【5代目チェイサー(90系)】![]() 「日本を代表する高級パーソナルセダン」として登場した90系は、プラットフォームを新型にチェンジしている。よって、このモデルからマークU・チェイサー・クレスタは新たな章に突入したということが言えるだろう。 全車3ナンバー専用のボディとされ、サスペンションも新設計のダブルウィッシュボーンとされ、4輪ディスクブレーキも採用された。モデルチェンジのたびに大きく、豪華になっていくマークUブラザーズだが、今回のモデルチェンジでは走りの性能が飛躍的に高まったのである。 その恩恵を最も顕著に受けたのが、スポーツグレードである「ツアラーV」「ツアラーS」である。当初より1JZ系エンジンを搭載することを前提に開発されたクルマゆえ、280馬力を発揮するターボエンジンを搭載するツアラーVでさえも、リスクは激減している。80系の2.5GTツインターボのシャシーが完全にエンジンに負けており、とんでもないジャジャ馬に仕上がっていたのとは対照的である。対するNAのツアラーSは、万人にわかりやすく、楽しみやすいスポーツモデルとして仕上がっていた。どちらのモデルも高いポテンシャルを秘めており、トヨタが新たに「ツアラー」の名称を創設した理由がわかる。これまでのスポーツグレードとは一線を画す仕上がりだったのである。 走行性能と同様に、際だった仕上がりを見せていたのがボディデザインである。3車とも互いにはっきりと違いのわかる専用デザインが与えられ、いずれも完成度が高かった。優等生のイメージが強かったマークUには意外にもアグレッシブなスタイルが与えられ、スポーツ系ユーザーに圧倒的な支持を受けた。チェイサーは同じハードトップとはいっても、ふくよかなラインでまとめられた上品なもの。スタイリッシュな印象が強い。クレスタは、セダンらしい安定感のある骨太なデザイン。それぞれが根強いファンを獲得した。 以上のように、ノーマルでも優れた性能を持ち、チューニングに対する懐も深く、ボディデザインも優れている90系ツアラーをして、「最高のツアラー」と呼ぶ人も多い。 |