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** 3巻の蔵馬 〜登場編〜 **

 

「………悪いが オレは手を引かせてもらう…」「なに!?」「どういうことだ!?それは仲間をぬけるということか」「……そうだ」(B55)

 出てきたと思ったらすぐに引っ込んでしまう蔵馬の初回登場シーン。財宝をまんまと盗みおおせて、してやったと喜んでいる剛鬼・飛影を尻目に「そんなことをして遊んでいる場合ではない」と一人だけ大人な蔵馬。活躍もしないまま場を去る二枚目にがっくりするものの、今後の蔵馬の活躍を予感させて多少期待の持てる展開である。しかし剛鬼と飛影は絶対盗賊なんか出来そうにないのだが…蔵馬が過去のスキルを生かして計画・先導しただろう確率100%。

「警戒しなくていいよ。オレは戦う気も逃げる気もない。たのみがあるんだ……」(B92)

 剛鬼と戦って辛くも勝利した幽助の前に、突如として現れる蔵馬のセリフ。憂いを帯びた顔でお願いモード。しかし警戒するなと言われて素直に従うのは幽助くらいと思われる。

リンゴでもむこうか「いいわ…食欲ないから…」「だめだよ、少しは栄養とらないと。いつまでたっても直らないよ!」「はいはい、秀一はきびしいんだから」(B96)

 仲山総合病院に入院している南野’s母:志保利さんと蔵馬の対話場面。天下の蔵馬がリンゴむいてる!リンゴ!!っていうか母の代わりに看病されたい。蔵馬に看病されるんだったら瀕死の状態でもいい。愛の力で峠の一つや二つ、軽く越して見せます。いいなァ〜志保利さん……ヨダレもんの展開ですな。ひどく個人的な妄想ですが、うさぎリンゴをむいてもらって「あーん♪」とかやりたい。えぇ。あ、でも隣に蔵馬が居るだけで発熱しそう。看病してもらってるのに逆効果で余計瀕死。ともかくこの場面により、皮むきは人並みに出来る事が判明した。

「でもなんでオレにそんな話を?」「…懺悔をだれかに聞いてもらいたかったってヤツかな…なによりキミはオレを信用してくれた(B101)

 病院の屋上で、幽助に自分の正体や母親への気持ちを語る蔵馬。めちゃめちゃ飛ばしてます。よりによってなんでオレに、と幽助が疑問に思うのも当然。どこかのサイトで拝見した考察に「この時の蔵馬の行動は全て計画だった」というのがあったが、言われてみれば確かにそれくらい平気でやりそうだ。目的のためには手段を選ばない。それが蔵馬。自嘲気味な微笑みも全ては計算……(怖)

「本当にいいのか!?他人の幸福のために自らの命を犠牲にするというのか!?」15年間だまし続けたオレの罪が それで少しでも償えるなら…B104)

 暗黒鏡との対話。もうブイブイ言わせてます。蔵馬の愛情というのは、見返りを全く求めない一方通行の愛情で、良く言えば献身的、悪く言えば自己犠牲精神旺盛。喜多嶋麻弥や志保利さんを、自分の命やら想いやらを犠牲にして守りぬこうとするその姿勢にファンは涙するのだ。彼の葛藤や苦しみ、そして守られていることにも気づかないまま、彼女達は生きてゆくのだろう。報われないなぁホント。

「秀…一 いるの?秀一…」「…母…さん…ここにいる どこにもいかないよ 母さん…!(B108)

 何をか言わんや。峠を越えた志保利さんの側に付き添う息子ッ!目には涙!もう何度読み返したか判らないほど読んだ箇所。その際に「母さん」を自分の名前に変換して妄想していた女子は一体何人いることやら。でも実際自分の名前を泣きながら呼ばれて手なぞ握られた日にゃあ…瀕死どころか一気に霊界行きですよ。死因はおそらく脳梗塞。のぼせてしまって、夢見心地で昇天。

こないだの借りを返しにきたぜ…あの女の子のことは…オレにまかせてくれ」(B138)

 「返しにきた」って……“きざな二枚目”という初期設定の悲しさをひしひしと感じる台詞。場面は幽助VS飛影。飛影に呪縛された幽助のピンチを救うため、あわやという時に二人の間に割って入った蔵馬の腹部に剣が貫通。が、貫通した剣を抜きもしないで朗々とセリフを喋る蔵馬。いや、まず抜けよ…。「バ、バカ、動くなその傷で」と現状を的確に捉えたコメントを発する幽助が常識人に見えた。そうか、人間だもんな。それでいいんだ。