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ギャルゲレビュー

キラリと光ったギャルゲーのレビューを掲載していきます。
1      planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
 冬コミで、2日もKEYブースに並んだにも関わらずグッズが手に入らなかったり、クレジットカードがようやく手に入ってDLしようと思ったら不正行為か何かでDLできなかったり、どうもこのゲームとは縁が無いのかなあ?と思っていたのですが、冬休み最終日になってようやくプレイしました。
 あまり長くないとのことだったのですが、でも休み期間中にはどうしてもプレイしたかったので、このタイミングでプレイできてほっとしています(^-^;
 
 以下、ネタバレを含まない箇所まで書きます。
 
 このゲームは、KEYブランドから発売された4作目のゲームにして、ビジュアルアーツとYahoo!BBが共同で立ち上げた(?)新機軸のブランド「キネティックノベル」シリーズの記念すべき第1作目だったりします。
 DL専用かつ、クレジットカード専売と言うことで色々と物議を醸しましたが、1050円というリーズナブルな値段を考えると、販売方法については致し方なかったかなあ、と思う次第であります(何か口調が堅いw)。
 
【DATA】
◆planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜(2004年11月末発売)
・ブランド…Key/キネティックノベル
・シナリオ…涼元悠一
・原画…駒都えーじ
・音楽…戸越まごめ
・プレイ時間…約2時間
 
 プレイし始めて、実に「涼元さんらしいなあ」と感じましたw
 世界観や設定に、不要と思えるくらいの詳細な知識やそれについての説明をしていた点や、ヒロインとの意思疎通があんまり上手く行かなかったりした点、序盤から伏線をばりばり張っていて、後半は一気にそれらを解き明かしていくところとか、シナリオ自体やヒロインとの関係の脆く儚いところなど…。
 CLANNADのことみシナリオや、AIRの過去編を担当した(とされる)人らしいシナリオとなっています。
 
 システム的には非常に単純明快。
 ひたすら一本道のシナリオを読み進めていくだけです。途中でしおりを挟めたり、ページの巻戻しなんかも可能で、一通りの従来のノベルゲーのシステムは搭載されています。
 クリア後のCGや音楽鑑賞モードもあって、特に音楽鑑賞モードは、「全曲再生モード」(CDのアルバムのように流せる)や「リピート」が出来たりするなど、なかなかのものです。シナリオスキップはできないみたいですが…。
 
 世界観は、いたって簡単(でも無いですが)。
 要は、よくある「終末の世界」です。こんなことを書くとアレですが、「北斗の拳」のような世界ですね(^-^;
 ちなみに、偶然ではあるんですが(本当です)、当HPのSS「終末世界」と、若干被ってしまってます(^-^; 全然パクったわけでは無いんですけどねw
 
 ボリューム面ですが、1050円であることを考えると、何ら不満の無い、十分なものだと思います。2時間で読み終わってしまったのですが、それほど短いと感じたわけではありません。
 ただ僕の場合、「短い」と感じた話は、等式で「面白い」ことなので、それほど「面白い」と感じていなかった可能性もあります…。
 
 CGに関してはOKです!
 駒都えーじ氏によるCGはもの凄く描き込まれていましたし、今までのKeyには無い描写で堪能できました。
 背景もやはり素晴らしい! ビジュアル的には申し分ありません。
 
 音楽も同様です。
 一応全曲が戸越まごめ氏による編曲みたいですが、作曲は別の方が大半をやっているようで。こちらも申し分ありません。
 効果音も明らかに従来のKey作品よりも多く、臨場感を高めるのに一役買ってました。
 
 で、プレイして思ったのは「映画を観ているみたいだった」と言うことです。
 エンディングに至る流れが、映画館で映画を観ているような錯覚に陥りました。キネティックノベルの「キネティック」という部分が頷けました(キネティック=映画的なのかどうか知りませんけどw)。小説を読んでいるはずなのに、映画館のスクリーンの前にいるみたいでしたから。
 
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 と言うわけで、ここまではネタバレなしのレビュー。
 これより下は、ネタバレありのレビュー&感想となりますm(_ _)m
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 シナリオについてですが…、
 面白かったとは思います。
 ただ、どうしても「長く感じてしまった」こととか「読み進めているときに、他のことを考えている時間が長かった」ことが気になりました。
 要は「没頭できなかった」のです。
 
 もしかすると、個人的に体調が優れなかったことがあるのかもしれませんが、それでも今までの涼元シナリオから考えると、没頭し切れなかったなあ、と思いました。
 
 あと、何となく思ったのは、ノリは「銀色」っぽいなあと。正式には、それの第1章みたいだな。と。
 要は、最終的には「閉塞的」なお話だと言う事です。
 主人公(名前すら出てきませんでしたね…)とヒロイン(ゆめみ)の、夢や幸せ、希望などを見つけ出すようなお話でしたが、最終的にそれらが叶うのは「天国」なわけです。要は、「壊れた」現世では叶わないことなわけです。
 最終的に、お互いがお互いに居場所を見つけて、そこに幸せを感じるも、互いに儚く散っていく、という感じです。
 
 それと、あとギャルゲーでロボットと言えば忘れられないのが、トゥハートのマルチです。
 割と都合よく出来たロボットだったマルチを、意識しつつも別物に仕上げたのが「ゆめみ」だったのかなあ、とも思うわけです。
 ロボットであるがゆえに、融通の利かない部分があったりする点や、可愛らしい面がある点、そしてロボット固有の設定をシナリオに生かしている点など、この点に関しては本家の上を行っているわけなんですけどw
 
 ラスト近辺ですが、ゆめみが撃ち抜かれた後のあのCGですが、はっきり言って「エグい」と思いました。ここまで描くか、とも。
 儚さの中の美しさもありましたけどね。この辺は、涼元さんらしいと言えばらしいのでしょうけど。
 
 総じてシナリオの感想は、それほどインパクトのあるシナリオ展開で無かった分(展開が読めたっていう時点で)、強いものではありませんでした。が、悪かったというわけではありません。
 特に、ゆめみがロボットであるという点は、ちょっと他の追随を許さないレベルで生かしきっていたシナリオだったと思います。
 ただ、最後の最後は、正直言ってゲームをプレイし始めたところから想像出来たものだったのが、残念なような気がしました。
 
 でも、Key作品が1050円で楽しめた事実には変わりありませんので、1年に1〜2回くらい、こういう作品が楽しめたら良いなあと素直に思いましたw
 
CG:9/10
音楽:9/10
ストーリー:7/10
キャラ:5/10
涙腺刺激度:6/10
感情移入度:5/10
更新日時:
2005/01/04 
2      万人にはオススメし難いが佳作なギャルゲー4〜WHITE ALBUM〜
 前回からむやみに時間が経ってしまいましたが、このシリーズ4作目のレビュー(?)は、リーフの「WHITE ALBUM」です。
 
 言わずと知れたリーフの大ヒット作「To Heart」の次にリリースされた恋愛AVGで、様々な物議を醸し出した(?)賛否両論な作品でした。
 
【DATA】
◆WHITE ALBUM(1998年 5月 1日発売)
・ブランド…リーフ
・シナリオ…原田宇陀児
・原画…河田優(カワタヒサシ、ら〜・YOU)
 
 まず何が物議を醸し出したかというと、リーフと言えば当時までは「ビジュアルノベル」なメーカーだったのに、そのノベルをこのゲームでは辞めてしまった、と言うことでした。なぜ辞めてしまったのかは定かではありませんが、それまでメインライターだった高橋龍也氏がゲームをメインに関われなくなったためかもしれません。
 そのための弊害として、シナリオの厚みがかなり薄くなった印象を受けてしまいました。ここが大きなマイナスでした。
 
 そしてもう一つのマイナス面は、システム面です。
 普通のエンカウント式AVGにしてしまったがために、各キャラのシナリオに入ってしまうと、イベントシーン以外はほぼ作業的になってしまったことです。イベントシーンとの整合性が取れていない部分も見受けられましたから…(単に出会って、好感度が上がる前の反応を、とあるヒロインからされてしまったり…)。
 
 その他、各ヒロインでのシナリオの差や、CGやイベントの数の少なさなどの不満もありました。
 
 ただ、キャラクターやシナリオの傾向は良かったです。
 元々ツリ目キャラが好きな僕ですがw、原画の河田優さんの描くツリ目キャラは本当に可愛いっ!
 
 そしてシナリオは、緒形理奈シナリオが一番良かったですね。
 殺人的な可愛さ! そして、ヒロインとのライバル的な存在…だと思っていたのに、めっちゃ良い娘だし…。思わず惚れてしまいますw
 特に私服姿が可愛すぎです。
 シナリオ自体も良かったですね。名セリフもありましたしw
 
 他、澤倉美咲シナリオも良かったです。
 年上キャラなんですが、主人公やヒロインと先輩後輩の関係で、その狭間で揺れるシナリオはなかなかのものがありました。
 
 可愛さで言えば、観月マナちゃんでしょう!
 むら気、生意気、攻撃的(公式HPより抜粋w)で、しかも見た目は小…(以下自主規制w)。
 まあ、僕のほぼストライクゾーンをついているんですけどねw シナリオの傾向もそんな感じでした。
 
 
 このゲームのテーマは「浮気ゲー」と言うことです。
 既にヒロインとは恋人同士の関係ながら、特に進展していない、というのが初期設定です。よって、ヒロイン以外のキャラを攻略する際は、完全に二股・浮気になってしまうわけですがw 浮気ゲーとしては最初のゲームなのかなあ、って思っているんですけどね。
 ゲームをやる前まではイマイチに感じていた設定でしたが、やってみるとなかなかそそられる設定だったりします。
 
 特に強烈に推したい要素はありませんが、興味があればどうぞ、的なゲームです。
 
CG:9/10
音楽:9/10
ストーリー:6〜9/10(キャラによって差が大きい)
キャラ:9/10
涙腺刺激度:6/10
感情移入度:6〜9/10
 
 ボリューム的にはどうだったかな?
 1本のシナリオがそれほど長くないですし、それほど大したことありません。
 
<ジャンル>
 エンカウント式アドベンチャー。
 キャラ設定が先? シナリオは後付け?
 
<こんなゲーム好きな方にオススメ>
 CLANNADの藤林姉妹シナリオ?
 …浮気ゲーとしては参考にしていたはず。
更新日時:
2004/10/12 
3      万人にはオススメし難いが佳作なギャルゲー1…終末の過ごし方
※旧サイトからの転載です。
 
 今回から、「万人にはオススメし難いが佳作なゲーム」を紹介していきます。
 どこかに欠点はあるが、それなりに印象に残った、一部分がキラリと光ったゲームの紹介です。
 今回は第1弾に相応しい佳作「終末の過ごし方」です。
 
【DATA】
◆終末の過ごし方(99年4月9日)PC(CD)版
 その後、DVDバージョン(設定資料集つき)発売。
・ブランド=アボガドパワーズ
・シナリオ=大槻涼樹
・原画=小池江里加(小池定路)
・音楽=矢野雅士
 
 ギャルゲ好きなら、一度は聞いたことのある作品「黒の断章」や「Esの方程式」を出したメーカーから出た作品です。僕はそれらの作品自体は知っていたんですが、プレイしたことはありませんでした。ですから、何で買ったのかを克明には思い出せないんですよ。
 もしかしたら、ジャケ買いしたのかもしれません。淡い色調の絵柄と、タイトルの強烈さ。これだけでも僕にはインパクト十分でした。
 
 作品自体の大きなテーマというか設定は、タイトルの通り「終末」の「過ごし方」という設定のストーリーです。世界の終わりが1週間後くらいに迫っている状況で、残り少ない時間を、どのように過ごすか?というのが目的のお話です。しかも、「終末」であることを皆が受け入れていて、本当に「終末」を「週末」のように過ごす相手を、誰にするかって感じのストーリーでした。
 これだけ書いていると「??」となりますが、プレイすれば、これだけで「そうやな」と思えてしまうようなゲームです。
 ヒロインや主人公たちは、決して終末に対し、悲壮感を持っていません。むしろ驚くほどの平常心を保ち、最後のパートナーとの淡い恋愛を描く、そんなストーリーになっています。
 
 突飛な話に見えるかもしれませんが、プレイすると、本当に穏やかな時間が流れていて、主人公やヒロインたちの立ち振る舞いが自然に思えてきます。
 そして、1日が始まるときに流れるラジオのDJだけが、終末に近づく世界の近況を、DJっぽく伝えてくれます。
 
 このゲームをプレイしていて、一番感じたのが「芸術性」です。作品全体をまとめる淡い色調であったり、ヒロインたちと主人公の、最後の日常や恋愛であったり、退廃的ですが独創的な世界観を演出した音楽であったりが、ものすごく高い次元で融合して、ゲーム全体の雰囲気を統一しているのが、もはや芸術としか呼べないような作品に仕上げていました。
 特に、絵と音楽は、かなり独創的でしたね。
 原画の小池定路氏は、コンシューマの「ネットDEロン」とかの原画もされていますが、萌えとは違う淡い色調の絵を得意とされている絵師さんです。最近の絵は、この作品の絵からすると「落ちたな」と思っているんですが、個人的にはこの作品のCGは、塗りを含めてものすごい好きです。長期間PCの壁紙に使っていたくらいですし。
 音楽は、アボパの方らしいんですが、作品全体に共通する「退廃的」かつ「叙情的」なイメージは、音楽で作られたと言っても過言ではありません。統一感だけなら、CLANNADよりも断然こちらのほうが上かもしれません。
 
 世界観や舞台の設定に関しては、もう申し分の無いものを持っていました。
 
 ただ、「ギャルゲーを越えた…」で紹介されないゲームなんで、手放しで喜べない問題も抱えています。
 
 その原因は、1ストーリーの短さです。どんなにしっかり読んでも、2時間もあれば読み終えてしまいます。それに、各ヒロインとの初期設定も、ゲームが始まる以前の関係なども含め、かなり説明不足です。だから、感情移入がしにくいんですよ。
 
 ただ、これだけ世界観や各シナリオの統一がなされているゲームは、今までやったゲームでも全く無いと思います。キャラクターは若干弱くなっていますが、その理由は「説明不足」の一点につきますし。
 
 このゲームのジャケ絵に惚れたなら、確実にプレイすべきでしょうね。また、ノベル系なゲームですが、短編小説が好きならば、結構オススメできそうです。ホント、独創的なゲームです。
 
 今は、幻の設定資料集つきDVD版が出ているので、そちらを買うことをオススメします。CD版でも十分楽しめますけど。
 
CG:10/10
音楽:9/10
ストーリー:6/10
キャラ:6/10
涙腺刺激度:6/10
感情移入度:5/10
 
 あと、このゲームは何故か、主人公以外のキャラクターは、メガネをかけています。特にメガネっ娘がいるわけではない(これは、属性としてメガネのあるキャラクターが持つ属性…秀才・委員長・病弱など。病弱キャラはいますが)ので、容姿としてのメガネ萌えであればOKですが、メガネキャラ萌えな人は注意が必要です(何の?)。
 
 好きなシナリオは…大村いろはのシナリオかな。やってみればわかります。
 
<ジャンル>
 ノベル系。世界観のみ先設定。キャラクター、ストーリー後設定。
更新日時:
2004/08/05 
4      万人にはオススメし難いが佳作なギャルゲー2…果てしなく青い、この空の下で…。
※旧サイトのものを、転載して若干改訂しています。
 ごっついタイトルが長いですが、これが正式タイトルです。
 略称は、公式には「青空」で、ファンの間では「果て青」と呼ばれることもあります。
 
【DATA】
◆果てしなく青い、この空の下で…。(2000年6月)PC(CD)版
 その後、PSで「どこまでも青く…。」(KID)発売。改変度合いは不明。
・ブランド=TOP CAT
・シナリオ=鷹取兵馬
・原画=たかみち
 (グラフィック…犬山工房、かにかに)
・音楽=SYUN
 
 この作品は、本来であれば「ギャルゲーの枠を越えた…」で紹介すべき作品かもしれません。そのくらい、非常に高い次元で何もかもがまとまった、大変良い作品です。
 
 ちなみにこのゲームを発売した「TOP CAT」というメーカーですが、実はこのゲームの次のゲームくらいで、開発に手間取ったかスタッフ間のトラブルがあったか何かわからないんですが、潰れてしまいました(T.T)。比較的独創的なゲームが多く、固定ファンも多かったんですが…。でも、まだHPは運営されているんで(更新もたまにあります)、良ければ見に行ってください。
 
 この作品との出会いですが、実は「ジャケ買い」でした。何も評判を聞かず、レビューも特に観ず、タイトル名のインパクトと、ジャケ絵の雰囲気に呑まれたんでしょう。結構衝動的に買ってしまいましたw
 絵は、たかみちさんです。この絵は見たことのある人もいるんじゃないでしょうか。雑誌の表紙などではよく見かけますし、「HOSHIGAMI」というPSのゲームの原画もされていました。
 この人の魅力は、何と言っても「シンプルな線なのに、それで十二分な魅力あるキャラを描ける」というところでしょうか。萌え絵とは全く異なりますし、表情やポーズ、どれを取ってもほぼ完璧。エロも描ける(^-^;。僕の中での、一番のお気に入り絵師さんかもしれません。ジャケ買いしたゲームって、これと「終末」くらいですから。
 
 内容なんですが、あと1年で廃校になる学校の生徒や先生(っつても一人か)と主人公の、最後の1年を描いた作品です。
 また、非常に和風です。
 これだけでは説明になっていないので、簡単に紹介を。
 
 舞台は過疎の村で、若い人も減るし、リゾート開発の計画も進んで、高速道路やテーマパーク建設の予定も立ったことでの廃校処置。しかし、その開発を進める地主みたいな人物の悪いウワサや、伝承にまつわる神隠しのような事件など、様々な要素が折り重なって話は進んでいきます。
 で、選んだヒロインによって、ゲーム全体の謎みたいなものへのアプローチの仕方がかなり異なり、片や地主にハメられたり、片や伝承の真相に迫ったりと大きく異なります。
 具体的な流れは、春・夏・秋・冬の4パートからなっていて、春はヒロインと主人公の関係の説明や、世界観や事件の発端みたいなものがおぼろげに描かれます。夏は、キャラによっては「海水浴旅行」イベントがあり、そこで意中のキャラとの進展がありますし、海水浴イベントが無いキャラもいますが、それなりに進展があります。秋は、事件や伝承の真相に迫ったり、巻き込まれたりしていくさまが描かれます。冬は、それらの事件や伝承の真相が明らかになっていきます。こんな流れです。非常にメリハリが効いていますし、見せ方もめちゃくちゃ上手い。
 
 この作品は、まず舞台やストーリーを設定した後にキャラを後付けにするタイプのゲームなんで、キャラ萌え系ではありません。それでも、キャラクターにも相当力を入れているみたいで、どのキャラも非常に力が入っていて、キャラ立ちも非常にあったと思いました。そして、そのキャラの個性も生かしたストーリーに仕上がっていたんで、かなり高い次元で調和が取れていたな、と思いました。
 
 何が良かったか? まずは「絵」でしょう。決して「萌え」に迎合しない、シンプルなラインで表現した絵は、かなり魅了されます。表情や構図なども完璧でした。背景も素晴らしかったですね。「空」の絵は、AIRとは対極にあるシンプルな美しさがありました。グラフィックに関しては申し分ありませんね。
 ちなみに、数あるギャルゲー(だけじゃないかも)の中で、キャラクターを黒髪だけで描き上げているのはこのゲームくらいじゃないでしょうか? 黒髪のロングのストレートという、最もシンプルでなかなか(現実ではたまにあるけど、ゲームでは)無い髪型が好きなんですが、それでいてキャラクターを描き分けられるんだから、この辺にも画力の凄さ、桁違いさがわかると思います。かなり異質ですね。
 
 シナリオも、かなり凝った作りで面白かったですね。ヒロインによって、ゲームの本質への迫り方が違うんですが、主人公との関係の深め方や、ゲームの本質へのアプローチの仕方、さらにはクライマックスへの持っていき方は、相当高いレベルにありましたよ。
 音楽も独創的でした。何よりも、ワンフレーズだけで止まってしまう仕様ですかね。全体的なイメージもかなり統一されていましたし。
 そして、それらがかなりの高い次元で融合していたことです。世界観の統一という意味では、「終末」には敵わないかもしれませんが、これだけの世界観を、これだけ魅力あるキャラクターを使って、魅力的なストーリー展開をするってのは、「終末」あたりでは太刀打ちできないレベルの高さがありました。
 
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 キャラクターの紹介を軽くしておきます。最後の「好き度」は、僕個人の好きなキャラってことです。
 
・芳野雨音…メインヒロイン(だと思う)。一応幼馴染属性。
 ゲーム開始時に、既に両親が蒸発してしまっているという薄幸な属性も。
 控えめだが気遣いは十二分なくらいしてくれる。あまり本心を言わない。
(好き度☆☆☆☆)
 
 めっちゃ良いです。最初はかなり頑ななくらいに心を開いてくれないんですが、夏の海水浴イベントで一気にお互いの距離が近づきます。でも完全に本心は言ってくれません。それはエンディング後くらいかもしれません…。
 メイド服萌え(^-^; かなり色んな意味でですが。
 しかし、良い感じの恋愛が描かれていますよ。爽やかなだけがこのゲームの魅力ではありませんけど、爽やかさと痛さが同居するキャラではあります。
 
・穂村悠夏…雨音の対極に位置するキャラ。幼馴染属性。天邪鬼属性...でもありませんw
 強気なタイプですね。割と物事をハッキリ言うタイプです。
 そして、実家が神社をやっているために、巫女装束を着てくれますw 巫女さん属性はあまり感じられませんけど。
 傾向としては、何も理解できないまま事件に巻き込まれていくって感じでしょうか。このゲームで、ある意味一番不幸な展開になるキャラです。
 
 つーか、最初から主人公への好感度はかなり高く、序盤から膝枕してくれたりとかなり熱い。雨音がかなり控えめに好感を持ってくれているのとは違い、かなりストレートに表現してくれます。
(好き度☆☆☆)
 
・松倉藍…小動物属性。主人公のことを「お兄ちゃん」と呼ぶので妹属性でもある。猫口。
 結構謎が多いままのキャラですし、最後まで理解できない部分もあります。一番、このゲームの本質からは遠いキャラです。が、上手いこと本質のストーリーとは結びついているんですね。
 
 ただ、主人公との関係は結構楽しく見られましたね。終わりへの持っていき方などはKEYキャラ的な要素も持っていました。語尾が気になりましたが、なかなか良かったんじゃないでしょうか。
(好き度☆☆)
 
・松倉明日菜…メガネ属性。気弱で控えめなところはありますが、このゲームの根幹に関わるキャラである「文乃」に最も関わったキャラでした。
 
 ストーリーのインパクトとすれば、サブキャラの領域を越えません。あんま印象に残ってません。
(好き度☆)
 
・八車文乃…最初は無口属性。無感情属性。不思議属性もありますが、KEYやリーフのそれとは全く異なります。自分をなかなか出さないという部分で。
 
 このゲームの裏ヒロインにして、ゲームの世界観や設定などがかなりの部分で明らかになるキャラでもあります。
 とにかく、このキャラは最後にプレイすべきでしょう。色々な要素が詰め込まれていますし、かなり魁せてくれます。
 と言うか、彼女のストーリーを見せたくて、このゲームを作ったんだろうなあと思わせたシナリオでした。
(好き度☆☆☆☆☆)
-------------------------------
 
 このゲームの何より凄いのは、18禁なシーンを、非常に効果的に使ったと言うことでしょう。まずは海水浴イベントがいい感じです。ドキドキするようなHなシーンに仕上がっていますし…(^-^;。主人公とのHシーンも意味のあるものに仕上がっていますし。
 また、ヒロインたちが辱められるシーンもあって、欲情もしますが、かなり憤りも感じるシーンに仕上がっています。ここまでHシーンを必然的に扱えたゲームは無かったと思います。逆に、PS版移植時にどうやってHシーンを削除したのかが気になるんですが…。かなり18禁であることを生かしていましたしねえ。そのシーンをどう差し替えて全年齢向きにしたのか? また、ストーリー自体は素晴らしかったので、PSへの移植の際に、ちゃんとオリジナルのスタッフが参加して改変したのかなど、かなり気になっています。
 
 ここまで書けば、申し分ないゲームであると言えます。雨音ちゃんと文乃のラスト直前のシーンは、CGの美しさもありましたが、本当に印象的でした。
 
 では何故、このゲームの評価を落としたのか? それは音楽にあります。
 このゲームの音楽のメロディを聴けばわかりますが、一曲(だけ?)が、CMでも頻繁に聴ける曲になっています。
 CMで頻繁に聴ける曲…それは、坂本龍一さんの曲のほぼパクリなんです。時期的に逆はありえないので...。
 
 ですから、もしかするとこのゲームの設定自体もパクリなのか?と疑ってしまいました。たぶんそれは無いのでしょうから、やはりオススメできるゲームであることには間違いないでしょう。
 
 もう一つは、エンディングの見せ方に若干問題があったのではないか?と言うことです。キャラごとにグッドエンドとバッドエンドがあるんですが、バッドを見てグッドを見ても、そんな凄く泣けたりも出来ませんし、最後の最後での盛り上がりに欠けた印象が若干あります。じゃあどうすれば良かったのか?って、それも言えないレベルなんですが、とにかく、あと一歩詰めを誤った感もなきにしもあらずな印象でした。
 まだ、突き抜けきれていないような感じです。
 
 でも、ストーリー重視のパソゲーで、逆にここまでHシーンで色んな感情になったゲームは初めてです。Hシーンを効果的に使いつつ、読ませるシナリオにした当時のスタッフには「すごい」としかいえません。
 
 レベルは高いと思うんで、坂本龍一氏の音楽に興味の無い方や、坂本龍一氏の音楽なんて聞いたことが無いという方は(っていう言い方もおかしいけどw)存分にハマってください。
 また、「和風」「伝承」のキーワードにビビっときた方は、問答無用でプレイしてみてください。
 
CG:10/10
音楽:7/10
ストーリー:8/10
キャラ:9/10
涙腺刺激度:8/10
感情移入度:8/10
 
 そういや、ボリューム的にはかなりのものがあります。どのくらい時間がかかるかは忘れましたが、1キャラあたり3〜5時間はかかったかと思います。
 
<ジャンル>
 ノベル系。世界観やストーリーの先設定。キャラクターは後設定だと思う。純和風。
 
<こんなゲーム好きな方にオススメ>
・痕…やはり、このゲームの踏み台になった作品です。一つの事件へのアプローチが、選択したヒロインによって大きく異なる手法はかなり似ていますし、表面上の”事件”と設定上の”伝承”とを上手く絡めているあたりは、痕を進化させたものと感じました。色んなノベル系ゲームの土台というか礎ですよねえ。このゲームが無ければ、色んなゲームが生まれてこなかったわけですから。
更新日時:
2004/08/05 
5      万人にはオススメし難いが佳作なギャルゲー3〜銀色〜
 今回は、最近新作「ラムネ」をリリースした、何故か旧作がやたらプレミアがついているメーカー「ねこねこソフト」の2作目(なのかな?)にあたる、「銀色」を取り上げます。
 
 何故買ったのかといえば、よくは憶えていないのですが(^-^;、おそらく、和風のファンタジーものであることや、「久遠の絆」などと同じような転生ものっぽいイメージがあったから買ったのだと思います。
 
【DATA】
◆銀色(2000年 8月31日発売)PC・CD版
※その後、「銀色〜完全版〜」発売(未プレイ)
・ブランド…ねこねこソフト
・シナリオ…片岡とも、高嶋栄二、ヤマタカユウキ、ALFRED
・原画=白凪マサ・綾瀬悠・秋乃武彦(この人がメインだっけ?)・葵渚???(4人も?)
・音楽=えび・SIMO・443・よしお
 
 この作品は、人によっては「良作」と評価する人もいるかもしれませんし、駄作と突っぱねる人もいるかもしれません。非常に微妙なところです。
 他のレビューサイトを見ている人なら大体ご存知でしょうが、総合評価は「70点台」なゲームです。可も無く不可も無く…ではなく、可も不可も多すぎなゲームだと言うことです。
 
 内容ですが、タイトルにもあるように「銀色」の糸が引き起こす、4つの物語から成るお話です。4つの物語は、それぞれ時代が異なり、1章→4章(現代)と話が進んでいきます。基本的に、各章ごとにシナリオは独立していて、キャラクターについても「転生」と言うほどの関連性は無いです。
 
 秀逸だったのは、1章でした。あまり書くとネタバレになるので、さわりだけを書くと…。
 主人公は家族が伝染病か何かにかかって、村八分にされて孤独の身となって、山に篭もり、追い剥ぎなんかをしながら暮らしている人間です。
 一方ヒロイン(って言い方違和感ありますがw)は、こちらも身寄りが無かったか売られたかで、娼館で働かされている人間で、そこから逃げ出してきて主人公と出会う、という設定です。
 その2人が、徐々に心を通わせていくんですが、それが逆に悲劇を招くことに…。
 
 プレイした後の感想が「何て悲しい話なんだ」と言うものでした。鬱になるような話では無いんですが(僕は)、とにかく心を打たれたと言うか、何と言うか、凄く衝撃的でした。悲しいだけでもあるんですが、それに至る描写がめちゃくちゃ凄かったです。
 
 
 で、凄かった1章が終わり、さあここからどんな凄い話が待っているんだろう?と思ったら…そこからが尻すぼみだったんですねえw
 
 2章は、どこかの神社に立ち寄った主人公と、そこで巫女をしているヒロインとの話(だったと思う)です。最終的にはやはり悲劇的な結末を迎えるんですが、悲しさ度合いが1章を完全に下回ったり、結末に至るまでの過程がちょっとくどかったりで、1章に比べると「こんなもんか」って感じに思いました。
 
 3章は…各レビューサイトを見て「やっぱそうやんな?!」って自信もらいました。最悪ですw
 全く記憶に残っていません。
 
 4章は…メインのシナリオで現代なんですが、やはり1章の衝撃を上回れないし、最後なのでグッドエンドになりますから、何となく盛り上がりに欠けて…。記憶に残りませんでした。
 
 
 とまあ、どんどん記憶から薄れていく、2章以降のシナリオが弱すぎたために、「佳作」というところも取り下げたいと思ってしまうのがこの作品です。音楽と1章のシナリオが無ければ、まあ駄作に終わったゲームと言えるかもしれません。それだけに、今の人気が過剰かなあと、醒めた目で見てしまうのです。
 
 手放しで「良かった」と言えるのは、音楽でしょう。サントラも買いましたが、ボーカル曲も含めて非常にレベルが高いです。Key系と比べると、馴染みのあるKeyのほうが好きだと言ってしまいますが、ゲームの雰囲気や曲全体のまとまりや統一感、場面での使い方などは素晴らしいものがあります。
 
 後はおまけシナリオでしょうか。おまけとしては、本当におまけっぽいシナリオも含まれていたりするんですが、1つ、かなり悲惨なおまけが含まれています。「悲惨な」と言うのは、その話が悲惨なお話なのです…。1章に輪をかけて…。これで元取れたかなあと思ったくらいです(^-^;
 
CG:7/10
音楽:9/10
ストーリー:2〜9/10(章によって差が大きすぎ)
キャラ:5/10(総合するとこのくらい)
涙腺刺激度:9/10(最大値)
感情移入度:2〜9/10(章によって差が大きすぎ)
 
 ボリュームもかなりありました。1、2章は特に長かった気がします。3,4章はそんなに長くなかったような…。基本的には1本道な話なんで、難しくて時間がかかるようなところはありませんでした。
 
<ジャンル>
 ノベル系。世界観、ストーリーとも先設定。キャラクター後付け。
 
<こんなゲーム好きな方にはオススメ>
 久遠の絆・AIRって書こうと思ったんですが、あまりにも出来が違いすぎるだろってことで、これらをプレイしていない人にオススメします(^-^;
更新日時:
2004/08/05 

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Last updated: 2005/1/4