死者の奢り・飼育
著者:大江健三郎
438円、270ページ、新潮文庫
ISBN4-10-112601-1 C0193
表題を見ると難しそうな感じがするが、表題ほどは難しくない。
六つの短編が収録されていてそれぞれテーマがある。
しっかり肉付けされた文章と氏なりの書き口で独特の話を繰り広げる。
うち四つの話で外国人というエッセンスを用いていて、
さまざまな形でうまく活用している。
外国人というものを用いることになんらかの作者の意図を感じる。
中でも代表的なものとしては人間の羊と戦いの今日という話には外国人を用いることによって
日本人に対する痛烈な批判が込められている。
主人公の心理描写が多く、観念的な文の比重が割合多い。
それ故に退屈さを感じることもある。
けれども他の方の作品とは一風違う雰囲気である。
(平成十四年六月九日改訂)