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ヤンキーに学ぶ

  今回は、とりとめもない話を少し。

 先日、アメリカ人の同僚Aと共に出張に出かけることになった。地方では、移動にクルマが必要不可欠。彼はまだ来日して日が浅いのと、雇用上の取り決めで、クルマを持つことができない。で、なりゆきで我がチェイサー号の出動となった。その車中での会話。

    A:「ねえ、Sさん(私の本名)」(もちろん英語)

    私:「おう、何だね?」(もちろん英語。カッチョイイ!)

    A:「このクルマは、お主のだよね」

    私:「いかにもそうだけど、どうかしたかね?」

    A:「どこのメーカーの何というクルマか、教えてくれる?」

    私:「トヨタのチェイサーというモデルだよ」

    A:「トヨダ(と彼は発音した)のクルマはアメリカでも人気があるんだよね」

    私:「ホンダの次に、かい?(笑)」

    A:「(笑)まあね。ところで、トヨダはモデルが多いのは知っているけど、
      このチェイサーってのは、初耳だね」

    私:「うーん、日本国内専用モデルだからね。
      アメリカ人で知っている人の方が少ないんじゃないんだろか。
      同じモデルでも輸出されるとレクサスだとか何だとか、名前が変わるから、
      日本人にもよくわからんよ」

    A:「そういうことって、あるだろな」

    私:「ところで、日本のクルマの多くに外来語をもとにした名前が付いているけど、
      違和感はない?」

    A:「うーん、あるね。正直なところ」

    私:「そういえば、別の外国人の友達が昔、こんなことを言っていたな。
      クルマじゃないんだけど」

    A:「うん。どんな?」

    私:「コーヒーに入れる、粉末状のミルクがあるよね。
      その一つに『ク○ープ』てのがあるんだけど、
      英語でcreepというと・・・」

    A:「『助平』ぐらいの意味だね。
      (辞書上の意味とは違う。ニュアンスぐらいの意味だと思って欲しい)
      スポーツドリンクで『○カリスウェット』というヤツ、
      なんか汗(sweat)飲むみたいで気持ち悪いよ。美味いんだけどね」

    私:「チェイサーにしても、Chase for what?って聞きたくなるな。
      グリルのエンブレムは弓みたいだから、
      獲物を追いつめる狩人とかをイメージしているのかもしれないけど、
      Chaser=『追跡者、追いかける者』という言葉からは、
      『先頭に立てない者』という連想もわくんだけど。ワシの場合」

    A:「たしかに、外来語を名前に使うのは難しいよナ。
      もっと日本語らしいきれいな名前を考えてはどうだね。漢字も使ってさ」

    私:「トヨタ雅(みやび)とかね。
      んーむ、漢字は使い方のセンスによっては、
      ヤンキーの落書きみたいになるからなー」

    A:「ジャパニーズヤンキーね。ぼくらより金髪が多いんだ(笑)」

    私:「ま、確かに日本語をもっと大切にした方がいいとは思うよ。
      クルマの世界だけでも、英語、フランス語、イタリア語なんかがごちゃ混ぜ
      だもん。しかも勝手な造語まであるから、もうワケわからんよ」

    A:「その柔軟さが、日本の発展の要因の1つだろうか」

    私:「節操がない、ともいうけどね」

    A:「(苦笑)まあ、いいじゃない。それにしてもこのチェイサー、
      ぼくは好きだな」

    私:「ほう、そうかい?パッケージングが世界水準に合わないってんで、
      評価は高くないんだよ。ワシは気に入ってるけどね」

    A:「そうなんかい?実に格好いいじゃないか。
      何というか・・・シェイプがいいナ」

    私:「そりゃあ嬉しいナ」

    A:「難しいことはよくわからんが、格好いいのは大切な事よ」

    私:「I agree with you.だよ」

 とまあ、こんな会話があったのである。無論怪しげな英語を操っての必死の会話だったのだが、ちょっとはかっこつけさせてよね。それはともかく、外国人も認める日本車の格好良さ。今ひとつ印象が垢抜けないのは、中途半端なネーミングのせいかも・・・なんてね。