---------- ホコトン ---------- 「ただいま〜………?」 鳴滝荘に帰ってくると、そこには皆が揃っていた。 何かを話し合っているようだ… 何を? 宴会の打ち合わせか? 「あ、白鳥さん、お帰りなさい」 「ただいま……って、皆何をしているの……?」 「ああ、白鳥クン。ちょっとこの鳴滝荘について話し合ってたのよ」 「ここ……についてですか」 「そうよ。白鳥クン、変だと思わない?」 「……変?」 何が? 住む上で何か問題でもあるような類なのか……? 「いや……特に何も思わないけど」 「やれやれ、白鳥さんはニブチンです〜」 「……珠実ちゃん……」 珠実ちゃんは言う。 「じゃあ、訊き方を変えるです。白鳥さんは、鳴滝荘はどんなトコだと思いますか?」 「どんなトコって……」 いや、思いつくのは「宴会だらけ」なんだけど…… 珠実ちゃんが訊きたいのは、そっちではないのだろう。 鳴滝荘の特徴。 それは、僕が思う限り――― 「―――やっぱり、広い、かな」 「です〜。ここは都内の一等地にも関らず広いですね〜」 満足したように頷く珠実ちゃん。 「……で、何が言いたいの、珠実ちゃん」 「ああもう、気付かないですか〜?他の皆は分かっていると言うのに…」 珠実ちゃんは呆れ顔だ。 「でも、分からないものは分からないって…」 「珠実お姉ちゃん、何が問題なの?」 「……水ようかんより大切なコト……?」 「…………」 頭を抱える珠実ちゃん。 彼女にしては珍しい行動だ。 「……だから……この広さに対して部屋数が少なすぎるって事です!」 「…………あ」 ああ……納得。 「なるほど……言われてみれば、そう、かも」 「お前、気付くのが遅いゾ」 「まあ、白鳥クンだから」 色々と突っ込みを食らう。 いつもの話。 「でも……なんでそんな事が……」 「さあ……私にも分からないです〜」 珠実ちゃんも分からないって…… 鳴滝荘七不思議ってか? 「梢ちゃんは、何か知ってることはある?」 「さあ……私は、ひいおじいさんや両親が残したものを、そのまま使っていますから」 そうか……いくら大家とはいえ、女子高生。 そんな細かいことまでは把握してはいない、か。 まあ、当たり前と言えば当たり前だけど…… 「どうしてなんでしょう……?」 「うーん……」 「どこかに秘密の扉があるって事かなぁ?」 「……別に問題は無いと思うケド……」 「謎だわねぇ……」 「臭うナ……コイツはヤバイ臭いがするゾ」 ワイワイと、井戸端論議が始まる。 でも、結論は出ない。 ただ、時間だけが過ぎていく。 「あの〜、みなさん」 ふと、珠実ちゃんが手を上げる。 「何よ、珠ちゃん」 「ここらで証人を召喚したいと思うのですけど〜」 「証人……?まあ、いいけど……」 「というか、誰を呼ぶわけなの……?」 「わあ、面白そうですね〜」 「……召喚?魔法?」 「水ようかん呼び出して……」 「どうでもいいケド、早くしてくれヨ」 「分かりました。では〜……」 「いでよ〜!!!」 ボン!! と言う馬鹿でかい音と煙を伴って出てきたのは、  .__ ヽ|・∀・|ノ  |__|   | | 作者だった。 「あれ……ここ……どこ?」 「どこって、鳴滝荘です〜」 「え!?うわ、ナマ珠実だ〜!ってことは、うわ〜、すごい、みんな揃ってる!  なぜ?どうして?でもいいや。鳴滝荘に来る事も出来たし。感動〜……」 「感慨に耽っている所悪いですが訊きたい事があるです馬鹿作者〜」 珠実ちゃんは作者に訊ねる。 「え?何?質問って」 「どうして鳴滝荘の広さと部屋数が一致していないんですか?」 「…………へ…………?」 予想もしない質問にきょとんとする作者。 「調べたら、建物の窓の数も一致しなかったです。どういう事ですか?」 「いや、それは…」 どもる作者。 「本来ならもっと部屋数があって然るべきなんですが」 「…………………いや…………………それは」 段々無口になる。 「それは、なんですか?」 作者は答える。 「単に、キャラの数を増やしたくなかった、っていうのはダメ?」 「…………………」 黙る珠実ちゃん。 周りから、怒りのオーラが発されている。 それも、二重三重、と。 …………………怖い………………… 怖いよ珠実ちゃん…… 「……………あのですね、私達はそれぞれにアナタに恨みがあるのですよ」 「へ……………?」 その言葉を皮切りに、各々不満を言い出す。 「アタシの年齢は20なのに19とか書くし」 「俺の扱いはこのメンバーの中で一番酷いゾ」 「どうして私はいつも制服しか着ていないの?」 「…………水ようかん……………」 「何で毎回僕の部屋で宴会なんですか…………?」 「あの、なんでこの建物に矛盾を造るんですか」 「…………………あう…………………」 皆に責め立てられ、黙る作者。 「……………………」 「しょうがないですね〜……ここは一つ、強硬手段に出ますか〜」 「へ……?強硬手段って、何?」 「ちょっと、考えがあるです〜。ギャンブルっぽいですけど」 ……ギャンブル? それって、まさか―――― 「梢ちゃん〜」 梢ちゃんに近づく珠実ちゃん。 「なあに、珠実ちゃん」 「ゴメンです〜」 珠実ちゃんは梢ちゃんのミニスカートの裾を持ち。 そして一気に、上に持ち上げる。 「――――――!!!」 しろ。 ご丁寧に、リボンのワンポイント。 「―――――――――」 赤面する梢ちゃん。 そして、そのまま、床に倒れる。 「――――こ、梢ちゃん!?」 梢ちゃんは、動かない。 「ちょっと珠実ちゃん、どうしてこんなこと―――」 「ちょっと<あの人>を呼び出すためには、こうするしかなかったかと〜」 あの人? まさか。 まさか、彼女じゃないよね……? 「―――――あ」 ムクリ、と梢ちゃんは起き上がり。 長い髪を後ろに束ねて。 赤坂早紀が、そこに現れる。 「―――よう、珠じゃねぇか。どうした?」 「実は〜、これこれしかじかで〜」 「かくかくうまうまって訳か。よし、そうと分かればやる事は一つだ」 「―――――――――――」 作者の声は、最早声になってない。 早紀ちゃんの雰囲気に。 珠美ちゃんのオーラに。 そして。 僕達の怒りに、震え上がっている。 「よし、おまえら――――」 「――――下克上の準備はいいか?」 その日。 「ギャーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 作者の断末魔が、鳴滝荘に響きましたとさ。 <>is exploded. 755 名前: ホコトン(アトガキ) [sage] 投稿日: 2005/06/13(月) 23:07:13 ID:lwDwP/Dp 勢いで書きました。 なんとなく、作者をいじりたかったから…… あと、鳴滝荘の矛盾(ホコトン)を取り上げてみたくて。 ある意味、謎な作品だと思う。自分で書いといてなんだけど。 でも、書いてスッキリしたかな。 あ、早紀ちゃんが出てきたのは、偶然デスヨ?