草野球の神様
著者:ビートたけし
400円、241ページ、新潮文庫
ISBN4-10-122522-2 C0193
草野球の神様と、あといくつかの話が収録された短編集。
読みどころとしては草野球の神様になるわけだが、
他の作品は草野球の神様とはまったく違う題材を扱っていて好悪が別れる。
草野球の神様は当然野球の話だが、
漫画で読むようなものとは全然違い現実的で普段は見られない一面をもった野球の話を描いている。
これは小説だからこそ面白い話である。
漫画で表現すればそれほど面白くはないだろう。
勝つ楽しさというものを読者に教えてくれて、
普段見ている野球とは何か違った面を見ることができる。
会話文が多くプロ野球選手のエピソードなどを使ったりして読む側を退屈させない。
すべての話に言えることだが、雰囲気を作り出すのがうまく、
話の一つ一つにきっちりと世界観ができている。
そして、主人公という媒体を通して、隠された主張あるいは意見のようなものを
氏がこちらに伝えようとしているのが読み取れる。