remove
powerd by nog twitter

雨ニモマケズ、まいなーちぇんじニモマケズ

2002.1.18

 国産車の場合、4年でフルモデルチェンジをすることが多かったのだが、最近はどうなのだろう。不景気のせいもあるかとは思うが、少しずつモデルチェンジのサイクルが延びつつあるように思う。1つの車種をじっくりと熟成させていく姿勢は好ましいし、花火のようにパッと消え去るクルマも減るのではないだろうか。仮に、10年は生産を続けることを前提にクルマを造るとしたら、思いつきでいいかげんなものにはできないだろう。反対に、保守的でつまらないものばかりになるかもしれないけど。

 クルマと付き合う上で、避けて通れないものに「モデルチェンジ」と「マイナーチェンジ」がある。パソコンの世界では続々と新製品が出て、「もっといいのが出たら買う」なんて言っているとキリがない状態である。それで「欲しい時が買い時である」などと言われるが、クルマの場合はどうか。

 4年でフルモデルチェンジを迎える車種の場合、デビューから2年ほど経つとマイナーチェンジが行われる。特別仕様車を抜きにすると、大きな変更はこの一回きりであることが多い。パソコンほどバージョンアップが行われないので、つい購入のタイミングに関しても慎重になってしまう。こんな感じかな。

 @ デビュー直後の、話題性もあって活きのいいニューモデルを買う。値引きは小さい。
 A マイナーチェンジ前の、前期型の最終モデルを買う。値引きは大きい。
 B マイナーチェンジ後の、改良型を買う。値引きは小さい。
  が、値引きを引き締められない事情があることも。
 C モデル自体の最終生産車を買う。値引きは非常に大きい場合が多い。
 D やっぱり今回はやめて、次期ニューモデルを買うことにする。

 @のケースは、何といっても新型車に乗れるのがかっこいい。うまくすると、次の乗り換えでも新型車に乗れる可能性がある。反面、新型車には思わぬ弱点があったり、前評判倒れに終わる可能性もなくはない。基本のプラットフォームから新規開発なんていうモデルは、当たりはずれがあるかも。

 Aのケースは好きな車種を大幅値引きで買うことができ、買い得感が高い。反面、マイナーチェンジモデル(改良型)がすぐに出てくるので、少し悔しいような気がするかもしれない。

 Bのケースでは、初期の弱点を改良したモデルが買える。「オレのは後期型」というのが好きな人にはお薦めの買い方。ただ、小改良であっても値引きはキツくなるので、買い得感は低い。あと、アフターマーケットのパーツでは、車種にもよるが後期型が開発されない場合もある。

 Cのケースでは、改良モデルが格安で買える可能性がある。が、本当のモデル末期になると選べるカラーやオプションが限られたりすることもある。また、人気薄の車種では、ディーラーが売ろうという意欲を失っていて、商談に食いついてこない場合もある。とはいえ、Bよりも更に熟成が進んでいる可能性があり、欲しい車種の最終形態をゲットできるのは魅力。ただ、やっぱりニューモデルは気になるよなぁ。

 Dのケースの人は、結局いつになっても実際の購入に踏み切れない場合が多いかも。結婚相手を選ぶ時も同じか!?最近そんな気がしてきた私なのである。・・・関係ないですね。

 とまあ、こんな感じだろうか。私自身はAのケースでチェイサーを購入することにした。理由としては、

 ○ トヨタのマイナーチェンジの場合、フロントマスクとテールの意匠変更程度の変更で
  ある事が多い。
 ○ 前期型でも自分の欲しい装備は全て備わっている。
 ○ 前期型で私が「欠点」と感じる部分は、恐らくマイナーチェンジでも改良されない。
  それは、個人のモディファイによって改良されるべき部分である。

というような事が挙げられるのだが、それより何より、前期型最終に登場した限定モデルに一目惚れしてしまったのである。

 一度聞いたら忘れられない、その名も「エキサイティングバージョン」だかエキサイティングパッケージだったか・・・・忘れているのであるが、クリスタルパールホワイトの特別外板色。リヤプライバシーガラス。車名入りスカッフプレート。リヤワイパー。オートライト(コンライトっていうのかな)。そしてストライプの内装が、通常品より黒に近くなり落ち着いた雰囲気。そしてカーボン調センターピラーカバー。などなど。欲しい装備が付いてて、おまけに日光を青く反射する特別色。ああ、お前は美しい。それでいて、値引きは通常グレードと同等。もう買うしかない。これで死んでも拙者は本望でござる。で、買った。メーカーオプションのナビ付けて、コミコミ320万円ぐらいだったか。まさに清水の舞台。でも飛び降りて良かった。

 ホクホクしているところへ、マイナーチェンジ後モデルの情報が入ってきた。ふーん、やっぱりバンパーの形は変わったね。内装も良くなったじゃないの。純正エアロのフロントリップにトリムが付いて、高級な感じだな。テールランプは前期の方が好きだな。メーター照明の色もステアリングの変更も、大したポイントではないよ。うん、いつものマイナーチェンジのパターンだね。安心安心。と、カタログを閉じようとした私を衝撃が襲った。ツ、ツアラーSにトルセンLSDのオプションを設定ぃ!?それよりも衝撃的だったのは。ご、5速ATがついたぁ!?

 これはショック。随分とヘコみました。くやしいなあ。でも自分の前期型に不満があるわけでもないし、考えてみればNAスポーツのツアラーSをここまで本気で改良するとは。しかもトルクの細いNAの特性に合わせて5ATを装備するとは。トヨタさんわかってるねえ。本気だねえ。と、嬉しくなってきた。ちょっと心配なのは、2→1のゲートが横一直線なので、ツルッとローギアに入っちゃわないかということだが、縦一直線じゃないから大丈夫みたい。えー、後期型ツアラーS、コイツはいいクルマです。

 では、お前は前期型を駆け込みで買ってしまって後悔しているのかと言われれば、あんまりしていないのだ。後期型のキーワードは「改良」や「熟成」であり、モデルとしての完成度や洗練度は間違いなく向上している。それに対して前期型のキーワードは「荒削り」だったり「挑戦」だったりして、垢抜けない部分も数多い。しかし、「JZX100チェイサー」のコンセプトをストレートに表現しているのはどちら?とたずねられたら。作り手が最初にイメージした姿に近いのは?と言われたら。

 私には、初めてその車種が登場した時のモデルである前期型だと思える。私はそのイメージに共感してチェイサーを購入したので、全くと言っていいほど後悔がないのよね。他の前期型オーナーの方々、どうですか?

○ その後の調べで「エキサイティングパッケージ」が正しいと判明しましたが、このコラムは「文学作品」なので(笑)、当時の原稿のままとします。