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little snow





暗い、暗い空から舞い落ちる白い雪の結晶は、部屋の薄明かりに反射して幻想的な姿を取っている。


コートを羽織り、窓枠にはココア。 こんな夜も悪くない。


既に時計の針は天を仰ぎきり、寒さは時間を立つごとに増していく。


でも、気持ちが寒さを上回る。


だから、私はまだ眠らない。 いつまでも眺めていたい。


       ぽとっ


雪がココアに溶けてゆく。


そのココアを一口、また一口と運ぶ。


私の体を流れてゆく温もりは、静かに私を包んでゆく。


積もらずに消える。 花火のような、そんな儚さが好き。


だから、せめて降り止むまで見守っていたい。


そして、出来るなら、この瞬間をあの人と共にしたい。


       コンコン


何かを叩く音が響く。


こんな夜中に、一体なんだろう?


外を見回すも、暗い闇と白い雪で何も見えない。


       あっ・・・


降り注ぐ雪の量がさっきより少なくなっている。


あと一時間もすれば止んでしまうだろう。


ふと、淋しさが込み上げてくる。


たった数時間だけ振った雪。 積もりもしなかった雪。


朝には誰も知らない。 この雪を。


でも、私は・・・。





思い切って外へ出てみる。


寒さが身を凍る。 白い息が雪の中に霞む。


空を見上げると、それはもう綺麗で・・・。


何も考えられなくなる。





いつの間にか、雪がなくなる。


たった数時間の雪は、とても綺麗で・・・。


       えっ・・・


玄関には、小さな小さな雪うさぎ。


掌に収まるくらいの小さな雪うさぎ。


お皿に乗ったその雪うさぎは誰が置いたのだろう。


・・・うん。 それは、きっと





日が昇り、差し込む朝日に目が覚める。


       うふふ


小さな小さな雪うさぎは。


もっと小さなシルバーリングに。


これはあの人との。


あの日の想い出。


       ・・・ありがとう、お兄様





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あとがき

短っ!? めっちゃ短っ!?
もはや、SSとも呼べないこの短さ!
しかも微妙。
・・・だめだこりゃ。

03.12.20. おにやん