そうよね、お姉さんはもう元ネタが無いんだったね。  まだ私達は幸せなのかも……」 「じゃあ俺達の立場はどうなるんだ〜?」 「あ、八百長のおじさんと…………どなた?」 「水無月家の専属運転手です……沙夜子お嬢様がいつもお世話になってます」 「はぁ……」 少しマイナーな八百屋の親父さん、現在名無し。 「ちくしょう……どう考えても『やおちょう』としか読めない看板担がされてんのに、  よりにもよって俺は名無しかよ……」 「私なんていつもハンドル握ってるだけ……」 「――お互い、大変ですね」 名前があるのとないのでは大違い。 しかし、今ではどうでもよくなっていた。 「名前が……名前が欲しい……でも、どうすれば……」 「まぁ、そういう恨み節は〜」 「あ、プチ銀先生」 「あそこにいる駄目作者に言うです〜」 珠実が指を差した先には…… 作者、せっせと作業中。 「………………」 「………え、なに、脇役のみんな」 「名前……」 「名前?…………あ」 しばらくの沈黙。 そして、小島の回答は。 「―――――テヘ」 その日、作者の悲鳴が再び響きました。 <>is exploded. 402 名前: 名前(チラシの裏) [sage] 投稿日: 2005/06/24(金) 18:37:14 ID:G7VYrsqD 完全に勢いです。もしかしたら原作スレで既出事項だったり…… ちなみに、元ネタは本当の話です。 あさってが最終回とは思えない感じです。