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物欲王

2004.2.11

 何を今さら、と言われるかもしれないが、ネットオークションを始めました。

 探していた物や「こんなのあればいいな」と思っていた物が、たいてい見つかる。この便利さは予想していた以上で、こんなことならもっと早くやってればよかったと思うくらいである。それはそれとして、オークションに参加するための手続きをクリアした事自体が、私にとっては大事件なのである。

 参加に手数料のかかるオークションの場合、クレジットカードからの引き落としでそれを支払う場合が多い。しかし、私は基本的にカードを持たない人なのである。値引きの特典があったり、ポイントがたまったり、急な出費に対応できる便利さは十分認識しているつもり。だけど、現金無しで買い物ができてしまうことに、ある種の危険も感じているわけだ。

 私は、欲が深い。実に深い。非常に深い。この上なく深い。

 キリがなくなるのでこのくらいにするが、要するに財布の中にある分だけで済まさないと、歯止めがきかなくなりそうで恐いのである。パチンコをしないのも、他のギャンブルに手を出さないのも同じ理由だ。手持ちの現金が減っていくのを目視することで、何とか自分にブレーキをかけられる。

 しかしまあ、もともとお金というのは富という「価値」を目に見える形で抽象的に表した物に過ぎないわけで、我々は初めから実体のない「価値」に振り回されて生きているのも事実だ。で、何かのきっかけで「価値」が失われてしまうと、お金は本来の単なる紙切れや金属片に戻ってしまうわけだ。財産を手堅くキープするには、ゴールドがいいのか?宝石がいいのか?それとも土地か?そもそも財産がない私にはよくわかりませんな。

 実体がないといえば、ワケのわかんない迷信もなかなか無くならない。いまだに「仏滅」とか信じている人もいるので笑ってしまうが、信じている当人には笑い事ではないのだろう。友人の僧侶も言っていたが、アレは仏教には全く関係ありません。仏教関係者が否定しているのに信者が信じているというのも皮肉な話ではあるな。そもそも、中国の道教だったかの思想から来ているものだったと思う。いわゆる「六曜」というのは陰陽陰陽・・・というように、「陰」の日と「陽」の日が交互に並んでいるだけのことだと聞いた。漢字のイメージに振り回されるのもバカらしい。仏滅という言葉自体、はじめは「物滅」と書いたらしい・・・といえば私の言いたいことをご理解いただけるだろうか。道教の信者ならともかく、それ以外の宗教に属している人にとっては何の価値もない情報だといえる。それぞれの日の割り振り方も、単に機械的に割り振っているだけのこと。「六曜」で検索してみれば、あまりの単純さに驚くに違いない。

 さて、先に「道教の信者ならともかく、それ以外の宗教に属している人にとっては何の価値もない情報だといえる」と書いたが、これも少し訂正が必要だ。そもそも、この六曜が生まれた頃、そして通用した頃の暦は太陰暦だった。現代はもちろん太陽歴。そこに、太陰暦のルールを当てはめて六曜を定めたとしてどんな意味があるか?日がズレちゃってるわけで、道教信者にとっても使えない暦になってしまっている。つまり、現代日本の「六曜」は、「情報」ですらない!

 実は、暦が変わった時、この六曜がカレンダーから消えた時期があった。それが復活したのは何故か?驚くことに、ユーザーから復活の要望があったというのである。物滅→仏滅の変化も、そう書いた方がよく売れたから、というウソのような話を聞いたことがある。一方で迷信を笑いながら、他方で迷信を求める気持ちがあるのだろうか?実体のないことを理由にしておかしな習慣が続いていたり、いわれのない差別が続いているのを見るにつけ、「もうちょっと賢くなろうゼ」と言いたくなる。仏滅の日の結婚式場が安かったり、友引の日に市営の火葬場が休みなのを当然と思う自分の感覚を疑うことから始めたいものだと思う。

 えーと、何の話だっけ?

一同「オークションの話じゃ!」

 そうそう。オークションも、実際の品物がありながら、取引の大部分は実体のない「情報」のやり取りを主体とした売買だということが言いたくて、盛大に脱線してしまったのだった。脱線の内容はおおむね間違ってないと思うけど、ディテールは怪しいので興味のある人は調べてみて下さい。

 幸いにして、これまで取引上のトラブルは経験していない。特に目利きというわけでもないが、怪しい出品者やうさんくさい出品者を避けているだけのことだ。これとは別に、「これじゃー売れねーよ」という出品の仕方を続けている人もいる。エラそうなことを言うようで口はばったいが、私の目から見た「こんな出品者は避けてしまう」というのをいくつか挙げてみようと思う。

@ 写真が汚い

 上手い下手の問題ではなく、意図的に見てもらいたくない部分を誤魔化したような写真に出会うことがある。商品紹介の写真であれば小細工なく必要な情報が含まれていればいいだけで、テクはそれほど問題ではない。異常にボケた写真、異様に暗い写真、逆光、強い影のできるライティングなども警戒の対象である。

A とにかく最低落札価格を設定する

 何にでも最低落札価格を設定する人のことを、「最落バカ」と呼ぶそうだけど本当かな?別に悪いことではないが、こういう出品は開始価格が低くても最低落札価格をクリアしないと落札できないから、結局は高値でスタートするのと変わらない。いちいちチェックしないと最落が設定されているのがわからないから、うっとうしいわけだ。高く売りたいなら、それなりの価格でスタートするべき。最落バカと呼ばれる人の出品は初めからスルーされて回転寿司状態になることが多いので、これはもったいないと思う。

B素人/素人のフリ

 「当方素人にて」「何もわかりませんが」「質問にはお答えできません」などのコメントをお書きになる方たち。本当の素人でも、素人のフリをしてガラクタを売りつけようとする人でもかまいません。私はスルーします。中には法に疎いフリをして違法品を売りつけたり、希少品と誤解させるようなコメントを書いたりする人もいます。どちらにせよ、このタイプの出品者には悪意を感じることが多いわけ。

C開始価格が異常に高い

 相場がわかっていない。欲深い。素人を騙し討ちにするのが目的・・・etc.とまあ色々な理由が考えられるが、ちょっとあり得ないような価格でスタートする人。グルグルと回転寿司状態になることが多いが、たまに売れて驚くことがある。中には納得できる理由で異常高額を設定している場合もあるのでチェックする価値はあるかもしれない。でも、そんなもの私は買えない。本当は出品者も売れてほしくないのかもしれない。

D「貴重品、激レア、希少」などの煽り文句

 とにかく珍しいことを「売り」にしようとする方々。超激レアとかいう表現も見たことがある。珍しくても需要がない物なら売れない、という基本的なことを理解していない。こういう人に限って商品情報は驚くくらい少なかったりする。私の好きな銃器の分野で、こんなのがあった。「激レア!!古い金属のモデルガン・・・・おそらく20年以上前の物で今では珍しい物だと思います。箱、取説はありませんのでメーカー等は不明です。写真を見てわかる方、入札をお願いします」商品知識もないのに何で「激レア」なんて断言するんだよ(爆)。ちょっと違いますが「ジャンク?古いモデルガン」みたいに「?」で逃げてるのもガラクタを売りつけられた落札者に対する逃げのようで、怪しく感じてしまう。

Eキャラクター物

 テレビ番組に登場したような品物を、異常な高額で売ろうとする行為。いわゆる「デカもの」とかね。付加価値というものに大いなる誤解をしているバカですな。

F違法品

 ズバリ、読んで字のごとく違法品。先の例でいえば、法によって現在は販売や譲渡が許されないモデルガンを売るような行為。これは、売り手も買い手もド素人ということはあり得ない。どちらもある程度の知識や経験があっての確信犯である。そしてどちらも犯罪者。逮捕されてから「知りませんでした」は通用しない。

G情報を出さない

 よけいなことばかり書いて、知りたい情報が極端に少ない。メーカー、品名、用途、製造時期・・・などなど、品物にもよるがユーザーに有益な情報をシンプルに与えてくれるだけの方が遙かに売れやすいだろうと思うのだが・・・。

Hウソつき

 これは論外。明らかに騙そうとしていたり、勘違いを誘っていたり。わざとカテゴリ違いで出品して素人を狙うという悪質な例もある。

 実体の見えない情報のやり取りって本当に恐いですねぇ。相手の手の内を読みながらの騙し合い、みたいな状況を経験された方もいらっしゃるのでは?ですが、どんなに曖昧な情報であっても、その後には「実体」のある人間がいます。ネットであってもオークションであっても、常に自分が「人間」を相手にしているのだということを忘れずに、趣味を満喫していきたいものですね。


 ・・・どう?きれいにまとまった?