あした来る人
著者:井上靖
705円、536ページ、新潮文庫
ISBN4-10-106303-6 C0193
あした来る人、声に出して読むとどこか新鮮で希望に満ちた言葉である。
話もどこか希望がある。そんな言葉を冠したこの作品は、相当分厚い。
四人の大人の人間関係を描いた作品である。
話はこの四人を中心に進むが、脇役が大事な作品でもある。
氏の作品を読んだことの無い人でこれを読もうと考えている人は、
分厚さ故に他の作品を読んだほうがいいかもしれない。
決して、悪い作品である、という意味ではなく、
俗受けを狙わない何気ない文章で書いているので、
この手の文章が好きでない人は途中で読むのを挫折するかもしれない。
それに、ページ数の割には少し質が低い。
特筆すべきような部分は無いが全然悪い作品ではない。
身構えずに読んでほしい作品である。
(平成十四年六月九日改訂)