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シャーロック・ホームズの冒険

著者:コナン・ドイル 訳者:延原謙
514円、394ページ、新潮文庫
ISBN4-10-213401-8 C0197

 シャーロック・ホームズシリーズの短編集第一段。
読んでみると、ひたすら普通な感じの文章で注意して読まないと犯人の手がかりを見落としてしまう。 だがそれは悪いことではなく、これ見よがしく気取って書いたりしていないのでいいことだと思う。 ただ読者に犯人を推定させる文章が少なく、ホームズがどんどん事件を解決するのは問題か。 ヒントを与えすぎて、簡単に犯人がわかってしまうのも問題だが。
 一方では単純にホームズの推理力には感嘆すべきものがある。 ホームズが事件を解決するさまは読んでいて心地よい。 形は変われど話のほとんどが、ある方向性をもった結末なのは少し物足りない。
 助手のワトソンの存在が重要で、文章の視点がワトソンになっていたり 常人であるワトソンとホームズとの差を見せつけたりと、ホームズを際立てるのに成功している。 特にワトソンが視点というところに注目したい。 ワトソンが視点になることでホームズに対して客観的になることができる。 そしてワトソンも、読み手と同じ立場に立つ。 ワトソンというものを通してこちらに文章が伝わってくるわけだが ワトソンは読者にまことに近い視点といって差し支えないはずだ。 ワトソンは確かに脇役ではあるけれども、 ホームズと読み手をつなぐという役割もしており欠かせない存在である。
 非常にすらすら読めて、とっつきやすい推理小説なので推理小説にまだ手を染めてない人は 読んでみてはいかがか。
(平成十四年七月六日改訂)


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