ゲームコミック紹介 その2
2000 01 31
魔神転生 〜THE TRUE REMEMBRANCE〜 全5巻
著者:上田信舟 Gファンタジーコミックス
これは、今や、日本で1,2を争うゲーム漫画雑誌とまで発展してきた「Gファンタジー」。 昔はガンガンファンタジーと呼ばれ、エニックスの月刊少年ガンガンの姉妹誌として登場した雑誌ですが、今ではすっかり独自の雑誌として定着してきました。
連載中の漫画家の7割が女性作家と言うのもこの雑誌の独自性かもしれません。
そのためか、最近では、女性読者がかなり多く増えてきました。
そして、その「Gファンタジー」の看板作家になったであろう、上田信舟先生の初単行本。 もちろん上田先生も女性作家。 長野(信州)の上田郡に住んでいた経験を活かした(?)ペンネームという話です。
上田先生と言えば、現在「女神異聞録ペルソナ」を大人気連載中(ただし、来月号で最終回)ですが、その栄光の作歴を語る上で、この「魔神転生」はかかせない作品です。
先生もこうして看板作家を誇る前は苦労も多かったようで、超マイナーゲーム雑誌でコメントを書いたり、わずか7回の発行で休刊を迎えてしまったようなゲーム雑誌に創刊時から連載していたり、女性向耽美アンソロジーに筆を加えていたりと…。
失礼。 口が滑りました。
まあ、それくらい調べあげてしまうほど、好きな作家さんだということです。
この上田先生は経歴のとおり、大のゲーム好き。 また、前述のレビュー雑誌のコメントも好きなゲームとして「女神転生2」を語るくらいの女神転生シリーズ好きでもあります。
「魔神転生」のコミックによると、担当者からの「ゲーム好き? メガテン書く?」とのコメントに「イエス」を答え、連載に到ったそうです。 この連載をきっかけに、メガテンシリーズの代表的作家にまで発展。 数年前に発売された「女神転生十周年誌」でも紹介されています。
で、ここまで書いて、「魔神転生」ではなく、何故か上田先生に対するコメントを書いていることに気づいたわけですが、
閑話休題。
この「魔神転生」という漫画。 簡単に言うと、ゲームよりも面白いです。
残念なことに、ゲーム自体はストーリーが、かなりスカスカになってしまっているからです。 主人公の行動や、ヒロインの存在などに意味を持たせているのはゲームのストーリーよりも、この漫画のストーリー。 「魔神転生」の意味もしっかり持たせてあります。
ただのユニットとしてしか登場しないようなキャラクターも漫画というメディアを通しているため、非常に個性が感じられます。 ゲームでは仲魔(仲間)になったとたん一切喋らないようなキャラクターが、バッチリストーリーに絡んで来たり、熱い行動を見せてくれたりすると、ゲームコミックの素晴らしさを再認識させてくれます。
漫画としての出来もなかなかで、ゲームをプレイしてなかった人も理解できるほど。
ちなみに、「魔神転生2」にならないと登場しない「3身合体」をバッチリ取り入れただけでなく、女神転生シリーズでまだ未登場の「4身合体」までやってくれたり、いろんな部分で熱いです。
もし、「魔神転生2をやりたいんだけど、前作もやった方がいいのかなあ?」と迷っている方がいらっしゃったら、間違い無く 「ゲームはやらなくても良いから、この漫画を読め」と薦めるでしょう。 いや、ゲームを買った人も読もう!
漫画のコメントが少なくなったけど、まあ2回目だしいいでしょう。