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【6代目チェイサー(100系)】



写真は後期型

 6代目となったチェイサーは、兄弟車であるマークU/クレスタのモデルチェンジと時を同じくして登場した。先代と同じく4ドアピラードハードトップのみのボディラインナップとなっている。「強い高級車」「The Strong.」をキャッチコピーに用い、マークUよりもスポーティなイメージを全面に押し出している。ボディデザインは、エッジの効いたものに生まれ変わり90型の柔らかな造形から一新した。オーバーハングを切りつめることでスポーティさを演出しており、その全長はマークUより約5p短く仕上がっている。また、イメージキャラクターにサメを使い、力強く自在に泳ぎ回る姿にチェイサーの走りを重ねたCMも印象深かった。

 プラットフォームは先代90系のものと基本的に同じ。トヨタでは通常プラットフォームを2世代に渡って使うため、100系は熟成の世代ということになる。そのため、サスペンション等は基本的な構成はそのままに、改良が施されている。ただし、「熟成=保守的」というわけではなく、いくつかの新技術も導入されている。その内のいくつかを挙げてみたい。


【ごくごく一般的な話題】


○ 新衝突安全ボディ“GOA”を全車に採用
 プラットフォームは先述したように90系からの熟成だが、安全性を高めるべく装備の充実が図られている。簡単にいえば「衝撃吸収ボディと高剛性キャビンの組み合わせ」。効果的に衝撃を吸収するクラッシャブル構造の部分と、客室の変形を可能な限り防ぐ頑丈なキャビンで構成される。

※ 管理人注:さすが世界のトヨタ。こういうことを本気でやってしまうのが偉大なところ。クルマの安全性というのは何より大切にされるべきところ。ただし、コイツのおかげで「重い、ユルい、直らない」の『100系三重苦』が決定的になっているのもまた事実。現実とは皮肉なものよのぉ。

○ SRSサイドエアバッグを採用

 運転席・助手席のデュアルSRSエアバッグに加え、トヨタ車で初めてサイドエアバッグを採用した。シートバックのドア側からエアバッグが飛び出し、側面からの衝撃を和らげるよう考えられている。これと、シートベルトのフォースリミッター、GOAボディを合わせパッシブセフティ性能を向上させている。

※ 管理人注:サイドエアバックはイイことなんですけど。これで社外品に交換する必要のない「いい純正シート」があれば言うことないんですけどねぇ。

○ 2500t、3000tエンジンににVVT−iを採用
  (BEAMSエンジン)

 吸気バルブの開閉時期を連続的に変化させることで、運転状況に応じた最適のバルブタイミングを得るためのシステム。出力の向上、燃費の改善、排気ガスの清浄化に効果があるという。後のアルテッツァ等では、排気バルブもコントロールする「デュアルVVT−i」に進化した。2000tエンジンについては、マイナーチェンジでVVT−i搭載型に換装された。

※ 管理人注:この次期、ホンダのVTECをはじめとして可変バルブタイミングの研究が盛んに行われていた。油圧を使うものや電磁力を使うものなと様々である。トヨタの場合は油圧によってバルタイを変化させるタイプ。チューナーにとってコンピュータとともに鬼門となった部分。最近ではノウハウの蓄積も進んでいるみたい。ちなみに、初の可変バルタイ車はアルファロメオ75だったそうな。壊れそう・・・。


【管理人が注目する、ツアラー系の話題】

○ 2500tターボエンジンをシングルターボ化
 ツアラーVに搭載される1JZ−GTE型エンジンは、90系まではツインターボを採用していた。100系では、それがシングルターボに改められている。VVT−iとの相乗効果で中低速での出力特性が大きく向上した。最大トルク発生回転数が4800rpmから2400rpmに下がり、さらにタービン自体の改良もあって2000回転からチャージが始まる。また、アクセル踏み始めから最大過給圧に達するまでわずか3秒程度となった(90系では約6秒)。これらのことから、新ターボエンジンは鮮やかなスタートダッシュを約束するのである。

※ 管理人注:中低速の出力特性が向上した代わりに、高回転域での気持ちよさを失った100系。ブーストアップレベルでの出力向上幅もツインターボの90系には劣る。結果的にタービン交換に走る人が増えて、チューニングのノウハウ蓄積が進んだわけで、これはこれでよかったのかも。

○ ETCSを2500tターボ車(ツアラーV)に標準装備

アクセルペダルによって機械的に作動するメインスロットルの他に、ステップモーターで作動するサブスロットルを設け、走行状況によって運転手の意志に関わりなくスロットルを絞って安全を確保するという、賢いシステム。駆動輪が空転するような場面ではブレーキ+サブスロットル制御によるトラクションコントロールとしても働くという。まさにハイパワー車ならではの安全装備。

※ 管理人注:トヨタの偉大なるおせっかい。スポーツ車に過度の電子制御は興ざめである。オーナーの多くが何らかの方法でキャンセルしちゃうので、つい「親の心、子知らず」という言葉を思い出してしまう。

○ ゲート式ATセレクトレバー&リアルカーボンパネル

ツアラー系には、ゲート式セレクトレバーが採用される。スポーツ走行時のマニュアル操作でもミスしにくい・・・ということは、日常の運転でも安全性が向上するということ。AT車の事故原因の1つにシフトミスがあるが、それをかなりの確率で防止できるのではないか。評判がよかったのかJZX110マークUでは全車に採用された。操作感はクリック感のある快適なもの。

カーボンパネルは、プリントではなく本物。機能的な価値は全くないが、模様に遠近感があり独特の高級感があるもの。

※ 管理人注:このシフトが出た当初、「なんでミツビシやホンダのようなティップ式にしないのか」という批判があったという。が、そうしなかったからこそ、MR−Sのセミオートマは「引いてシフトアップ」式にできたのである。小さいことだけど、大事なこと。

○ ディスチャージヘッドランプ

ハロゲンの70%の電力で2倍強の明るさを得られる。さらに、ランプ自体の寿命も驚異的に長い。ディスチャージ・・・すなわち放電式のヘッドライトは、点灯した瞬間は青白く、やがて太陽光に近い白い光に変わる。ツアラー系の専用アイテムであったディスチャージヘッドランプはトヨタでも初採用。もちろん国産乗用車では超少数派であり、デビュー当初は夜間に異様な存在感を放射していたものである。

※ 管理人注:最近、歩行者や対向車にとって迷惑になっているという報告があったらしい。技術は常に諸刃の剣ということか。多くのオーナーの間では、ハイビームも白い高性能バルブ(ハロゲン)に交換するのが流行っているが、管理人はローとハイの色のコントラストがきれいだと思うので、ハイは黄色っぽいノーマルのままです。

○ 2000tに“ツアラー”を設定

90系で初めて登場したスポーツグレード名、“ツアラー”。2500tツインターボのツアラーVと2500tNAのツアラーSがそれである。両者とも、ターボと自然吸気の性格の差こそあれ、本格的なスポーツセダンとして仕上がっていた。100系になって、2000tエンジン搭載車にも“ツアラー”の名を冠するグレードが登場した。2500tモデル同様、同排気量の“アバンテ”よりもスポーティーな装備となっている。ちなみに、ツアラーSには設定のない5速マニュアルも、最終型では選択できるようになった。