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緋色の研究

著者:コナン・ドイル 訳者:延原謙
362円、205ページ、新潮文庫
ISBN4-10-213405-0 C0197

 シャーロック・ホームズシリーズはじめての作品でり長編小説でもある。
二つの部に分かれており、二つの部を読みきることで一つの話が完結する。 それぞれの部の長さは大体均等となっている。 第一部は事件などが絡んできてそれなりに面白いのだが、第二部の手法に疑問を感じる。 読者を少し突き放したものになっているからだ。 場面が第一部から急に切り替わるのは別に構わないことだ。 しかし、場面が切り替わり突き放した状態が長引くと読み手に良く分からない感を与えてしまう。 内容自体は悪くない。文章も過不足のない描写で読みやすい。 特に心の動きをうまくとらえている。
 一作目のためかワトソンが不安定で位置付けがはっきり定まっていないように見受けられる。 他の登場人物に負けてしまって存在が埋もれてしまっている。 そういう意味ではこの作品におけるワトソンの存在する重要性というのは薄い。 一方、ホームズにおいては推理力を引き出そうとしているのが目にとまる。 やもすれば、氏による一人よがりになってしまうところだが、 誇張過ぎない表現によって引き出せていると言ってよいのではないだろうか。 こういったことは表現が難しいので色々と苦労したのではないかと推測される。
 作品全体にどこかしら初々しさがあり、良くも悪くもこのシリーズの原点を読み取ることが できる一作となっている。
(平成十四年八月十四日改訂)


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