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龍虎の拳
MVS:60900円、ネオジオ:29400円、ネオジオCD:7140円、SFC版:10290円
PS2版(1、2、外伝のセット):5040円、PS2ベスト版(1、2、外伝のセット):2079円

 一撃必殺の格闘ゲーム「龍虎の拳」第一弾。
 餓狼伝説よりも少し前の時代のサウスタウンを舞台としている。
 
必殺技がまさに必殺の威力を秘めており、ただの飛び道具で4分の1ほど減る。また、今では当たり前となった超必殺技が初めて登場したゲームでもあり、その威力は一撃で体力の半分を奪い取る。
 しかし必殺技の乱発はできない。なぜなら、「
気力ゲージ」があるからだ。
 必殺技を使用することにより、気力ゲージは大幅に減る。気力ゲージの残量によって、必殺技の威力やモーション、その技が出るか否かなどが変化する。
 そのため、AかBを押しっぱなしで「
気力回復」ができるのだが、逆にDを押すことで相手の気力を下げる「挑発」も出来る。気力と体力の残量と相談しながら戦術を組み立てるのだ。
 また、
体力の残量や、殴られた部位によってキャラのグラフィックが変化するのも特徴か。主人公のリョウならば、上半身ばかり殴られていると顔が青く腫れ上がる。体力が減ると、構えていた手の位置も下がってしまう。見ようによっては生々しくて少しグロイのだが、それはまあ時代というかリアル指向というか……勘弁してあげて欲しい。
 
ズームイン・ズームアウトも忘れてはいけない。キャラ同士の位置によって画面が2段階にズームするのだ。これによって、接近時の緊迫感や迫力が増すように感じさせるという、面白い仕掛けになっている。演出は全体的に力が入っており、中間デモなどもフルボイスとなっている。

 ストーリーモードでは2人のキャラクターしか使えないが、対戦ならば8人に増える。ボス2人は使う条件が少し特殊だが、一応使えると言えば使える。なので、合計人数は10人となる。

 なお、ネオジオなどの他に、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジン、スーパーCD-ROM2などに移植されている。中でも、スーパーファミコン版は移植度が低いのだが、全キャラに超必殺技(隠し必殺技と呼ぶが)を追加しており、ストーリーもエンディングに追加がされ、ギースやジェフの名前が登場する。残念ながらこのエンディングは公式な設定ではなく、随分設定と違ったものになってしまっているのだが、こういうのもありかという仕上がりになっている。詳しくはページ下部のストーリー(完結)で紹介しよう。
 ひっそりとTVアニメ版も存在するが、設定の根本から別物なので知らなくとも構わない。

ストーリー(導入)

 アメリカのとある街に《無敵の龍》と《最強の虎》と呼ばれる二人の格闘家がいた。
 《無敵の龍》リョウ・サカザキ。
 無敗の空手家タクマを父に持つが、彼が10歳のある日、両親の乗った車が事故に遭い、母を亡くしてしまう。事故は父を狙ったサウスタウンのマフィアの陰謀かと噂された。一命を取り留めた父は、犯人を捜すために街を彷徨い、行方をくらます。
 リョウは妹のユリを養うために早朝から深夜まで働いていたが裕福ではなく、妹に苦労をさせないようにと、次第にストリートファイトで金を稼ぐようになる。
 《最強の虎》ロバート・ガルシア。
 ガルシア財団の御曹司として生まれるが、自分の力で成功を掴みたいと家を飛び出してしまう。ロバートは父の旧友であるタクマの極限流空手に入門し、リョウと共に修行を積む。数ヶ月後、ロバートは単身修行の旅に出る。
 数年の時が過ぎ、旅から帰還したロバートはタクマが行方不明になった事を知る。リョウの家へ向かおうとしていると、偶然にもユリが誘拐されている現場に遭遇する。一足遅く、ユリを助けられなかったロバートはすぐさまリョウを探し出す。二人はユリを助けるため、唯一の手がかりであるサウスタウンナンバーの車を追って、因縁のサウスタウンへと向かうのであった。

システム

ダッシュ:
バックステップ:
ジャンプ:
パンチ:A
キック:B
特殊:C
挑発:D

強パンチ:最後に押したボタンがAの時にC
強キック:最後に押したボタンがBの時にC
投げ:立ち密着時にC
空中後ろ蹴り:ジャンプ中にC
三角蹴り&三角跳び:
 後方ジャンプ中に壁際で要素かニュートラルで三角蹴り、それ以外にレバーを入れると三角跳び

隠し必殺技(超必殺技):
 体力が4分の1以下で気力ゲージが満タンに近いときに、任意のコマンド。
 覇王翔吼拳は体力などの使用制限がないが、リョウとロバートは超必殺技伝授を達成していないと使用できない。
キャラクター
(全8人+特殊2人。名前クリックで技表へ)
-ただしリョウ&ロバート以外は対戦専用-
リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア
藤堂竜白
(VSのみ使用可能)
ジャック・ターナー
(VSのみ使用可能)
リー・パイロン
(VSのみ使用可能)
キング
(VSのみ使用可能)
ミッキー・ロジャース
(VSのみ使用可能)
ジョン・クローリー
(VSのみ使用可能)
Mr.BIG
(VSのみ使用可能)
Mr.カラテ
(VSのみ使用可能)
隠し要素、裏技等

全機種共通
Mr.BIG&Mr.カラテの使用:
 少し反則くさいのだが、CPU戦でMr.BIGと戦っている時に乱入するとBIGが、カラテと戦っている時に乱入するとBIGとカラテが選択できる。
 性能はCPU版よりも落ちてはいるが、ボスはボス、高性能。ただしBIGはジャンプが出来ない。
 なお、SFC版はそんな事をしなくてもVSモードで使用できるようだ。

隠し必殺技「龍虎乱舞」:

 リョウとロバートには、隠し必殺技で「龍虎乱舞」が存在する。コマンドは上記の技表に載せてあるが、ボタンはC+Aではないので注意。Cの後にA。
 使用条件は超必殺技と同じだが、覇王翔吼拳と違って、超必殺技伝授を達成せずとも使える。
 なお、SFC版のみ全キャラに隠し技が存在するので、技表を参照して欲しい。

キングの服が破れる:
 キングと戦う際に、必殺技・超必殺技・隠し必殺技でKOをすると、来ているシャツが敗れて下着があらわになる。

SFC版
エンディングの追加:
 難易度を4以上でクリアすると、通常のエンディングの後に下記のエンディングが追加される。なお、公式設定ではなく矛盾があるので、こういう話もあるという程度に受け止めて欲しい。

タクマ「リョウ、流石だな。しばらく見ぬ間に随分と腕を上げたもんだ」
リョウ「父さん! 一体……一体どういう事なんだ!」
タクマ「リョウ。儂はお前達のもとを去ってから、ロネットを事故死させた奴を追って各地を歩き回った。やがて儂はこのサウスタウンへとやって来たのだが、なかなか手がかりが掴めず、酒浸りの生活が続くようになった。ギャンブルにも手を出し、多額の借金まで作るありさまだった。そして路頭に迷った儂の前に、ギース・ハワードと名乗る男が現れ、借金の肩代わりをする代わりに、事業の手助けをしてほしいと言ってきた。だが儂はギースの本性を知ってしまった。ギースと奴の部下、BIGの密談を聞いてしまったのだ……」
--回想開始--
BIG「ギース様、ここまでくればサウスタウンを手中に収めるなどもはや時間の問題でしょう。ただ、あのジェフ・ボガードとかいう男、早く始末しておかねば後々厄介な事になろうかと」
ギース「フッ、それならば既に手は打ってある。この間拾ってきたタクマとか言う男、聞けば極限流空手の師範とか……。ストリートファイトと称してジェフと戦わせ、奴を消す。その後でタクマも消せば、なに、造作もない事よ」
--回想終了--
ロバート「ギースか……そいつが黒幕ちゅうわけやな。よし、ワイが軽く片づけたる!」
リョウ「ロバート、落ち着け! 父さん、続けてくれ」
タクマ「後で解ったことだが、奴も拳の達人らしく、奴の手でその男を始末できただろう。だが、そんな事をすれば実業家としての地位が危ぶまれる。そこで奴は極限流空手師範の儂の存在を知り、力を利用しようとしたわけだ。無論、儂は応じなかったが、奴はユリを人質に取って……儂は言うことを聞くしかなかった」
リョウ「なんて奴だ、卑怯な真似をしやがる!」
タクマ「リョウ、それにユリ。突然お前達の前から去った上、こんな事にまで巻き込んでしまって……。随分と苦労をかけたな。儂はお前達に父親らしい事を何もしてやれなかった。儂を許してくれ。儂は父としても人間としても最低だ……」
ユリ「お父さん……。お兄ちゃん、お父さんを許してあげて!」
リョウ「父さん、もういいよ。無事でさえいてくれたら、生きていてくれさえすれば、俺は何も言うことはないよ」
タクマ「リョウ……」
 数日後タクマは、極限流空手師範の座をリョウに譲り、自ら街外れに小さな道場を開き、日夜指導に当たっていた。一方道場に戻ったリョウとロバートは更なる修行を続けた。
ロバート「おらおら、どうしたリョウ」
リョウ「望むところだ!」

ストーリー(完結)

 リョウとロバートは街中の猛者と戦いながら情報を集めた。情報を繋ぐうち、彼らはユリが軍事施設にいると知る。ダウンタウンのボクサー、ミッキーの手引きで空軍士官学校への潜入に成功した彼らは、そこで教官をしていたジョン・クローリーと相対する。
 ジョンはマフィアと繋がっており、武器の横流しをしていた。ジョンを倒した彼らは、ついに元・陸軍大佐の経歴を持つマフィア幹部、Mr.BIGの存在を突き止める。
 ジョンに教えられた工場へ殴り込み、見事BIGを倒した彼らだったが、黒幕のはずのBIGは不可解な言葉を残す。港の近くにある空手道場を捜せ、不敗の格闘家がお前を待っている、と。
 その言葉に従って道場へ向かうと、そこには天狗の面を着けた空手着の男、Mr.カラテが待っていた。
 苦戦の末、カラテを倒したリョウがとどめをさそうとすると、捕らわれていたはずのユリがカラテをかばう。だが、彼女の言葉もまた不可解だった。
「やめてお兄ちゃん! 私は何ともないの……お兄ちゃん、その人は……その人は私達の……」
       ――to be continued?

 と、凄く中途半端に終わる。
 結果から言うと、このMr.カラテこそリョウとユリの父、タクマなのだ。ユリを人質に取られ、しかたなくBIGの配下に付いていたらしい。続編である龍虎2のオープニングでこの辺りの事が語られる。
 ただ、BIGが敗れて息子達が来たというのに黙って戦うのは……格闘家として、成長した息子と全力で手合わせをしたかったという事にしておこう。恐らくリョウとタクマはそういう人物だ。
 真相はスタッフがそこまで考えてなかっただけだと思うが、ちゃんと考えてもタクマならば黙ってリョウと戦うだろう。何せ、初代《無敵の龍》として無敗を誇ったくらいだ。数年ぶりに会った息子がここまでたくましく成長していれば、自分と同じ技を使っていれば、戦ってみたくなるのも無理はない。
 補足するならば、次回作の龍虎2でキングがリョウに敗れた後でビッグを裏切り、ユリを助けたとにおわせる設定がある。この場合、ユリはMr.カラテの潜む空手道場に捕らわれていたのではなく、Mr.カラテもユリがどこに捕らわれているのか、どうなっていたのかを把握できていなかったと考えられる。
 その場合だと、キングに助けられたユリが急いで父と兄の元に駆けつけて、ギリギリ間にあったという風になるので、Mr.カラテが戦う動機は「ユリが人質になってるので仕方なく」のままで行ける。その代わり、なんでキングがユリの居場所を知っていたのかという矛盾も出るのだが……。

 なお、SFC版のみエンディングが追加されている。そこではタクマが事件の真相を語るのだが、後の作品と整合性がとれない独自設定となっている。しかし面白い仕上がりなので、横に書いておこう。
 ←こんな感じ。
 公式設定と違うところで解りやすいのは、ギースとBIGの関係。
 ギースとBIGは同じ組織に属する幹部同士だが、ほぼ同格である。
 わずかにギースの方が上回り掛けているかどうかという程度なので、BIGはギースを嫌っている。
 また、ギースが実業家という事になっており(あながち間違ってはいないが)、手を汚したくないというのは、餓狼でジェフをあっさり暗殺している事などとも矛盾している。
 ちなみに、ジェフが暗殺されるのはこの3年後なので、餓狼1は龍虎1の13年後の物語という事になっている。
 タクマも師範の座を譲っておらず、龍虎2に師範として参加している。
 詳しいことは「考察」コーナーの時系列やキャラデータベースなどを参照して欲しい。「龍虎の拳」の考察も資料が揃い次第追加予定だ。

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