荊州は、 公瑾兄が命を代償にして手に入れた地。 |
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それを劉備め、ぬけぬけと……! | |
このままでは黙っておれぬ、 我らの誇りにかけて、荊州を取り戻す! |
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殿。荊州は、私めにお任せを! | |
呂蒙、やってくれるか! | |
はっ。私も周瑜殿と共に、荊州で戦った身。 | |
命に代えても、関羽めを倒し、 荊州に孫呉の旗を突き立てましょう。 |
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はは、呂蒙。 しばらく見ぬ間に、将として見違えたな。 | |
お前ならやれるような気がする。 頼んだぞ! |
ふん、孫権の坊主めが。 どんな軍勢で来るかと思えば、この程度か。 |
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関羽雲長、この程度の小勢では、 微塵も揺るがすことはできぬぞっ! |
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関羽か……、一筋縄ではいくまい。 ここは策を弄するか…… |
僕の出番ですね、呂蒙殿。 | |
うむ。俺は今から仮病を使う。 | |
そして無名の僕が軍を率いて、 関羽の油断を誘う…… |
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そういうことだ。ぬかるなよ! |
お初にお目にかかります、関羽殿。 呉軍を預かる、陸遜と申します。 |
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……どこの若造だ? 話にならん、出直せい! |
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貴様のような若造を大将にすえるとは、 孫呉も落ちぶれたものよ! |
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(ふふ、とりあえずは成功ですね……) |
あの呂蒙とかいう将はどうしたのだ? | |
げほげほ。どうも関羽殿。 私、ちょっと病を患いましてな。 |
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何だその生気のなさは。 どいつもこいつも、呉将はザコばかりか! |
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(よし、いいぞ…… その油断が命取りだ、関羽!) |
兄者の地を侵す、呉の凡愚ども! この関羽雲長の武、とくと味わえい! |
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皆の者、耐え切るんです! もうすぐ、関羽の包囲が完成します! |
呉将・潘璋、蜀軍の退路、断ち切ったぁっ! | |
……! おのれ、小ざかしい真似をしおって! |
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だが全ての道が塞がれたわけではない。 | |
呉軍の将、全てを切り捨て、 戦場を脱してくれる! |
青龍堰月刀の錆となれっ! |
よし、今だ。かかったな関羽! 皆の者、矢を放て!! |
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なんだと……呂蒙、病は偽りであったか! | |
関羽を捕らえよ! | |
……くっ。 兄者。ここまでかもしれませぬ…… |
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荊州の地、孫呉の手に落ちるか…… | |
皆の者、すまん…… |
ふう、あの関羽を倒せたとは。 自分でも信じられぬわ…… |
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呂蒙殿、やりましたね。 | |
ああ、陸遜。君のおかげだ。 ……うっ。げほっげほっ。 |
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あはは、呂蒙殿。 もう仮病はいいのですよ。 |
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……その血は!? | |
りょ、呂蒙殿……!? | |
……別に大した事ではない。 周瑜殿と同じ話だ。 |
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俺も荊州を奪還したことで、 天命を全うしたというだけの事…… |
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陸遜。 関羽を失った劉備は黙ってはおるまい。 |
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……孫呉の未来、お前に預けたぞ。 | |
……呂蒙殿。 | |
分かりました、 孫呉の御旗、必ずや守ってみせます…… |