青が散る
著者:宮本輝
552円、478ページ、文春文庫
ISBN4-16-734802-0 C0193
主人公である、ある男を中心とした大学四年間の生活を描いた作品である。
様々な人物が登場し、色々なドラマを作り、話を盛り立てている。
また登場人物が主人公にも多かれ少なかれ影響を与えており、
登場人物の役割というものは大きい。
途中で試合をする場面があるのだが、その部分をかなり長々と書いてあるので
退屈に感じるかもしれない。
しかし、スポーツをやっているときに弱い心、逃げる心が生じるものだが、
この小説ではその心との戦いがうまく表現できている。
頑張っている、スポーツしているというのが読み手にも伝わってくる。
文章は非常に率直である。かなり読みやすく、本は分厚いがすらすらと読める。
そのため基本的には読むのにストレスを感じない。
これほど読みやすくするには氏が相当努力したと思われる。
特に難しい文章もなく自分なりの読み方ができる。
話の内容が拡散しやすい舞台にしては良くまとめられた作品である。
(平成十四年七月二日作成)