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セガサターン:¥5800

P  S  :¥5800

今回は永富 潤さんのアルバム・げ〜む権『街』ですよ。お待たせしました。

(1)サウンドノベル

元々このジャンルは、ただ文章の垂れ流しという悪いイメージしかなかった。
最初のヒット作『弟切草』でさえ、僕はそう感じた。
大体30分くらいで1回のエンディングを迎えるけど、
ヘンなショートストーリーで、何回も遊ばせられる、ストレスが溜まるゲームだった。
加えて、僕がアホなので、テキストを流そうとボタンを連打していて、
うっかり同じ選択肢を選んで、同じパターンの話になって、仏頂面でボタンを押している
すごい悪循環だった。

(2)街の第1印象

とにかく悪かった。(1)で書いたようなトラウマ(?)がある上に、
実写!?それも、きわどい、すごい顔のカットばかり‥‥。
当然、パスした。

それから、ドリームキャストが出た頃だろうか‥‥。
今まで以上に旧機種サターンのゲームのワゴンが増えたのは。
僕はあるお店で別のゲームを買ったんだけど、そこに並んでいたんだよね。『街』が。
それも店員さんの手製のポップ付きで‥‥。それにはこう書いてあった。
「プレステ版が発売されても、サターン版こそ最高です!」とか何とか。
その時は「ふーん」とか思って、見逃していたんだけど、なにか気になって‥‥。
あと、ゲーム批評で何で面白いのに売れないんだっていう記事があって、
それに『街』と『グランディア』が取り上げてあった。
その記事で、『街』のメーカーの中村光一さんが出ていて、まともな事を喋っていた。
その記事のこともあって、週末にもう一度そのお店に行って、『街』を買っていた。

(3)どんなゲーム

TIPSという説明の言葉、ザッピング(他のキャラの話へ進む)を読み進めて
選択肢を選び、それが該当するキャラ・および他のキャラ(全部で8人)
のバッドエンドに引っかからないように進めていけばOK。
コレ、説明書に書いてあるとおりですが、それ以外に説明しようがない。
それくらい、単純なゲームです。
使うボタン操作も複雑でないし、単純さゆえにのめり込むタイプのゲームです。
その辺をコレから説明していきます。

(4)CD−ロムだから出来たゲーム

このゲームの監修の長坂 秀佳さんって、『弟切草』でも関わっている。
僕も『弟切草』を遊んで不満だったように、長坂さんも出来なくて不満がたくさんあったらしく、
それが『街』で形になってきていますね。

根本的な理由は、ロムカートリッジで容量制限があって思う事が出来なかった、
などのハード面の不満があったようです。

(5)ユーザーに情報を提示し、管理させるコトでクリアできる。

どういうコトかというと、遊ぶ人に出来るだけ自分が何をしてきたか
分かりやすく作ってあります。
例えば、文章は数個の選択肢に応じて、パターンがありますが、
ゲームに完全なヒストリー機能(過去のテキストの読み戻し)があって、
何をしてきたか一目瞭然です。

自分が選んだ選択肢もマーキングしてあるし、ヒストリー機能で読み戻して、
選択肢からやり直す事が出来ます。

また、攻略の際、選択肢や重要なTIPSが出てくるゲーム内での時間を覚えておく、
そして選択肢で何を選んだかメモでも取っておけば、
クリアまで一直線です。

でも、それだけだと素っ気ないですよね?
そこで、ゲームならではの味付けがしてあるんです。

(6)複雑で意外な人間関係

『街』というタイトル、プレステ版のサブタイトルで考えてもらえば分かりますが、
このゲーム、意外で複雑な人間関係があります。
僕は、ワープロで情報を整理しながらプレイしましたが、
一見、全然関係ないようでも関連が、プレイヤーに明かされたり、
選択肢で知る事になったりと、意外の連続でしたね。

だから、いろんな人間がいて、人生の中で何があるか、
どんな事で関係を持つか分からないからこそ
『街』というタイトルになったと思います。

(7)大人が遊べるゲーム

現在、子供のころにテレビゲームが出てきて、遊び出して、成人したという方も多いと思う。
『街』って、それらの人向けのように思う。
何気なく読み飛ばしてしまえるけど、
よく考えると「このお話はある程度の年齢でないと分からない」傾向の話がある。

例えば、コレまでの人生を振り返って考え込むというキャラが何人かいますが、
子どもは、まだ、人生を振り返る経験などないでしょう。

そして、ゲーム性、文学性、どちらを持たせるかで悩んだ話もある。
そこまで、読みこむためには、やはりある程度の年齢が必要だと思う。

具体的には、高峰 隆士・市川 文靖などですが、他のキャラでも
文学として読めば、語りきってないという話があります。
しかし、ご都合主義や、物語としておかしいエンディングはないので
不満はないです。

(8)実写

プレステ版で、実写をシルエットにする機能があるんですが、
やはり、このゲームが避けられてしまう要因に、実写映像があると思う。

スタッフ間でも、実写か、2Dグラフィックかで、かなりもめたらしいですが、
実写でよかったと思う。
例えば、あるキャラの行動で別のキャラのバッドエンドになった場合、
そのまま2Dグラフィックで示すのか、別の角度から実写で
ユーザーにどうヒントを示すのか、提示方法が違います。

実写だとウソが全く効かない。
同じ場所でも、色とか雰囲気、そして実写グラフィックを見たユーザーはピンと来ると思う。

あと、僕が最初に書いた『きわどい映像ばかり』というのも、説明しなければいけない。
コレは、
表現方法が説明調の写真具体的に何をしているかの2つのタイプがあって、
説明調の写真で雑誌記事を構成するには難しいと思う。
結果的に、ゲームだからウソみたいな状況に陥るキャラのきわどいアップが増えるのです。

 もう1つ付け加えると、外れカットがない。
最近のゲームでよくある「このキャラはこんな顔をする?」という疑問を持つもの。
「コレでもか!!」というくらい、大げさに表現・ポーズを取らせているので
余計にきわどさが目立ってしまいます。

さらに、実写でかなりイメージを持たせるため、
ユーザーに固定観念を植え付けないよう、最近流行の声優さんによる音声吹き込みが全くない。
それは、ムービーシーンでもなくって、
あるのは効果音の一部としてチンピラがのされたときにあげる悲鳴ぐらい。

その分、テキストが練ってあって、ゲームを進めていて楽しかったですよ。

(9)ゲーム終了後のお楽しみ

チュンソフト恒例(?)のゲームクリア後のお楽しみに隠しゲーム2本があります。
ザッピングはありますが、選択肢は全くなし。
ゲームクリア時に不思議に思った部分が氷解するといったスグレモノです。

特筆すべきは、『飛沢 陽平』に出てくるオタク青年『青井 則生』の
隠しシナリオで全編アニメで構成されています。
「コレ1本で一昔前ならゲームになったよ!」というくらいの。
この隠しシナリオは、ガンダムファンなら遊ぶ価値があります。
僕、笑い転げてましたもの(>_<)。

(10)ゲーム終了後のお楽しみ その2

別段、僕は出版社のマワシモノではありませんが、
このゲームの攻略本、『街』公式ガイドZAP’S(税別¥1600)も楽しかったです。

ただし、ゲームを解き終えてから読まないと、つまらないです。
この本も、そしてゲームそのものも。

サウンドノベルといっても、基本はADV(謎解き)ゲームなので、
本には重点的に、謎の部分が書いてあります。
そこを読んではダメですよ、という事。

あと、余談になるけど、面白い豆知識がたくさんあって読み物としても面白い。

そして、「まだあるのか!」とばかり
ゲーム本編で脇役だった『ある人』のショートストーリーが収録されています。
コレもゲーム本編を終えてからでないと面白くないでしょう。

(11)まとめ

と、遊んでみると、単純ながら、かなりの意欲作・野心作でした。
『街』の続編が出ることが決定していますが、経済的・時間的余裕が許せば、
遊んでみようと思っています。

最後に一言、このゲーム、バッドエンドや、用語説明でかなりギャグが入っています。
それらが嫌いな方はプレイしない方がいいと思います。

なぜ、こんな事を書くかというと、コレまでのサウンドノベルが、
割とホラー要素を盛り込んでいるからです。
ヘンに期待を持たせてもいけませんから、注意書きしておきます。

(12)最後の最後

僕はミンメイ書房(魁!!男塾:週刊少年ジャンプ掲載)が実在すると、
20歳くらいまで信じていました。
「大マジメに書いてあるんだもの、ウソとは思わないよう」と言ったら、
「あんな胡散臭いものはデタラメだよ!気付け!!」と、友人に一喝されました。
僕は新興宗教にハマるかもしれません(爆)


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