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五
反田

「SA53号というもはや古代兵器ともいうべき 旧式がなぜいまだにこのラリ国の最高機種として 君臨しているのか。それは周辺権力との癒着から というだけではない。実際問題、どの新型もがS A53号に勝てないからだ。ラリ国最大の軍事兵器 製造会社、コブタクル社がF−75年に開発した SA53号(マシーナリーヒューマノイド:MHN) はその後30年かけて軍事的、政治的な力を発揮し コブタクル社はおろかラリ国からももはや独立状 態にあるほどの権力を手に入れた。コブタクル社 は大きくなりすぎたSA53号の破壊を目標に次々 と新型のMHNを開発したが、そのことごとくは 返り討ちにあった。破壊を免れた6体(SA92号 など)も、神経系データを一部改変され、SA53 号の持つ独立組織の一員として組み込まれた。さ らに、G−14年から始まった「MHN統一審議 会」によって、SA53号の対抗機種が早い段階で 芽をつぶされる状況が生まれてしまった。「MH N統一審議会」とは全兵器製造会社が半強制的に 参加させられる新機種コンペティションである。 データ蓄積10000メギルス以下の新機種が模擬戦 闘に挑み最終第5ステージに残った10機をSA5 3号が機体分析するというその規則が、SA53号 の威光を延命し続けているのだ。事実、G−14 年からの5年間によってめぼしい機体は審議通過 後、SA53号にデータ吸収および改変されていっ た。追い詰められたコブタクル社はG−20年、 ついにメギルス加圧システムを再開。このメギル ス加圧システムこそがSA53号を作り出した元凶 の方式である。機体の成長過程において長期間、 過剰の圧力を加えてメギルスの蓄積を倍加すると いうシステムである。この方式がSA53号以降な ぜ採用されなかったかというと、事故が相次いだ からである。SA53号の再来と謳われたSS7号 にこのシステムを採用したところ、全神経系統が 波長を乱し二度とまともな戦闘ができないほどに 損傷したのだ。しかし、G−19年にコブタクル 社の子会社ズルグ社が開発した機種がその後、加 圧システムの対象に選ばれることになる。数十年 ぶりの本格的な反旗。その機種の名はQZ五号。 統一審議会で第4ステージまでいったものの、分 析不能の素材が使用されていたために失格となっ た機種である。驚くべきことに、その時QZ五号 のメギルスはわずか20だった。」(「MHN通信」 No.2298より全文抜粋)


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