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優駿(上・下)

著者:宮本輝
上巻(514円、334ページ)、下巻(552円、394ページ)
新潮文庫
ISBN4-10-130706-7 C0193、ISBN4-10-130707-5 C0193

とある牧場に一頭の牡馬が生まれる。そこからこの話は始まるが、 馬好きの方ならずとも楽しめる作品に仕上がっている。
章ごとに主人公が変わるオムニバス形式となっており、 形式に慣れていない人でも受け入れることができるくらい書きこんである。 この作品の本当の意味での主人公が誰かは非常に言い難い。 それぞれの主人公がしっかり描けていて魅力がある。 ほとんどつまらない章もなく、うまく話はつながっているので完成度は高い。
主人公それぞれにドラマがあり、一頭の馬を中心に繰り広げられ 終盤に行くにつれてすべてが収束していく。 それがうまくまとめられていて読み終えた後の読後感にも優れる。
終盤は結構すらすらと読める。宮本氏の中でも優れている作品の一つである。
(平成十四年六月九日改訂)


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