ゲームコミック紹介 その5
2000 08 25
悠久の風伝説 ファイナルファンタジー3より
原作・寺田武史 作画・衣谷遊 角川書店
○勝ファミコンという今はなつかしのゲーム雑誌に連載されていたファイナルファンタジー3を元にしたゲームコミック。
意外にも知っている人は多いかもしれません。 自分は昨日まで知りませんででしたが。
全3巻と長期連載(約2年)を果たしたゲームコミックスですが、最初の頃のスローペースぶりと最後の急速な展開はやはりゲームコミックならではです。
最終的には、4つのクリスタルが助けてくれるのですが、主人公たちが出会ったクリスタルは結局全部で2つでしたし、FF3で1番人気を誇っていた(?)水の巫女エリアなどは出てきません。 ラスボスもザンデです。(これは無理も無いか…。)
さて、ストーリーを追いましょう。 この漫画の主人公はFF5のバッツっぽい髪形をしたムウチというキャラ。 それに同じ僧侶トパパの元で育った2人のキャラ(名前はダグとボウイ)と、近くの地主の娘の計4人がゲームでいう光の戦士。 その他にもゲームに登場したキャラがいろいろと出てきます。
風のクリスタルに導かれた4人の若者が世界のために、他のクリスタルを探して旅立つストーリー導入部分は、ほぼゲームと同じです。
大きく分けてストーリーは4つ。 魔人・ジン編、デッシュ編、魔術師ハイン編、魔王ザンデ編。
アダマンタイマイを倒して風のクリスタルをみつけたり、クリスタル魔人・ジンを倒してサラ姫を救出したりするあたりもゲームと同じです。 若干原作者のアレンジがありますが、ほぼ同じ。
デッシュ編は、デッシュが鳥の魔力に操られるというオリジナルストーリー。 しかも、主人公まで敵に操られて、まったく活躍できませんでした。 むしろその他のキャラがメイン。 この辺りから読み始めた人のほぼ全員が、活躍しているボウイのほうが主人公に思えます。 また、デッシュをディッシュと呼ぶ場面も。
魔術師・ハイン編に入ると一転、主人公・ムウチが大活躍。 主人公らしさをアピール。
そして、浮遊大陸を後にした4人は、ウネの夢と水のクリスタルを経たところでラスボスの魔王ザンデとの決戦になります。 おそるべき、急展開ですが、ゲームコミックスにはありがちな話なので目を瞑りましょう。
このゲームコミックスは、それなりに書き込みもすごいし、ほぼゲームに沿っていながら、オリジナルアレンジがかかっていて、ゲームをやったことのある人だけでなく、やったことのある人も楽しめると思います。
ただ、ピンチになると風の力(実はドーガ)が奇跡を呼ぶパターンが確立してしまっていたのが惜しいところです。
おっと、最後に1つだけ。
この漫画の作者にはいったいどのような資料が与えられていたのでしょうか?
なにぶん、アダマンタイマイに苦戦している主人公たちが、オオネズミやケルベロス、ドラゴン、アーリマン、ガルーダをあっさり一撃で倒しているのですが…。 しかも、「よわっちい」とか言ってます…。
すばらしき微妙なアレンジの世界。 特とご覧あれ。