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さて、と。

書きたいことはまあいろいろあるが、トップページに予定より手間かけてしまって、眠くなってきたのでまずはアバウトに行ってみよう!余力のある時に書き換えよう!!・・ということで・・・。

なぜ、このマシンへの乗り換えが決行されたか?というのは、短く言えば速いバイクに乗りたかった、ということだ。長く言うと、本当に長くなるので「SV400Sをおおいに語る会」の記事でも見ていただくとして、割愛。(参照

じゃ、なんで600クラスか?というあたりで行くと、それはやはり軽さとアツさ、そしてチャレンジブルスピリッツ満載なあたりが俺の心をガツっと鷲掴みにしたからだ。兼ねてから、ヤマハのYZF-R6はそのアツさが噂になっていたが、今年はある時に滅多に読まないバイク雑誌を立ち読みしたら各メーカーから600ccのスーパースポーツが出揃い、それはまるでレイト80'sからアーリー90'sのレプリカ全盛期のような漢らしさを醸し出していた。それを感じさせてくれるのは、俺にとってはリッタークラスではなくミドルなのだ。
まあ言い方を変えれば、絶対無敵!と云われているようなマシンにはあまり魅力を感じない曲がった脳味噌のせいです。GSX-R1000とかさ・・・。

600ccと言うのは、大型全盛の現在にあってはもはや「小さめ」であって、ことによっては「ビギナー向け」と位置付けられたり、実際に「リッターだと大き過ぎて扱い切れない」という理由で選択されることもあるようだ。しかし、こういう判断はあまり正確ではないと俺は思う。
600でも、スーパースポーツは、無理やりにパワーを捻り出すようなエンジンになっていて(6Rの最大出力は118psだが、1リットル当たり換算だと197ps、これはハヤブサを優に凌ぐ)、それは当然、扱いやすさやマイルドさを犠牲にした上で得られているのだと考えられる。つまり、下がスカスカしててピーキーという傾向にならざるを得ない。また、車体構成も特に欧米で盛んらしい600クラスのレース参戦を前提にしているので、ポジションは非常に窮屈だ。そういう意味では、初心者が大きくて速いバイクに乗りたいなら、むしろR1などのリッタースーパースポーツで3速オートマ走行をした方がいいのではないか?と思うのだがこれは余談である。

で、なぜYZF-R6でもCBR600RRでもGSX-R600でもなくて6Rか?と言えば・・・色。なにせこれが第一だ。俺はいままでカワサキのバイクには乗ってないし、当然、いまだに「カワサキ党」ではない。この6R購入時にも、カワサキ以外はバイクとして認めないようなカワサキ専門店は、在庫があっても安くても気分が悪いのでパスしたくらいだ。
でも、一方で俺は、カワサキのシンボルカラーとは無関係に「蛍光緑好き」だ。今度の6Rのちょっと微妙なフロント周りにエッジの効いたデザインに、蛍光緑がビシっと嵌ったと俺は感じた。「・・・ふーん、カッチョいいじゃない・・・?」ヤングマシンか何かのスクープ映像を見て、久しぶりにそう思ったのが、他でもないコイツだったのだ。

その後、徐々に俺の中で「600のスーパースポーツが欲しい」という気持ちが膨らむにつれ、バイク雑誌をちょくちょくチェックするようになり、性能比較系の記事を読むようになった。見ていると、どうもスズキはいかん。というのは、GSX-R600はモデルチェンジが遅れていて、いま買うのは非常に損な気がしたからだ。見るからに、というか特に見た目が、2003年にフルモデルチェンジを行った他のメーカーに対して一歩遅れをとっていた。

他の3社で比べると、これは微妙だった。ホンダのCBR-600RRは、ユニットプロリンクとか言う、なにやら凄いらしいサスとシート下に格納されたマフラーというのがウリだ。最近の四輪を含めた自動車デザインの傾向であるライトの大型化に反した、細い二眼ライトのフロント周りも格好いい。だが・・・最大の問題がひとつある。それはホンダ製ということだ。ホンダの品質には俺はケチをつける気はない。どころか、たぶん最高だと思っている。しかし、どうも昔からホンダ車には乗る気がしない。その理由は・・・俺はアンチ巨人であり、Macユーザーである。これでだいたい理解していただけると思う。

そして、元祖600スーパースポーツのヤマハYZF-R6。これも2003年でフルモデルチェンジをした。新しい鋳造技術で作ったという流麗なフレームと、R1でも不動の人気を誇るヤマハならではの「工芸品として美しい」デザイン。6個のライトが横一列に並ぶフロントもまた格好いい。だが、個人的なイメージでは、どうもまとまり過ぎている感があった。先代のR6が持っていたワケのわからない気迫のようなものが薄まって、エレガントになり過ぎたように感じられた。

そこにきてカワサキのZX-6R。クラス唯一の倒立サス+ラジアルマウントブレーキ。ラジアルマウントである、ということはともかくとしても、なにせ高級なユニットであることは間違いないので、その性能は期待できる。以前のSV400Sでは、ダンパーのへたったサスとピストンがひとつしかないFブレーキ(片側片押し)に不満があったので、フロント周りの装備の充実は俺にはひどく魅力的に思えた。そして、先にも書いたとおりの色とデザイン。センターにどーんと配置されたラムエアインテークと、その下の変形ニ眼。なんか変な顔だが、これが微妙に凄みがあってよい。CBR600RRを猛禽類、YZFR6をネコ科の獣に例えるなら、ZX6Rは妖怪って感じのイメージだ。あらゆるシーンに溶け込まないその緑色とあいまって、異世界感を漂わせた雰囲気がかなり素敵だと感じた。
そう、だから6Rでも、黒や青ではダメなんです。俺としてはどうあっても緑でなくては。

そんなこんなで新車購入をまじめに検討に入った頃、SV400Sで最後の参加となった梨本塾(参照)でのことだ。いつものように、宿敵・ハヤブサジョニーに勝てず、休憩しているときに主催者である梨本氏に聞いてみた。「いいバイクないっスかねえ?」。
と、梨本氏はさも周囲に聞かれてはマズい、という感じで俺の耳元に「636」と囁いたのであった(※)。おお!やはり!さすが見る人は見てらっさる!
・・・へへへ、凄い人に秘密情報(てほどではない)を聞いちまったぜ、などと思っていたが、数日後、モーターサイクリスト誌に掲載されていた「マスターバイク2003」・・・これは腕に覚えのある各国のバイク誌編集者(現役レーサーもいる)が、市販最速車を決めるイベントだ・・・の記事で、日本から参加した梨本氏が6Rをかなり押していた。いわく「文句なしのお薦めマシンだ」。
ぎゃー。あんまり宣伝しないでくれ!売り切れちまったら困るんだよ!などといらない心配をしてみたりしたが、これがあながち杞憂ではなくなってしまうことになる。

※梨本氏が6Rを気に入っているようなのは確かだが、誰にでも6Rをイチオシするかは別だ。俺の場合は前後の文脈があるので。通常、特に前提がなければ「速いマシン」としてはGSX-R1000あたりを推すんではないかなと思う。

そして数日経ち、会社のデスクトップを6Rにして更に数日、俺の心はすでにマトリックスカラーに染まりきっていた。

しかし、その後、免許取得、そして本体購入には多くの困難が待ち受けていた。まあ、免許取得の困難はむしろもっと以前に味わっていたのだが、さて買うか、と思ったら、無い!どこの店でも紙一重でない!黒ならある、と言われても、青なら、赤なら、と言われても(黒や赤があったのは、人気の問題ではなく入荷時期の都合のようだ)そんなモノは全て却下だ!俺はサイバーなのが欲しいんだ!!しかもすぐにだ!かつ出来るだけ安くだ!!
・・・という無茶な要望に応えてくれたのが、ウインドジャマーズという店だった(参照)。当初、新車価格もそこそこ安く、ローンの金利も安いのが使えそうだったので、お願いしようとしていた。が、いざ、となったら店の人があてにしてた在庫が無い!やはり、黒ならば・・・という状況になってしまった。在庫がないのはフカシではなかろう。なぜなら俺はかなりの店に在庫確認をしてたから、たぶん、店の親父より実は状況を把握してたかも知れん。が、そこを、赤字覚悟で、というか赤字で、「黒の6Rとライムの部品(カウル)を注文して合体」という大技を出してくれたのがここの店だった。それで、当初よりはちょっと値段が上がってしまったが、それでも金利を考えると在庫がある他店より安かったし、何よりその技に感服して俺は契約したのだった。
店選びにあたっては、最初は、ちょっと遠くても値段の安い店にしようかと思ったりした。ただ、バイクメーカーに勤務する事情通の友人からも「6Rは・・・いいと思うけど壊れやすい」と聞いていたし、そうでなくてもカワサキ機関は脆いというのが定説なので、やはり近めの店にした。買った店は結構スーパースポーツも売ってるようで、6Rも既に販売実績があるというのは、安心材料になるとも考えた。もし持病があったら、複数台を比較している方が問題を把握しやすい筈だからだ。

そして、約束通りの6月3週目。

ZX6R at 駐車場ついに来た。ああ・・・来ましたよ、神よ我に力を!の賜わり物が!

残念ながら、シングルシートカバーとステッカー(Ninja とか ZX6Rとかの)が欠品しているそうで、それは届き次第!ごめんね!と店長は言っていたが、こちらも無理を言ったのだからそれぐらい構わん。ていうか、ステッカーのないのもレーサーみたいでなかなか格好イイ。周囲には意外な好評だった。

一通りの説明を受け、いよいよキーを受け取る。と、丁度、青の6Rの人が店に来ていた。ちょっと話して、慣らしの話題に及ぶと、「説明書には最初800kmは4000rpm、次の800は8000...それから次の...」・・・ああ・・・いくらなんでもそれは無理です。

でも、なにせ脆いと評判のカワサキ機関搭載だからな・・・慣らしはある程度ちゃんとやろう(購入前はしっかり、と言っていたのに、いつの間に「ある程度」にシフトしているあたりが弱い)。
慣らしは非常にツラい。が、後で具合が悪くなって懐が痛いのは困るのだ。

さて。まずスイッチ類を確認したのだが、ハザードがなかったり、メインスイッチ(キーシリンダー)にパーキングがあったりと、逆輸入車らしさがそこはかとなく香る。が、そんなことより俺が感心したのは、右手にストップウォッチのスタート/ストップ、左手にLAPボタンが付いていたことだ。素晴らしい。コンセプトを推して知るべしだ。

メットを被り、グラブをはめ、いよいよ搭乗である。前のSVを売ってからもう2ヶ月近い。久しぶりのバイクだ。

跨がると・・・アレ?ステップが高い。前のバイクではアフターのバックステップキットを付けていたが、それよりはるかに高いし後ろだ・・・。そして、ハンドルが・・・低い。びっくりした。・・・しかし・・・このポジションは・・・イイ。いいよ、イカすよ!やる気まんまんだよ!

エンジンをかけようと、メインスイッチを「ON」にすると、灯火類が点灯し、インジェクションなんかが作動するキュイー・・・というモーター音とともに、デジタルのスピードメーターの周囲を回るデジタルタコメーターが2周する。
・・イカす。いかにも現代のマシンだ。セルを回すと、ドヒュン、とJOJOの効果音のような音を立ててデジタルのタコメーターが跳ねる。・・・これで、4000まで?ウソだろ?そんなん我慢できるわけがねえ。

ともあれ、発進。すると・・・回転を抑えてるせいもあるが、低速のトルクが細い・・・いや、実際にはなくもないのだ、かなり低回転でもトコトコ進めるからな。が、やけにトルク感がない。・・・しかし。
俺はそこでニヤついた。これだ・・・これだよ、この押されるというより引っ張られる感じの加速。やはり、バイクはこの方がいい。ドコドコやってる場合じゃねえ。

が、悲しいかな、今は慣らしの身。俺基準で4000は無理と判断し、5000までを上限として、とりあえず無駄に走り回る。車体に慣れないし、タコメーターが気になってスムーズに走れない・・・休日の都内はいつでも最悪なのだが、距離を稼ぎたい慣らし運転には殊に最悪だ。

なんだかんだふらふらしてるうちに、ふと気がつくと檜原村。そう、奥多摩である。すでに周遊道路は閉まっていたが、名無しのワインディングに適当に入って行くと、前方にいつからかGooseが。ペースを上げ下げして走るあたり、適当に遊んでくれているのだろうか?
俺としては、前にいてくれると暗い、始めてのワインディングで走り易くてよかったのだが、ペースを上げられると付いて行けない。5000回転をきっちり守っていたのでな!

しかし、軽く山道も流して、半日跨がっていて痛感したことがある。

それは、首が痛い、足に熱風が来る、背中も疲れるということだ。そしてサスが硬く、道路が荒れてると跳ねる。路面の凸凹がダイレクトに体に来る。そしてハンドリングは・・・のたのた走ってるのでよくはわからないが、そのポテンシャルを予感させるものであった。

違う。やはり、普通の「スポーツバイク」とは何もかも違う。スーパースポーツとは、誰が使い始めた呼称か知らんが、まさに超越している。

はっきり言って、乗ってると(ちんたら走ってることもあり)すごく体がツラい。しかし、そんなことはどうでもいい。まったくもってどうでもいいことだ。この乗り心地の悪さは、つまり特殊な状況、つまり全開スポーツ走行時の快適さというか、信頼性というか、そういうものの裏返しなのだから。

だがいまはちんたらしか走れない身。前傾姿勢はまったく無用で苦痛でしかない。・・・早く全開にしてえよー。

レッドゾーンは15500 rpmからなんだぞー。

慣らしを完遂する自信がどんどん失せてく・・・嗚呼。

※注意:これみて、「行っちまえよ!!」って煽るのは勘弁して戴きたい。慣らしなど・・・おまじないみたいのものとも思ってるが、なにせツラい予算で買ってるんだ。将来のトラブルの種は少しでも減らしたいという一心で、フュージョンやハーレーに抜かれても堪え難きを堪えているのだから・・・。ウガアアアアア!!!!(TOPへ