武器よさらば
著者:ヘミングウェイ 訳者:大久保康雄
629円、594ページ、新潮文庫
ISBN4-10-210003-2 C0197
話の流れ、構図はきっちりできている。
どちらかというと丁寧な文章を書く部類に入る。
氏がアメリカ生まれのためか、会話がアメリカ式に進められていく。
ここの部分は読む人の好みによって変わる。
アメリカ式の会話文が気にならないのであれば難なく読み進めることができる。
逆に気にするほうであれば読むのに抵抗が出てくる。
なぜこのようなことをいうかというとこの小説は会話文の割合が
他の人が書かれた作品よりも大きいためである。
会話文はあまりきっちり書かれている分、無駄に感じるものもいくらかある。
日本人に読まれることをおそらく想定していないので
アメリカ人に対するヨーロッパの人の感情、
逆にヨーロッパの人に対するアメリカ人の感情の説明があまりなされていない。
たいしたことではないがそういう感情が分からないと読解に少し苦しむかもしれない。
この内容ならばもう少し戦争というものに正面から向き合ってほしい。
この作品は非常に直球勝負な作品ではないだろうか。
(平成十四年六月二十一日作成)