衛の不思議な一日
「あにぃってば、不用心なんだから・・・もう」 そういいつつも、ちょっぴりドキドキ気分であにぃの家に忍び込むボクだった。 入った部屋はリビングで、そこには脱ぎ散らかされた洗濯物があちらこちらに散乱していた。 「もう、あにぃってばだらしないんだから。これじゃあ将来あにぃのお嫁さんになる人は大変だよ!」 ・・・はぁ。自分の口から出た言葉なのにちょっぴり切なくなる。 「・・・よーし。ここはあにぃの為に一肌脱ごうかな」 散らかった洗濯物をまとめて、洗濯機に入れる。 「えっと・・・白いのは別にしないと色が付いちゃうからダメで・・・」 ちょっとした新婚さん気分。・・・へへ。 「そうだ! 朝ご飯も作ってあげよう!」 ボクはあんまり料理は得意じゃないけど、目玉焼きぐらい作れるんだから! 朝ご飯の用意が出来た時には、ちょうど洗濯も終わっていた。 「あにぃ、まだ起きないのかなぁ〜」 そのうち起きてくると思ってたのに、全然起きてくる気配がない。 コンコン 軽くドアのノックしてみる。 「・・・・・・」 やっぱり返事はない。 「コラ! あにぃ、もう朝だよ!」 部屋のベッドの上には布団にくるまってうめき声を上げるあにぃがいた。 「あにぃ! 今日はマラソンに付き合ってくれるんじゃなかったの?」 バサッ 「・・・衛、今何時だ?」 半身を起こしたあにぃは寝ぼけ眼で辺りをキョロキョロしていた。 「はぁ・・・もうとっくに朝だよ。マラソンに行くなら、もう一時間早く起きないとね」 あにぃったら、自分から誘ったのに寝坊してるんだから。 「う・・・ゴメン」 「もう、いいよ。それより、朝ご飯作ったら一緒に食べよ!」 「え・・・? 朝ご飯?」 「ホラホラ、早く起きて着替える着替える!」 まったくあにぃってば、ボクがいないと何にも出来ないんだから。 マラソンは行けなかったけど、たまにはこんな一日もいいかな。 〜 Fin 日常のリズム |
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