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No.04 げんしけん

全9巻 9巻は限定版があったと思います。
僕が購入したのは、通常版でした。
\514(税別)
コミックス 木尾士目(きお・しもく)・作画 アフタヌーンKC/講談社

「オタクなら絶対読め!」と言い切れるバイブルと言える作品。

登場キャラ全てが、いいトコも悪いトコも含めて非常に人間くさくリアルに描かれています。
あ、逆に悪い部分もあるからこそ、現実味があるんですよね。
久我山が少しどもってしまったりとか少年誌だとNGが出る要素も、青年誌だから出来る部分もあるし。

僕は、この作品を読んで大学時代を思い出してしまいました。
サークルはオタク系ではなかったんだけど、あの妙な居心地の良さとか読んでると思い出してしまう。
うん、部室に入り浸るのとか。
エアコンとかがないから夏はメチャ暑かったりするんだケド、なぜか行ってしまうみたいな(笑)。



作品としては、笹原が会長になる前と後で、二つに分けられると思う。

前期は後輩として、斑目を筆頭としたオタク先輩たちに鍛えられる部分。

後期は会長に指名されて、荻上さんたちが入ってイベントに積極的に参加していく部分。

最後は、笹原は就職活動でプロの編集者として、
荻上さんは雑誌投稿を通じてプロの漫画家になろうとする部分辺りで笹原が卒業を迎えて物語が終わっています。



最初はどのキャラも痛かったと思う。

多分、オタクなら誰もがある程度は通る道なんですよね。
みんな、最初入ってきた時はどこかイタイ部分があるんだけど、それがサークルの仲間と付き合う事によって丸くなっていきます。
それはどのキャラを見てても感じたな。

一番意見に頷いたのが、春日部さんだったりします。
出てきた当初は結構悪い印象だったんですが、サークルの他の部員たちより視線が上の人なんで、常識的な事言ってるんですよね。

逆に、話が進むにつれて支持できなくなったのが大野さん。
最初は結構カワイイと思ったんですが、話が進むごとにイヤな部分が目立つんですよね。
多分、同姓に嫌われるタイプだと思う(苦笑)。

荻上さんは、素直に可愛いと思った。
なぜ彼女がオタクをアレだけ毛嫌いするか理由が分かってから、さらに可愛く見えた。

ホント等身大で、どこにいてもおかしくないキャラたち。

男性キャラで凄く肩入れして見てたのが斑目かな?
好きな人がいても告白できないとか、結構、色んな経験がありそうなんだけど意外に知らなかったりとか、僕もそういう風な部分あるんで。
笹原と斑目を足して割ったくらいが僕かもしれない(笑)。

もう少し先の話が読みたい辺りで終わっているのが残念ですが、
このくらいで丁度いいのかもしれませんね。

ちなみに、ラストの何年か後の新会員が入る部分はいい終わり方だったと思います。
僕も、サークルに入る時は、あんな感じだったんですよね。
強烈なデジャビュを感じた事を書いておきます。


95/100点

文句なく名作。
読んでおいて損はないと思います。


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No.05 羊のうた

全7巻 フルカラー版とかもあったと思います。
僕が普通に白黒の通常の本を買っていきました。
\567(税込)

7巻は\620(税込)
コミックス 冬目景(とうめ・けい)・作画 バーズコミックス/幻冬舎

ネットの知人の方に「冬目景いいよ!」と勧められて読み始めたのがきっかけ。

正直、今まで見た事がないような作品の話に面食らい、一気にハマりました。
まあ、僕も高校・大学と悩んだ事が多かったので、どこか暗めな冬目さんの作品は合ったのでしょう。

冬目さんの作品に共通する事は、どこか暗くて切ない話を描かれる事です。
多分、それこそが一番の売りなんだと思います。

この『羊のうた』という作品の評価は、最後まで読まないと決まらないし、
最後まで、それこそ作者インタビューまで読み切って、さらに何度か読む必要があると思います。
普通のマンガを読むように適当に読める作品ではないし、そういう読み方だと面白くないと思います。

僕自身、高校は美術部にいたんで、八重樫さんの部活は面白く読んでました。

ただ、僕はホントの意味の部員じゃない幽霊部員みたいなモノだったんで
(ウチの高校は授業の中にクラブ活動の時間が週一時間あって、そこで僕は美術部を選択したのです。)
完全には分からないですが(苦笑)。

個人的にラストで希望がもてたのは救いでした。
アレで主人公たちが死んでいたら、それこそ太宰や芥川の頃のような古すぎるって感じだったし。

そういやさ、インタビューで冬目さんが語っているんですが、
木ノ下くんに兄弟がいてそれが別作品に出てるってのヨカッタですね。
まあ、元々描き分けが上手い漫画家でもないんで(苦笑)。

イヤ、この方の場合、巻が重なるごとに上手くなると言うのではなくて
(それでも多少は上手くなってるというのはあります。)、
もう世界観や絵柄とかが全て決まってて、話を淡々と消化していくって感じかな。

最後に、僕がこの作品で一番印象的だった言葉を書いておきます。
その言葉が、この作品を一番上手く説明していると思うからです。

それは、7巻の87ページの
「わたし達は……羊の群れに潜む狼なんかじゃない。牙を持って生まれた羊なのよ」
という台詞。

まあ、決して万人向けとは言えませんが、読む価値のある作品だと思います。


80/100点

冬目ワールドにハマれば、冬目景という漫画家の基本的なエッセンスを含んだ
この作品は徹底的に面白いと思います。


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