To Heart
(トゥ ハート)
プレイステーション:¥6800
ウィンドウズ:¥?
このゲームを遊んで
どこを取ってもキチンと作られていると感じました。
そこら辺をシッカリ書いていこうと思います。
まあ、このゲームもギャルゲーで
ギャルゲーならではの文法を持っていますが
ゲームデザインで「おお〜!」と感心した部分が
たくさんあります。
そこがキチンと作られていると感じた点です。
まずそれを書いていきます。
まず、お目当ての娘以外のキャラとも
ある程度仲良くなる必要があります。
ギャルゲーって
目当ての子以外のキャラと関わるイベントを
起こすとバッドエンド直行なゲームが多いです。
しかし、このゲームは目当ての娘が
全然出てこない(ゲーム中での日にちでの)期間も
また、どのキャラを攻略していても起こる共通イベントが
たくさんあります。
そういう時、僕はギャルゲーの文法にしたがって
他の子には関わらないようにしていたのですが
結果はバッドエンドでした。
コレがバッドエンドの原因の1つです。
このゲームの攻略本を見て解ったのですが
<VSイベント>と言うイベントがあります。
自分が狙って攻略しているキャラ以外のキャラが
主人公にお伺いを立ててきます。
例えば「あの子をどう思っているの?」
と質問されて「ただの友達」と否定するか
「付き合ってるんだ」の二択の場合があったとします。
この時『あの子』とハッピーエンドになりたいなら
「付き合ってるんだ」を選ぶ必要があります。
この<VSイベント>は
狙っている子以外のキャラと仲良くなっていないと
お伺いをたてに来ないのです。
だから、他のキャラとも仲良くなる必要があるワケです。
ただし<VSイベント>は起こさなくても
エンディングを迎えられるキャラもいますし、
逆に、起こさないとクリアできないキャラもいます。
バッドエンドのもう一つの原因は
選択肢を間違っていました。
ただ攻略したい子を『褒める』選択肢を選ぶだけが
正解ではないのです。
ギャルゲーって
攻略したいキャラを、とにかく肯定的に褒めていればOK
ってゲームが多いです。
このゲームでは、叱る、もしくは否定的な意見を言うんだけど
結果的には良いという選択肢がありました。
『トゥ ハート』以外のゲームで
『サクラ大戦』でもこういう選択肢がありましたね。
こういう事で結果的にバッドエンドになっていました。
僕もギャルゲーの文法に毒されちゃってたんですね(苦笑)
この事実に、かなり衝撃を受けました。
ココで勘違いしないで欲しいのは
こういうゲームデザインは、ゲームとして普通の事だと思います。
質の低いギャルゲーが多くなってしまったという事です。
でも、構えないで下さい。
このゲームは必要以上に難しくはありません。
例えば、自由行動でその場所にいるキャラは
表示されているので、迷わなくなっています。
そのキャラと会話して選択肢をキチンと考えて選んで下さい
というゲームデザインになっています。
(選択肢で考える必要がないギャルゲーは多いです(笑))
マレに『?』と表示されて誰だか解らない時もありますが
そういう時は試しましょう。
『?』が出る回数は多くありませんし。
あと、複数のキャラと仲良くなって
<VSイベント>を起こす場合がありますが
<VSイベント>を起こすために
攻略しているキャラ以外のイベントを起こしても
攻略しているキャラのイベントを逃す場合はありません。
もっとも、自由移動画面で
攻略しているキャラと他のキャラがいた場合、
攻略しているキャラを選ばないと
イベントを逃すのは当然ですよ(笑)?
他には、ミニ ゲームがスゴク良く出来ています。
ギャルゲーって割と起伏の少ないゲームで
メリハリをつけようと、ミニゲームが入っています。
『トゥ ハート』も1回エンディングを終えると
オプションモードでミニゲームが遊べます。
でも、僕はギャルゲーに入っているミニゲームを
ほとんど遊びません。
キライなんですよ。
実はゲーム中で遊ぶのもイヤです。
タイミング勝負のワンパターンゲームが多いから。
正直言ってつまらない。
やり込む価値もあまりないと思ってます。
『トゥ ハート』では
ミニゲームがイベントクリアの条件になっていません。
ゲーセンで遊ぶという設定が多く
対戦物メインですが
志保(強い)>雅史(ふつう)>あかり(弱い)と
対戦相手の強さがハッキリしています。
そして、ミニゲームでの勝利が
イベントクリアの条件ではないので
気軽に遊べます。
僕はギャルゲーのミニゲームを重荷と思っています。
クリアの障害になる物が多いし、
大抵は単純なタイミング勝負なので
ドン臭い(笑)僕には難しいのです。
だから、かえってストレスがたまってしまいます。
そして『トゥ ハート』のミニゲームは
ゲーム自体がシッカリ作ってあって
どれも遊んで面白い。
例えば、落ち物対戦パズルですが
キャラによって
ダメージを与えるブロックの落ち方を設定して
別物ゲームとして3000円くらいで
売り出せば良いのにと思いました。
『トゥ ハート』のキャラが出ているってだけで
買ってしまう大きなオタクなお兄さんは多いのに(爆)
ココまで<VSイベント>、<ミニゲーム>、
そして<ゲームデザイン>について書いてきました。
ゲームデザインについて、まだ書きたい事があるので
さらにゲームデザインの話を続けます。
よく学生生活を楽しむギャルゲーがありますが
大抵は決まったヒロインとの話ばかりで
他のキャラと、どうなっているかを描写していません。
『トゥ ハート』では、攻略するキャラが出てこない期間があり
普通に遊んでいれば、他のキャラとも接する機会を作っています。
コレまでの友達と遊ぶイベントも入っていて
攻略キャラ以外の部分も描かれています。
そして、攻略キャラ以外にもある程度仲良くなる事で
<VSイベント>で主人公と攻略キャラの
ふたりの関係をハッキリさせなければいけません。
ただ甘いだけの生活が続くだけじゃありません。
こういう流れが良かったです。
「高校生活を楽しむ」とかうたっている他のギャルゲーでは
あまり他のキャラとの絡みや
普段の学校生活が描かれてないので、
実感が湧かないです。
他には、原作のPC版が18禁Hゲームでしたが
PS版はそれほどエロを感じさせる描写はなくなっています。
他のPC18禁版から家庭用機に移植された
ギャルゲーはたくさんありますが、
Hだけがスコ〜ンと抜けていてスゴク違和感があります。
僕はゲームにHを求めないので
そういう「あ、ココでやったな?」と
Hを感じさせる部分があるのは好きではありません。
このゲームには、攻略キャラは複数います。
というワケで、繰り返しプレイへの対応もキチンとしています。
(L1)ボタンを押す事で既読文書のスキップ
メニュー画面の設定で既読文書を1ページごとに表示したり
キャラごとに音声を出す、出さないの設定が出来るなど
およそギャルゲーで考えつく機能は全てついています。
そして放課後の通常移動の画面では
どこにどのキャラがいるかが解ります。
つまり攻略したいキャラ、
もっと言えばゲームそのものに集中できる環境が整っています。
だから、繰り返しプレイが苦にはなりません。
そして、攻略キャラに対する選択肢は
シッカリ考えるものになっています。
声優さんも実力派の有名どころを使っていますが
演技指導がスゴク多かったそうで
大変だったとインタビューで声優さんが言ってました。
僕が気に入ったのは、
宮内 レミィ役の笠原 留美さんです。
方言で関西弁を喋る声優さんは何人かいますが
(トゥ ハートでも保科 智子役の久川 綾さんがそうです。)
巻き舌でキチンと英語の発音をしていて
珍しかったから(苦笑)
僕、英語の発音が上手くないので
(ついでにカラオケの歌も上手くない(笑))
スゴク上手くて羨ましかったです。
有名所を使ったとしても
キチンと演技指導をして、ある程度時間をかけないと
良いものは出来ません。
実際、起用した有名声優の名前だけで売ろうとしている
ゲームもありましたからね(苦笑)
というように、『トゥ ハート』は
どこを取っても素晴らしい作りになっています。
さて、さらに突っ込んでギャルゲー論も書こうと思います。
メールでのやり取りがあって
出された方の了承も頂いているので
掲載して僕も思う事を書いていこうと思います。
題名:ギャルゲーの件
筆者:aphroditeさん
ご連絡どうもありがとうございます。
aphroditeです。
分量が多くなってしまい、
掲示板の字数制限を超えていそうなのでメールで送らせて
いただきます。
格別メールという形式に意味はないです。
掲示板の日記の記述を拝見しましたが、
以下はギャルゲーの黄金律とでもいうべきものなのですか。
出会う→少しずつ仲が良くなる→ベタボレ状態→突然悲劇が起こる
→それを乗り越えてハッピーエンド
一つの決まり切った表現様式としても、
その定型のなかで如何に上手く物語を見るか
は脚本さんの腕の見せ所なのでしょうね。
この流れは現実の男女関係が根底にあって
それを劇的象徴的に表現したものなのだろうと思います。
そういう意味では、
やはりある程度の年齢と経験があるからこそ、
物語を理解できたりパロディーとして笑えたりするのでしょう。
これとちょっと違うと思うのが、
最近のアニメやゲームの展開です。
いいなずけが三つ指つき、
奴隷志願のメイド、
12人の妹などなど。
これはさすがに現実にあり得ない設定だと思うのですが、
これが大人気なのはいかなる事なのでしょう。
この流れと違って
経験や年齢が無くとも楽しめるという可能性もあるし、
それがあるからこそ笑えて仕方がない
という解釈も成り立つと思います。
かくいう私も、
今は「シスタープリンセスリピュア」が面白くてたまりません。
そういえば以前に北海道で、
女性を監禁して首輪を付けるという事件がありませんでしたでしょうか。
さすがに現実生活で
「男性の素晴らしさを教える」とか
「太い注射をする」という選択肢を選ぶとまずいですね。
このように考えても
やはり、エロゲーだって現実のパロディーだから面白いのかな
と思うところです。
付加的に一つ、
「トゥハート」関連文書として面白いものがあるので、
紹介させていただきます。
「国内産ゲーム」という項目の中にありますが、
よろしければ目をお通しになってみてください。
ネタバレなどは一切無いと思われます。
古くからのPCゲーマーという、なかなか面白い方の感想です。
アドレスはhttp://www.angel.ne.jp/~hamham/g_top.htmです。
それでは、失礼します。
(原文のママ、全文を掲載しました。)
注:メールから引用した部分は<>で囲っています。
aphroditeさんが言われた<ギャルゲーの黄金律>として
僕が掲示板に書いた
<出会う→少しずつ仲が良くなる→ベタボレ状態→突然悲劇が起こる
→それを乗り越えてハッピーエンド>
というのは、どのギャルゲーでもあり
この起承転結が上手くできているゲームは
良い評価をえられます。
<上の流れは現実の男女関係が根底にあって、
それを劇的象徴的に表現したものなのだろうと思います。>
僕がギャルゲーを遊ぶべき人は
ある程度年齢が高い人だと言いますが、
現実の恋愛の経験がないと
ゲームのストーリーの一連の流れが理解できないからです。
あとは、ゲームと現実とは違う都合の良い部分を許すためにも
現実の恋愛経験は必要だと思っています。
<やはりある程度の年齢と経験があるからこそ、
物語を理解できたりパロディーとして笑えたりするのでしょう。>
このように、aphroditeさんも同じ事を言われてますね(苦笑)
少しギャルゲー以外の話も入りますが
僕はゲームの重要な部分は、リアルさではないと思っています。
僕は、ゲームとはゲームデザイナーが
現実から切りとってディフォルメして強調した部分を
ゲームとしていかに楽しめるかが大事だと思っています。
無論、シミュレータのように
現実のリアルさを求めるゲームもあるし
そういうゲームがあって良いと思います。
だから操作性、例えばキーレスポンスが悪いなど
遊び易さでの欠点を除いた
ゲームデザインの長所と欠点は、表裏一体だと思っています。
余計な部分を切り取る事も必要だと思います。
(そこに製作者のセンスがないとダメゲーになってしまいますが)
あまり難しくし過ぎると攻略本必須でないと、
クリアできないゲームになってしまいますから。
僕は、簡単すぎるゲームもダメだと思いますが、
難しすぎるゲームも問題ありだと思っています。
またも、『ときめきメモリアル(1)』を例にとりますが
あのゲームに「お金の概念がなくてリアルでないからイヤ」
という意見を見た事があります。
確かに、現実の恋愛だとお金がないと
プレゼントをあげたり、デートで遊びに行く事が出来ませんから。
でも、お金の概念を入れると
ゲームの難易度がハネ上がってしまいます。
このゲームでは、イベントの発生条件がシビアなものもあり
お金の概念を入れると
バイトなどをしてお金を稼がなければならない、
もしくは所持金が足りなくて出来ないなどで
見逃すイベントが増えてしまいます。
他には、そもそも『ときメモ』でこの子には何をすれば良いなどの
直接的なヒントはたくさん出てこないのです。
だから、自分で何度か試す必要があります。
お金を稼がなければならないと
メンド臭すぎると思うので、
だから、あのゲームデザインで正解だと僕は思っています。
他には、逆に難しくなってしまったと思う
『Piaキャロットへようこそ2.5』について書きましょう。
それほど厳しい条件ではないですが
パラメータの人参が足りないと
ほとんど全ての固有イベントを見ていても
バッドエンドになってしまいます。
このゲーム、育成SLGの部分が入っているので
ストーリー攻略がパズルゲームっぽくなってしまっていて
ココで必ずこのコマンドを実行しないと
全てのイベントを見れないというキャラもいました。
難易度の高いキャラになると
ゲーム中で選択するコマンドが
ほぼ全て決まっているキャラもいて
遊んでいて窮屈でした。
遊ばれた方なら納得できると思います。
え〜と、この部分(↓)も重要ですね?
これとちょっと違うと思うのが、
最近のアニメやゲームの展開です。
いいなずけが三つ指つき、
奴隷志願のメイド、
12人の妹などなど。
これはさすがに現実にあり得ない設定だと思うのですが、
これが大人気なのはいかなる事なのでしょう。
僕は、最近のギャルゲーやギャル系アニメに
興味がなくなってきました。
こういうの多いんですよ、
現実にはどう考えてもいない人形みたいな、
何されても、ひたすら尽くすって女が。
僕自身は、人形みたいな女性に興味を持ちません。
何度か、ギャルゲーを楽しむ人は
現実にないような部分を
笑って許せるようでなければイケナイと、僕は言ってます。
しかし、同系統のキャラばかりだと
最初から主人公(=プレイヤーキャラ)にベタボレで
ハーレム状態になっているのでキライです。
最初は、相手の子が何とも思ってないとか
嫌ってる状態から好きにさせるのが、
ギャルゲーの醍醐味だと思っていますから(笑)
ところで、『トゥ ハート』で一番人気があるキャラは
メイドロボのマルチだと思うんですが
(周りで良いという人が多い(笑))
僕はこのキャラをそんなに良いとは思いませんでした。
僕が気に入ったのは志保と智子でした。
(ネタバレなんで、下の部分は伏せ字にしてあります。
見たい方は、CTRL+Aを押してご覧下さい。)
志保は、普段、お気楽にふるまっています。
主人公の事が好きになってしまったケド、
友達であるあかりから主人公を奪うのがツライ。
そして、良い感じでいる友達の輪を崩したくない。
だから、自分が諦めようっていう‥‥
良い娘じゃないですか??
しかも、エンディングで良い女になって戻ってくるという
一粒で二度おいしい(何が(笑))キャラなんですよ?
智子は、人との間にスゴク壁を作って距離を持っています。
彼女の心の拠り所は違う所にあって‥‥
う〜ん、この娘は、
僕の思い出とかぶる所があって好きになりました。
声優さんが誰だとか、関西弁を喋るとか
メガネをかけているとか
そういう理由では好きではないです(苦笑)
という風に、僕はキャラ萌えから
キャラを好きになりませんでした。
あくまでストーリーから好きになりました。
このキャラのストーリーは納得できるという感じで。
僕、ホントは志保の外見は、
あまりタイプではないんですよ(苦笑)
最後になりますが、機会があれば『トゥハート』をゼヒ遊んで下さい。
ジックリ遊べる良作です。
中古価格も2003年初頭現在で
4000円くらいすると思います。
99年発売の旧機種である
PS1のゲームとしては大健闘しています。
中古価格は、ある程度ゲームの内容に
正直に反映されいるので
この価格に僕も納得しています。
プレイ時間
攻略キャラは全部で10人
最初の1キャラ=8時間×1人
次からのキャラ=(共通イベントを飛ばして)3〜4時間×9人
計=約40〜50時間