remove
powerd by nog twitter

ゲームコミック紹介 その4
2000 05 04


 ハドソン魔境 原人爆発伝説  みのり書房
  著者:衛藤ヒロユキ他


 過去最高のマイナーコミックス。 古本屋の100円コーナーとかで売ってるかも。


 ゲームコミックを語っていくうちに、必ず出てくるジャンルが「アンソロジー」

 1つのコミックスに複数の作家の作品が載るという、お買い得とも寄せ集めとも言えるジャンルですが、ゲームコミックには、このパターンの作品が非常に多いです。

 例えば、かなりの利益を誇っているエニックスの漫画出版も、最初は自社のゲームを四コマ漫画にして登場させたところから始まりました。 この時の四コマの形がアンソロジー。 以降、ゲームの四コマはアンソロジーとして出されるのが常識となりました。 それどころか、普通のゲームコミックスでもアンソロジーで出されるパターンが上昇。

 アンソロジーは、出版社にとっては非常にお得な商品です。 個人的に考える主要な理由は3つ。

 1つは、複数の人間が少ないページ数で書くので、1つのコミックスが発売されて、次の作品が出版されるまでのペースが早いということ。 これでたくさんの出版物が出せます。

 次に、書いている作家が複数なので、一人一人の作家の出版社に対する力が弱いこと。 「原稿料あげてくれ」という頼みも作家一人ではなかなか相手にならないでしょう。

 最後に、「○○さんの作品だけが好き!」という読者にも本を買わせることができます。


 もっとも、こういうアンソロジーは新人の作家も紛れて参加することが多く、力のある新人が発掘されるという素晴らしい利点もあります。 今のガンガンを読めば、一目瞭然でしょう。


 さて、前置きが長いのはいつものことなのですが、この漫画はみのり書房というかなりマイナーな出版社のコミックスです。

 みのり書房について話し出すと、また長くなるので割愛するとして、この漫画はハドソンのゲームに範囲を絞ったアンソロジーコミックです。

 扱っている漫画は、桃太郎伝説、PC原人、ボンバーマンという有名ゲームから、モンビットなんていう知らない人が大半ではないかと疑ってしまうような漫画まで幅広いです。 (もっとも、大半がPCエンジンのゲームなんでPCエンジンユーザー向けのコミックスなんですが)


 しかし、この中で一番面白いのは魔方陣グルグルなどでお馴染みの「衛藤ヒロユキ」の書いている漫画。

 ハドソンのゲームの漫画ではなく、ハドソンを題材にした漫画なのですが、彼の作品の中で一番面白いのではないかと思ってしまうくらいに面白いです。

 さて内容。 死ぬ前に父の残した「ハドソン大魔王を探せ」と言う言葉を追ってネオ上海に旅立つ少年のストーリー。

 良くある話ですが、そこは衛藤ヒロユキのエッセンスが加わって、かなりの濃いネタになっています。

 ハドソンネタ中心に来るのかと思いきや、敵としてニンニン帝のマリオセーガ軍アフターバーナーなどが登場。 いつのまにか、ハドソンネタというよりもPCエンジンネタに変わってます。

 しかも出てくるハドソンネタもカトケンだとか亀の恩返しだとか、わざわざマイナーなところを使ってくる辺り衛藤ヒロユキ節がいかん無く発揮されています。

 オチもなかなかで、これほど爽快な衛藤ヒロユキの短編も珍しいものです。(全10ページ)

 この10ページのために100円出す価値はあります。

 とりあえず、ファミ通風の言い方をすればPCエンジン時代の(しかもまだCD−ROMではなくHu−Cardの時代の)ハドソン好きなら。

 


戻る