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<やきうコラム 投稿編 第1回>

秋山 幸二(ダイエーホークス)


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プロ野球ファンなら誰もが知っている選手(のはず)。

もともと、常勝西武にいたのであるが、

当時ホークスの実質的責任者であった根本氏のもと、ホークスにトレードされてきた。

根本氏の弱小球団を強くする方法の一つに、

経験豊富なベテランを自チームに引き入れ意識改革をする

ということがあげられる。

西武時代にも田淵をトレードで獲得しチームを強くしたという経緯がある。

それをホークスでも行ったのである。

ホークス側からは佐々木や村田らのチームの投打の柱を放出、

替わりに秋山や渡辺富などを獲得と、当時は大型トレードとして

衝撃的なニュースとしてとらえられたほどである。

ホークスは佐々木や村田などどちらかといえばこれからの選手を、

たいしてライオンズは秋山や渡辺などどちらかといえば

下り坂の選手をそれぞれ交換したのだから、

プロ野球界ではホークス側が損なトレードとして受け止められていたようである。

事実、ホークスのファンの間でも否定派の方が多かったと思われる。

しかし、それが間違いであり、秋山選手を獲得したことが

ホークスにとっては吉と出たことは

今も彼がホークス内で多大な影響を与えていることからも明らかであろう。

そんな彼も、来年は40歳、22年目のシーズンを迎える。

もはやフル出場することは出来ない。

だが、彼の野球に対する姿勢は若手の良い手本となっており、

同じ八代出身の松中選手もそんな秋山選手を尊敬している。

彼は、その長いプロ野球生活において、ホームランを打つアーチスト、

そしてバク転など派手なイメージがある。

タイトル経験ももちろんあり、6年連続20本塁打20盗塁の日本記録も保持しているし、

通算最多三振の日本記録も彼にとっては勲章である。

昨年2000本安打を達成し名球会入りしたのも記憶に新しい。

そんなプロ野球界の表舞台を歩んできた派手なイメージのある彼だが、

彼自身は決してそんなことはない。

無口でシャイで、野球に黙々と取り組む地味なタイプの選手なのである。

彼のすばらしいところは、それだけではない。

いや、それ以外にあると私は思っている。

それは、彼が契約更改でもめているのを見たことがないと言うことである。

また、彼は早々にFA権を得たにも関わらず、それを使う素振りさえ見せない。

そんな彼を見ていると、”好きな野球さえできれば、それが一番幸せである”

そう言っているように私には思えるのだ。

彼はいったいどのような形で球団を去るのであろうか?

最終打席でホームランでも打って派手にやめていくのであろうか?

それとも、体力の限界まで野球を続け、

ぼろぼろになって人知れず球団を去るのであろうか?

どちらにしろ、彼が引退をすれば、

彼の背番号は永久欠番候補になるのは間違いないだろう。

しかし、それが実現しそうになっても彼自身はそれを断るような気がしてならない。

派手な野球生活とはうらはら、秋山幸二はとてもシャイな人なのだから。

(原文ママ)