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添加剤

2002.1.3

 私のチェイサーも2002年1月3日現在で、57000q走行を超えた。3年と9ヵ月である。特に不具合もなく、エンジンもますます快調である。月に1500qぐらいは走るのだが、定期的なオイル交換、適度に回して乗ってやることぐらいしかしていない。1JZは本当に丈夫、というか工業製品としての出来の良さを実感している。いつも気持ちよくドライブさせてくれる愛車に、感謝にも似た感情を抱いている。

 感謝ついでに、ここいらで一発オイル添加剤でもブチ込みたくなった。エンジンにも良いって評判だし、雑誌でも「コイツはいいですぜ」という記事ばかりだし。愛車をいたわってこそのオーナーというもんだ。で、悪友Y田に連絡した。Y田は私にとってメカ物全般の師匠と(内心)尊敬している男である。以下、メールなんだけど、対話風にアレンジする。

  私: 「よぉ、久しぶり。今度クルマに添加剤入れようと思うんだけど」

  Y: 「添加剤?添加剤ねぇ・・・」

  私: 「(おや、妙にリアクションがユルいな。
       こういう話題を語らせたら絶品のはずなのに)
      前にバイクに入れてたアレ(ま、伏せ字ということで)、どうだった?」

  Y: 「個人的には添加剤はおすすめしないぞ」

  私: 「(激しく動揺)ええ!?だって、だって、雑誌にも良いこと書いてるし、
      おまえ自身も試したわけだろ?」

  Y: 「ま、ちょっと、ネットで勉強してみろや」

 という謎の言葉と、参考になるという謎のURLを残してY田は去っていった。

 仕方ないのでネットの海を泳いでみたところ、出るわ出るわ。添加剤についてのレポートが山盛り。その多くがデメリット/危険性を指摘している。無論、ネット上の情報がすべて正しい訳ではないし、取捨選択は個人に任されている。その点を考慮しても、添加剤を入れるメリットは少ない、と私も思うようになった。

 私自身の心に触れた内容としては、
  ○ 添加剤の効果の理論的裏付けが希薄
  ○ それに比べて添加剤の危険性の理論的裏付けは説得力がある
  ○ 「吹け上がりが軽くなった」といった体感的な効果をレポートしているケースが
   多いが、添加剤を入れることによってオイルの粘度が低下しただけだったりする。
   結果、油膜切れを起こして焼き付く場合もあるらしい。

 などなど、添加剤のタイプによっても異なるが、大まかにいってそんなことが心に残ったわけだ。それに、添加剤自体も高価な物だし、広告にあるような長期間の効果維持も期待できないとなれば・・・結局は普段入れているオイルを上等なものにしてやるほうが効果があると考えたわけ。そもそもNAで発熱量もターボほど厳しくなく、特別高回転型でもない1JZ−GEでは、純正オイルでも特に不満があるわけではない。「お手軽にプラスα」の危険性を今回のことで知った次第である。

 とまあ、私のように思う(改心する?)人が多いのかどうかは知らないが、超有名添加剤も大分苦戦しているようである。雑誌とタイアップしているのか、「安全だ」という記事をあちこちで目にするようになった。どう見てもチョウチン記事のようで、その記事の部分だけ妙に浮いて見えるのは私だけかな?

 情報が氾濫している今、いくらマスコミが「安全だ」と言っても、それを鵜呑みにしてくれるユーザーはそれほど多くはない。それよりも、その安全性の裏付けがなされるほうが、よっぽど近道だ。もし、本当に自社の製品に自信があるのならば、挑戦してみてはいかが?たとえば、こんな感じだ。

 ○ 自社の製品を使用しての不具合に、完全な保証をつける。
      無論、他の添加剤を入れたりというユーザーの行為を防ぐために、
     「オイル交換も添加剤の特約店で行うこと」というような条件はつくだろうが。
     基本的にはユーザーサイドに立った保証条件でなければ意味がない。
     不具合が起こった際に、エンジンを降ろし、徹底的に分解して原因を
     究明するような制度が必要になるだろう。費用的に、負担?いえいえ、
     よっぽど製品に問題がなければ、エンジントラブルなんて起こるもので
     はありませんよ。

 ○ 各専門誌が合同で、添加剤テストを行い、その結果を参加各誌に共通で掲載する。
      これは、専門誌の「良心」を問うことにもなるだろう。チョコチョコと
     インプレだけ載せて済ませるばかりで、本気でテストした雑誌に出会ったことが
     私はないのだ。これほど多くのクルマ好きが関心を抱いているジャンルなのに、
     本気で取り上げないのはどうしてか、ということだ。

 素人特有の無茶な注文かもしれない。が、本当に安全だ、というのならできない話ではないと思う。以前、「原発がそんなに安全だというのなら、人口の少ない地方にばかり造らずに、電力消費量の多い東京に造ってみろ!」と論じた本があった。土地代云々の問題もあろうが、東京近辺に造れば送電設備が不要になる・・・。結局、電力会社も国も「危ない」と思うから地方に押しつけているだけなのだ。自分の理論に自信がないときは、どうしてもそれが態度に出るものだ、という話。

 マスコミの方たちへ。「安全だ」と書くのは簡単です。しかし、それを記事にした瞬間から、内容に対する責任が生じるのもまた、紛れもない事実です。本当に責任が取れますか?


追記
比較的無害と思われる添加剤もあるらしい、という情報が入ってきた。と思ったらその製品でも「長期の使用ではシールに害が出るかも」という話も聞いた。が、30年も同じクルマに乗り続け、定期的にエンジンのオーバーホールをする、というのならともかく、現代日本でのクルマとの付き合い方では、長期的な害は無視できる場合もあるかもしれない。要は、自分が愛車とどういう付き合い方をするか、という点である。私は入れないけどね。