第
二
話
start with
fish-boy
その手紙は「神という装置」で特許をとった天才、「
第五十七代 黒田五右衛門」からの挑戦状であった。
俺は幸福にはなれないというのか・・・。
かといってこのまま黙っているピコル君ではなかった。
彼はモソラ族の古い習慣をふんだんに取りいれて踊っ
た。
子供達はすでにゼリー状になってはいたが、その中に
でひときわオーガニックな輝きを放つ者がいた。
「ピコルさん!この挑戦受けましょう!」
無類の魚好き、フィッシュボーイであった。
「フィッシュボーイ。お前にプライドを捨てる覚悟は
あるのか?」
「僕は…僕は、ひとり相撲では横綱クラスです!!」
「男…だね。安土桃山時代を、彷彿させるぜ。」
フィッシュボーイは、招待状を持ってきた男に殴りか
かった。
「ト音記号…!ト音記号!!」
フィッシュボーイが叫ぶと同時に、男にとびかかる子
供達。男を殴るリズムがやがてダンサブルにリミック
スされていく。
「お前は!お前はピコルさんの、そしてビフィズス菌
の気持ちを考えた事あんのかよ…っ!」
フィッシュボーイは涙を流していた。それは男の涙と
いうやつなのだろう。
俺に…俺に善玉菌の資格なんてあんのかな…。
好きな女も、守れなかった俺に。
ピコル君が初めて吐いた弱音は、フィッシュボーイの
心に今も突き刺さっていた。
「もうやめろ、フィッシュボーイ。そいつ死ぬぞ。」
男は完全に気を失い、頭はピスタチオのようになって
いた。
フィッシュボーイは、男に向かって吐き捨てた。
「お前の戸籍、ヤフーオークションに出品しといたか
らなっ。二度とツラ見せんじゃねえぞ。」
ピコル君とフィッシュボーイは、目を合わせて少し微
笑み、太陽に向かって歩き出した。
旅が、地獄の季節が始まるのだ。
「さあ、青い鳥を撃ち殺しにいこうか。」
ピコル君は指で作った銃の形を太陽に向けて「バン」
と言った。
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