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目黒

 ぷくぷくぷくうっとファンネドゥス坊やの後頭部が 膨れ上がったかと思うと、それは勢いよくはじけた。 「ぱあん」  青い液体が部屋中に飛び散り、私の黒い目の中 は真っ青になった。ここはどこなんだ。海だ。海沿 いの広い広い一本道の道路だ。すごい、すごい速 度で私は走っているんだ、バイクのような機械式の、 しかしUFOのように平べったい銀色のマシンに乗 って。ああ、向かい風は激風。首がもげそうだ、叫 び出したい。衝動があれだ。 「ウ、ウ、ウ、ウィリィィー!」  声を張り上げて見上げた空に、ウィリ山テル夫が 両手を広げて浮いている。逆光に包まれた頭に 林檎の乗せて私を見ている。凝視して緊張の汗を 流している。射抜いてみろというのかその林檎を、 この私に!ならばやらねばなるまいと、背負ってい たボウガンを取り出し構えたその刹那だ、遥か宇 宙をたゆたう軌道衛星からのレーザービームがウィ リ山テル夫のつむじから肛門を一瞬にして貫いた。 「ウ、ウ、ウ、ウィリ山ー!」  重力にまかせて落下するウィリ山テル夫、私はそ れに向けてめちゃくちゃにボウガンを放ち、ウィリ 山テル夫を蜂の巣にした。ハチノス、テルオ!ハチ ノってる!イエス!・・・甘い。甘い甘い匂い。なんだ? 「summertime? No! honeytime!」  蜂の巣テル夫から、大量のハチミツがこぼれだ しているのだ!ああ!それが大粒の、そう黄金の 雨のように私に降り注ぐ。甘露なり。との安息も 束の間、むこうからバッファローの頭にマントヒヒ の体を持つ屈強の連中がこちらに向かってきてい る!この私が全裸であることがそんなに許せないと いうのか? 「俺の心臓はここだ!食えるものなら食ってみろ!」  私は叫んだ。いっさい屈しないという眼光だ。 だが、勢いあまって心臓を自ら抉り出したのはま ずかった。視界は一気に乳白色にぼやけていく。 ・・・・・歌?誰だ歌っているのは。  ♪花は舞うけど 泥まみれ 虫と妖怪は 血を吸 い合って この世の宴は終わらない  純白の衣に身を包んだ7人の天使たちがその頭上 の輪を放り投げて私の体で輪投げをしている。ひ とつ、ふたつ、光の輪が私を捕らえ、そして 締め付ける。 「うるせえ!」  全員に一発ずつゲンコツを食らわして、私は自ら に火炎放射器をぶちかました。私、炎上。燃え上 がりそれが渦を巻き球体となり膨張した。やがてそ れは太陽となりいくつもの惑星を引きずりまわしそ の存在を主張した。誰に向かって?お前だよ!神様!


コピペ元 「変人ラジオ書き起こし
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