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―― C.E.74〜78年の歴史・後編 ――

CE75、9月下旬、組織が形作られていく中で、この仕組みを恒久的なものにしょうという、新たな動きがでてくる。

統一地球圏連合政府樹立。
ようやくなった世界的平和の土壌。

この時、ひとつの議題が提案される。各国家の主権返上。
これにより各国は、統一地球圏連合政府下における一行政府になり、名実共に国境や国際問題が解消される、としたのだ。
 
率先してその礎になろうとオーブ、ならびに親オーブ国家に対して、国家の独自性を重んじる一部の国々はこれに反発。
議会は紛糾する。

特に、やっと独立を勝ち取った西ユーラシア連邦新政府の反応は過激であった。
大半の国家は静観の構えを見せ、西ユーラシア連邦新政府の結果をみて行動をしようと考えた。




CE75、10月、議会もしくは私的な懇談会で議論を重ねるが、西ユーラシア連邦は態度を硬化させる。

ラクス=クラインが「今、平和へと世界が変わろうとしている中で、なぜそれに参加できないのか」と問うも議論は平行線のままに終わる。
その後もラクスと西ユーラシア連邦代表は何度も話し合いの場を持つものの、西ユーラシアの統一世界連合への脱退が避けられないところまできていた。
また、その中で自国の混乱から立ち直れない赤道連合は、最初に主権返上を申し入れ受理されていた。


10月下旬、最後の西ユーラシア連邦新代表とラクスとの会談。

「どうして、世界が平和へと向かうこの時に、そのような態度をとられるのです」
「我々は独立を旨として行動してきた。この上、主権返上などといったふざけた案は賛同しかねる」

「確かに改めるべき事は多いかもしれません。 ですが世界が平和へと動こうという今、何故そんなに態度を頑なにされますか?」
「平和は我々も望むところ。だが、地球規模の統一国家などいう絵空事には付き合いきれない」

「それが世界の平和を生み出すための最善の道ではありませんか?先の大戦を見てください。各国が勝手な理屈で動く限り平和はなりませんわ」
「ラクス=クライン。あなたの理想は立派だが、それでは国も人も動かん」

「私はもう人と人の憎しみの連鎖を見たくありません。 だから私は戦うと決めたのです。なぜ、平和への道を躓かせるようなことをおっしゃるのです」
「若きラクス嬢とは、これ以上の会談は無意味だ」

「なぜ、そんなことをおっしゃいます。そのような行動は、世界の平和を乱すこととなることがどうして分かっていただけませんか?」
「我々は我々の理想で行動してきた。誰かに決めてきめてもらう必要はない」

「私は世界の平和を願っています」
「…我々もだ」

「では何故!?」
「これ以上の議論は不要だろう。お互いの正義にのっとって行動すればいい」

「…貴方がたの行動は世界を再び戦乱へと向かわせる一歩となりかねないのに どうして。世界がやっと一つになろうとしているのにどうして」
「…(分からないのだな、彼女には)」


「戦場で会おう」




CE75、11月、西ユーラシア連邦新政府は、世界平和への道を乱すものとして、PGに打倒され、その地域は統一地球圏連合政府の直轄地となる。


またこの頃、統一地球圏連合政府の諸組織は完成を見る。
西ユーラシア地域の状況をみて、反対派は表立った行動を控える。




CE75、12月、ブルーコスモスや旧ロゴスに連なるものが次々に逮捕、弾圧される。
その中心的役割を担ったのが、後の治安警察省長官ゲイハルト=ライヒだった。
(時期的には12月〜5月くらいまで)



CE76、1月、正式に統一連合軍が発足し、地上軍司令にレドニル=キサカ大将、宇宙軍司令にムゥ=ラ=フラガ中将(その後、大将に昇進)が就く。
これ以後、戦乱を起こさないための抑止力として、統一連合軍、PGの軍備拡張路線が推進されていく。




CE76、10月、総会がパリにて開催される。首都オロファト(ヤラファス島)以外では初の総会。
 旧西ユーラシア連邦ビル、現在は統一地球圏連合政府パリ政府ビルにて爆破テロ発生。
死者153名、負傷者1200名あまりの大惨事となる。
テロの翌日「ローゼンクロイツ」と名乗る組織より犯行声明が出される。

ユーラシア地域全域に影響を持つ組織であり、どうやら西ユーラシア新政府の残党が多数含まれるようだという噂が囁かれ、CE75年11月の強制直轄地編入のことを思い出す者もいた。




CE76、10月下旬、パリ総会の中で、テロ打倒を訴え、治安警察省の設置予算請求をなどを含めた補正予算案が提出される。




CE76,11月中旬、補正予算案可決。治安警察省発足。長官はゲイハルト=ライヒとなる。
11月下旬、スカンジナビア王国のリンデマン外相、ペテルブルグにて爆弾テロの犠牲となる。
「バルト独立同盟」より犯行声明。



CE77、1月頃、各国代表が平和への利権を求め、国内政治に目を向けない態度に南米、中東、北アフリカなど各地でレジスタンスが決起していく。



CE77、2月、深刻化するテロに対応するため、治安警察省から、独自の軍・武装部隊を持てるようにとの提案がある。
治安警察省より「治安警察 特務任務部隊法案」が議会に提出。

これに関して、統一連合軍、国防省から軍の組織の礎をそこなうとの意見が噴出するが、最終的に治安警察省に軍部隊を持つことが承認される。
ここに治安警察軍が誕生した。

その後、治安警察は武装化と強権主義へと突き進む。
後年、たびたび取られる治安警察省の強引な手法には、統一連合軍や自治省、各行政府との間に深刻な対立を生む原因となる。




CE77、3月、南アメリカの対テロ特殊部隊隊長エドワード=ハレルソン少佐、部下十数名を連れレジスタンスに身を投じる。




CE77、4月開発中であったGWE-X001A「エターナルフリーダム」がロールアウト。
その力は凄まじく、初戦で最大クラスのレジスタンスであったバルト独立同盟の戦闘部隊を、3日で完全に殲滅。
これ以降しばらくレジスタンス活動は一時的に沈静化する。




CE77、5月南半球が記録的な大干ばつによる食糧危機に陥る。
統一世界連合は北半球の全国家に備蓄穀物の放出を要求。
それとあわせて食料プラントをフル稼働させ、どうにか餓死者は出さずに解決する。




CE77、6月大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上の意向を表明する。
両国家とも世論が真っ二つに割れ、大洋州連合は3ヶ月後に国民投票で決まることになり、大西洋連邦は、大統領選挙を待つこととなった。

同年、7月、スカンジナビア王国、主権返上する意向を示す。
国民は歓喜と熱狂でこれを支持。

同年、9月、大洋州連合にて主権返上の是非を問う国民投票実施。
結果は主権返上が58%となり主権返上へと向けて動き出すこととなる。
 



CE77、9月、オセアニア紛争勃発。
主権返上に反発する勢力が、大洋州連合内で反乱を起す。
その中心になったのがオーブに反発する旧ザフト軍人らが結成したレジスタンス、レヴァンラプター師団であった。
 



CE77、10月、今度は北半球が記録的な冷夏から、またも深刻な食糧危機に陥る。『北半球大飢饉』である。
再び食料プラントをフル稼働させ乗り切ろうとしたが、追いつかずに多数の餓死者が出る。

特に東ユーラシア地域が深刻で、ここだけで飢餓・感染症などで数百万人以上が死亡。
北半球全体で500万人以上が死亡したとされる。

これにより、統一地球圏連合政府に各国の世論から、軍備拡張に予算を費やし、生活福祉に予算の投入が足りなかったことに対する不満がでる。




CE77、11月大洋州連合の78年からの統一世界地球圏政府の編入が正式に決定される。




CE78、1月シドニーにて、爆弾テロ発生。「オセアニア解放軍」より犯行声明。




CE78、 1月下旬、プラント駐留の宇宙軍第二艦隊が叛乱。
統一連合軍宇宙軍との交戦状態に陥る。

後の歴史に言う『九十日革命』の始まりである。

同年2月初旬、反乱軍宇宙艦隊はようやく再建された宇宙要塞ヤキン・ドゥーウェに駐留していた、統一連合宇宙軍第四艦隊を奇襲により壊滅させる。

また地上ではこれに呼応するように、東ユーラシア最大のレジスタンス組織「ローゼンクロイツ」が再び各地で決起。さらにこれに彼らと手を組んだ東ユーラシア共和国軍が加わった。
彼らは「革命軍」を名乗り、周辺の組織や現政権への不満層を吸収合併、武装組織化しながら各地を進軍。
革命軍はキエフ、ワルシャワ、モスクワ等次々に主要都市を占領し、勢力を広げていく。

同年2月中旬、反乱軍宇宙艦隊は統一連合宇宙軍第一艦隊、第三艦隊との決戦に敗れ全滅。
革命軍はベルリン、ペテルブルグ占領。モスクワに「革命政権」の樹立を宣言。
東ユーラシア共和国政府首脳・高官はパリに脱出し、臨時亡命政府を立てる。

同年、 2月下旬、西ユーラシア直轄地(旧西ユーラシア連邦)と東ユーラシア共和国を挟む国境に、統一連合軍地上部隊の精鋭が集結。東ユーラシア反攻作戦開始。
これにはPGも参戦した。
 


CE78、3月初旬、南米解放同盟、武装闘争を再開。統一連合軍はベルリン奪還。
中旬、ワルシャワ奪還。東ユーラシア共和国政府高官、帰国。
下旬、統一連合軍はモスクワ、キエフ奪還。革命軍壊滅。ローゼンクロイツは占領地を手放し再び地下に潜る。



CE78、4月、ローゼンクロイツの構成員、幹部、スポンサーが次々逮捕され、壊滅的な打撃を受ける。
また4月中旬、南米解放同盟、武力闘争を再び停止する旨の声明を出す。


「九十日革命」ここに終結。
わずか三ヶ月の間に、総死傷者数300万人を超えるという大惨事であった。



CE78、5月、ラクス=クラインの演説(通称:「平和の演説
」)。
全世界の武装組織、反政府組織に対してテロ活動の停止を、各国には統一国家樹立への協力を訴える。

 


CE78、6月、イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始。

CE78、7月、オセアニア紛争終結。大西洋連邦大統領選挙でイギリス・カナダ閥のレノン(エターナリスト)が、アメリカ閥のジェームズ=ジェファーソン=ジョンソン(通称”3J”、穏健派反エターナリスト)に敗北。

CE78、8月北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始。




CE78、9月オーブ首都オロファトにて、統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典を開催。
統一連合政府主席カガリ=ユラ=アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話)




そして、Revivalの世界へ・・・