ゲームコミック紹介 その1
2000 01 18
ロマンシングSaGa 全2巻
著者:紺野さおり 徳間書店
いきなりマイナー漫画から責めます。 普通は、「ダイの大冒険」とか「ロトの紋章」とか出すだろう! と思う人もいるでしょうが、それでは普通なので。
はっきり言うと、これくらいがマイナーだと言っていたら、後が詰まりますから…。
この漫画は、世界観に独特の解釈が加わることも無く、普通にゲームの中のキャラクターたちがラスボスを撃破するという、RPGコミックとしては、いたってシンプルな内容です。
しかし、ストーリーに独特のエッセンスが加わっていて、実に生き生きとしています。
このロマンシングサガというゲームは、8人の主人公から1人を選んでストーリーを進めるゲームなのですが、この漫画では1巻でその8人のうちの4人の主人公が集まり、残りの4人が2巻で集結。 最後に8人が合流することになります。
ゲーム中は、最高6人パーティーまでしかできないところですが、実に最後は10人パーティーにまで膨れ上がります。
しかも、その主人公の8人が「デスティニーストーン(※1)に選ばれた勇者たち」という背景が生まれていて、その8人の終結に矛盾を感じさせないあたりは、よく考えたシナリオだと思います。 「でもそれ里見八犬伝じゃないの?」 と言われてしまうと身もフタも有りませんが。
(※1 ロマンシングサガに出てきた宝石。 全部で10個あり、それぞれ、剣やかぶとやアクセサリーとして使われている。 ゲーム中では重要アイテムというよりは、レアアイテムだった。 しかも、ゲームでは容量の都合もあって、7個までしか登場しない。 漫画にも全部登場しなかったような気が…)
また、ナイトハルトや、アルベルトの姉などの、(やっぱり容量などの関係で)ゲーム中ではあやふやになってしまったキャラクターたちが、作者独自の解釈で再登場しているあたり、ゲームをやりこんだ人は、思わず口元を緩めてしまうでしょう。
スクウェア公式ストーリーではないのかもしれませんが、出版という過程を経ている限り、それなりの責任がつきまとっているに違い有りません。
個人的には、これが、「ロマサガの明かされた謎」でも良かったと思えます。(ロマサガ大辞典読んだら扱いが変わったかもしれませんが。)
ガラハドなどの扱いもゲーム中ほどでもないけれど、結構ひどいし。
そう言った意味では、ロマサガをやったことのある人には、是非読んでほしいコミックです。 ゲームコミックスとしてはかなり楽しめます。
ちなみに公式でなかったら、大嘘コミックです。 でも、これも立派なゲームコミックスの醍醐味ですから。 大いに認めないと。
さて、お気づきの方も多いでしょうが、このコーナーは、「ゲームをやった人がコミックを読むとどう思うのか!」 ということをコンセプトに置いているので、基本的にやったことのあるゲームの漫画のことしか言えません。
というわけで、このコーナーの指針を述べたところでこの漫画についてはおしまい。