いつでも一緒が一番なのだっ! <後編> にゃはっ♪ いちごちゃん、今日はウキウキなのだ。 兄っちとスキーをエンジョイしに、旅行にきたのだっ! 実はいちごちゃん、初めてスキーやるの! すごく楽しみなの。 しかも、兄っちと一緒なのだ! ウキウキせずにはいられないのもわかるでしょ? にゃはは♪ んーとね、確か兄っちとの旅行は久しぶりなのだ。 夏にプールに行った時以来。 兄っちてば、いちごちゃんの水着姿に赤くなってたっけ。 にゃはは♪ いちごちゃんってば罪なオンナなのだ〜。 苺はスキー初めてだったね?滑り方教えてあげるよ。って言ってくれた時、いちごちゃんは嬉し過ぎてショック死しそうだったのだ! ホントにホーントに嬉しかったのだっ! *** 「ま〜〜〜っしろ! すごいのだぁ〜」 着いた所は、辺り一面まーっしろなお山。 ゲレンデって言うんだって。 兄っちが教えてくれたの。 にゃははっ♪ 兄っちは何でも知っててすごいのだ! まーっしろしろ〜。 ゆきー、雪なのだ〜。 フワフワなのだ〜。 にゃはっ♪ 「だいびんぐぼでぃ〜 あたーっく!!」 いちごちゃん思わず雪の上に飛び込んじゃった。 「うわっ! 苺っ! その服じゃ濡れちゃうぞっ」 兄っちは雪に飛び込んでふにふに〜のいちごちゃんを担ぐといちごちゃんたちが泊まるホテルまで連れていったの。 さらわれるお姫様ってこんな感じなのかな? でもでもっ、助けに来るのは兄っちで決まりなのだ! にゃはは♪ うわ〜、ボロっちぃ。 ホテルって言うよりお化けの住処でしょ、コレ。 女将さんのあの人の良さそうな笑顔の裏にはきっと何かある、といちごちゃんは見てるのだ。 「部屋に荷物を置いたらすぐ滑りに行こうか?」 「うん! 滑りにいくのだっ!」 このホテル、ボロっちぃのは外見だけだったの。 あれはきっと新手の光学迷彩とかいうヤツなのだ。 兄っちの後について狭い通路歩いた先にはこれまたボロっちぃドア。 きっと地下に秘密のアジトが・・・。 にゃはは♪ でも、何があっても兄っちがいるから安心、安心♪ 地下には長い板がずらーっと並べられていたのだ。 そしてゴーッ!って音がしてる。 ・・・お? こっちにはタオルが公園にあるようなごみ箱にいっぱい捨ててあるの。 不思議がいっぱいなのだ〜。 「兄っち、この長いのなぁに? これで戦うのか?」 兄っちは、笑いながら、これはスキー板だよ。靴にくっつけて雪の上を滑るんだよ。って教えてくれたのだ。 にゃはは♪ やっぱり兄っちはいちごちゃんに優しい。 この長いのはスキー板って言うんだよ。 みんな知ってた? いちごちゃん、ひとつお利口さんになっちゃった。 「兄っち、この靴にくっつけるのか?」 いちごちゃん愛用の羽根付きブーツでクルっと回ってみたの。 そしたら、兄っちは、スキー板にはスキー靴を履くんだよ。だって。 いちごちゃんちょっぴり残念。 お気に入りの靴だったのに・・・。 「おおっ!? 歩きにくいのだ! 足が重いのだ!」 スキー靴は硬くてとーっても重いの。 ふらふらなのだ〜。 「おっ?」 ふらふらしてるいちごちゃん見て兄っちは、しょうがないなぁ。って抱き上げてくれたの。 お姫様だっこなのだ。 にゃはは♪ 「・・・重くない?」 兄っちは、苺は軽いね。って言ったの。 そして、そのままゲレンデまで連れて行ったくれたのだ。 ゲレンデには、人がいーっぱい! いち、にぃ、さん、よん…。 数え切れないのだ。 「じゃあ、まずは転び方から練習しようか」 「転び方? 滑るのに転ぶのか?」 不思議なのだ。 雪の上を滑る練習じゃなくて、転ぶ練習をすると兄っちは言ってるの。 不思議でしょうがないいちごちゃんは兄っちに聞いてみたのだ。 「どうして転び方を練習するのだ? 転ばない用に滑る練習をするんじゃないのか?」 兄っちが言うには、転ばないで上手になれる人はいないって。 だから、転んでも怪我をしないように上手な転び方から覚えるのがスキー上達の初歩らしいの。 みんなは知ってた? *** 何度も練習していちごちゃん、上手の転べるようになったの。 苺はスジがいい。って兄っちも褒めてくれたし。 でねっ、その後、ボーゲンっていうのを教えて貰ってー。 お昼食べてー。 緩やかな斜面で兄っちといっぱい練習したの。 途中何度も人にぶつかりそうになったけど、すぐに兄っちが助けてくれたのだ。 兄っちはストックって言うバランスをとる棒 (雪にスタンプするとレンコンが出来るのだ! 面白いのだ) を持っていないのにスイスイ滑っているのだ! やっぱりいちごちゃんの兄っちはカッコイイのだっ! にゃはは♪ 「なんで兄っちはそんなに上手なのだ?」 兄っちは、しゅー学旅行で練習したんだよ。って言ったの。 いちごちゃんも一緒に行きたかったなぁ・・・。 「じゃあ、今度はリフトに乗ってみようか?」 リフトっていうのは、お山のうえーの方まで運んでくれる乗り物なの。 歩いていくと大変だから、みんなこれに乗ってうえーの方に行くんだよ。 いちごちゃんもこれから乗ってみるのだ。 にゃはは♪ 「いにゃっ!?」 おしりがイタタタなのだー。 リフトは思ったより乗るのが難しいの。 兄っちが支えてくれなかったら、いちごちゃん、きっとリフトに突き飛ばされてどっかいっちゃってたよぉ・・・。 「おーっ! たかーいの! ・・・でも、ちょっぴり怖いのだ。 兄っち、掴まっていい?」 兄っちは、もし苺が落ちたら僕が絶対助けてあげるよ。って笑ってくれたの。 いちごちゃんは幸せなのだ〜。 にゃはは♪ リフトが何回かガタガタ揺れたのは怖かったけど、遠くの景色も見れたの。 兄っちと一緒ならまた乗ってもいいかな。 リフトから降りる時も兄っちはわたわたしてるいちごちゃんの腰を手で支えてくれたの。 転びそうになったけど、兄っちのおカゲで大丈夫だったのだ! これから今までより急な斜面を滑るんだよね・・・。 ・・・よぉーし! いちごちゃん、頑張るぞぉ〜!! ココからはいちごちゃんのレベルが問われるのだ! 兄っちに支えてもらってばっかりじゃ駄目だと思うの! だからいちごちゃん、少し一人で滑ってみるぞぉ〜! 「・・・・・兄っち。 いちごちゃん、ちょっと一人滑ってみたい。 だから兄っちには見守っていて欲しいのだ」 この時の兄っちの笑顔は絶対忘れないのだ! いちごちゃんの胸がキューってなったの。 ・・・ごくっ。 うにゃ〜っ。 高いのだ〜。 急なのだ〜。 でも、いちごちゃん頑張る! はやく上手になって兄っちとスイスイ滑れるようになりたいもん! でも、やっぱり、ちょっぴりだけ後悔なのだ・・・。 「何とかなるのだっ! さけはのんでものられるらーっ!!」 ガクンってなった時にはもうわからなくなっていたのだ。 膝がグラグラして全然言うこと聞かなくなったって。 ぐんぐんスピードが速くなって・・・。 あわわわわっ!? ど、どいて欲しいのだ〜っ! 青いウェアを着た人が目の前に迫ってきたのだ! でも、兄っちが人と木にぶつかるのが一番危ないから、ぶつかりそうになったら安全に転びなさい。って言ってたのだ! だから、いちごちゃん頑張って青いウェアの人を避けようとしたの。 で、避けられた!って思ったら、赤い網にぶつかっちゃった・・・。 「にゃははははっ♪ いちごちゃん、雪だるまになっちゃったのだ〜」 網がぐーんってなったと思ったら上から雪がドサドサって降って。 いちごちゃん、まっしろしろ〜。 冷たいのだ〜。 うーって周りを見たら兄っちがスイスイ滑りながらいちごちゃんの方に向かってくるのが見えたの。 ・・・にゃははははっ♪ いい事思いついちゃったのだ! 「えいっ!」 にゃはは♪ 兄っちの顔がまっしろになったのだ。 いちごちゃんとお揃いっ! 兄っちは、やったなぁ〜。って、雪玉を投げてきたの。 でも、甘いのだ! いちごちゃんにその程度の弾幕は通用しないのだ! 1コインクリアはダテじゃないのだ! にゃはは♪ 「いちごちゃんが勝ったら、なんでも言う事聞いて欲しいのだっ!」 いちごちゃんの放った雪玉は兄っちの顔にまたまたクリーンヒット! さすがはいちごちゃん! 腕は衰えていないのだ! 「まいったなぁ〜。 僕の負けだよ。 ・・・それで、僕は何をすればいいのかな?」 にゃははっ♪ 「兄っち、いちごちゃんと一緒に滑って欲しいのだ〜」 「い、一緒にって・・・」 「にゃははっ♪ こーするのだっ!」 背中からいちごちゃんにしがみつかれて、兄っちってば顔がまっかっか! 照れてる兄っちもいいのだ。 「れっつご〜っ!!」 兄っちは、しょうがないなぁ〜。って呟きながらしぶしぶ滑り出したのだ。 やっぱり、いちごちゃんは兄っちと一緒が一番いいのだっ! 兄っちの背中は広くて、あったかくて・・・。 ずっと、ずっと、ずーっとこのまま滑っていられれば、いいのにな。 了 |