瑕疵担保責任のまとめ
マンション管理士・管理業務主任者試験で良く出る、瑕疵担保責任をまとめました。
「隠れた瑕疵が存在する時の売主の責任」
*「隠れた」...通常人の注意を払っても発見できないこと
*「瑕疵」...対象不動産が、通常有している品質・性能を有していないこと。また、当事者が契約上予定した使用目的に適する性質や、売主が特に保証した品質・性能を有しない場合も含む
*売主の無過失責任...売主に故意・過失がなくても責任がある。
法 | 条文 | 責任者 | 相手 | 責任内容 | 対象建物 | 時効など。注意事項 |
民法 |
570条→566条準用 (特約可能。 |
売主 | 買主 |
買主が事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)にしなければならない。 |
*新築、中古を含む | 引渡しから10年で時効になる。(民法167条1項) |
*損害賠償請求 可 *契約の解除(目的を達しないときだけ) 可 |
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*修補請求 不可(民法では定めなし) | ||||||
宅地建物取引業法 | 40条 | 業者が売主 | 買主 (業者以外) |
引渡しから2年以上の特約なら有効。(他は無効) *無効の例: 引渡しの日から1年に限り責任を負う。 |
*新築、中古を含む | 無効になると民法の適用になる |
品確法 (住宅の品質確保の促進等に関する法律) |
94条 | 請負人 | 注文者 |
引渡しから10年間。買主に不利な特約は無効。 引渡しから5年に限り責任を負う。 (20年以内の伸長 可。 97条) *損害賠償請求 可 *契約の解除(目的を達しないときだけ) 可 *修補請求 可 (これが、民法と違うところ)
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*新築、または1年間人が住んだことのない、居住用のみ マンションも入る |
*構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分に限る。 住宅のあらゆる部分ではない。 ★構造耐力上主要な部分: 住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものとする。 ★雨水の浸入を防止する部分: 一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具 二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分 |
95条 | 売主 | 買主 | ||||
消費者契約法 | 8条1項5号 | 事業者 | 消費者 | 当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部(一切)を免除する条項は(特約)無効 |
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10条 | 事業者 | 消費者 | 民法の規定よりも消費者にとって信義誠実の原則に反して一方的に不利益な特約は無効 | |||
アフターサービス | 任意契約 | 請負人・売主 | 注文者・買主 |
隠れた瑕疵に限らない。無料での補修 *部位や欠陥の種類で異なる(1年〜10年間) |
契約による | アフターサービスと瑕疵担保責任は並存している。 |
★瑕疵の例
*パンフレットやモデルルーム等で示された事項や保証した性能がない。
この場合品質が同等以上への変更なら、瑕疵でない。品質が劣る物への変更があれば瑕疵になる。
*建築上の瑕疵(建築基準法に適さない建築工事は、瑕疵に該当します)
・コンクリートの強度不足
・コンクリート材料の不良...コンクリートの細骨材に塩分のある浜砂を使用したために鉄筋に錆が異常に発生した
・コンクリート床板の厚さ不足
・柱の防火被覆不足
・受水槽、貯水槽に防塵、防錆処理がない
・排水管に通気管がない
・排水トラップがない
・耐震強度が偽装されていた
★マンションの共用部分の瑕疵担保責任の開始時期は、いつになるのか?
例えば、共用部分の瑕疵担保期間は、引き渡し後2年間とする契約があった場合、どの買主を基準とするのかの問題があります。
1.共用部分の瑕疵担保期間の起算点は、最初の買主が引き渡しを受けた時点から起算する説
2.瑕疵担保責任を請求する区分所有者の引渡し時から起算する説
がありますが、2の方が有力です。
★建築会社と分譲会社が異なっていた場合、分譲会社が倒産したら、買主は分譲会社に代わって請負契約上の瑕疵担保責任の修補や損害賠償の請求ができる。
最近、マンションの分譲会社の倒産が多くなっています。
この場合、マンションの買主は、建築会社と直接の契約はしていませんが、債権者代位権(民法第423条)により、請負契約上の瑕疵担保責任の修補や損害賠償の請求ができます。
最終更新日:2009年7月3日