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蛙乗修行日記 - Hello Again -

改革の必要

長いスランプを経て、なんとか久しぶりの30秒突破を果たしたのが前々回。そして、さらに完全復旧=29秒台前半を狙った前回は、なぜか再び30秒が切れないという緊急事態。レンスポ履いてるのに!?というヘタレぶり。
そんなガイとは対照的に、ますますタイムを上げて行くライバル(なのか?いや、そうだ、心のライバルだ)たち。…取り残され感漂う「ガイ」はもはや錆びたネタとして梨塾連中の伝承となり、風化し、忘られる宿命なのか。
…この連載日記がもしアニメだったら、今回はきっとそんな不吉なナレーションから始まることだろう。声は銀河万丈か永井一郎だな。

実際、長らく参加もしてない「梨塾」だけど、なんとなく毎月末には公式サイトをチェックしている。すると、かつて競り合っていた人がタイムを上げている。新たに参加した人が、俺のタイムに迫り、追い越して行く。そんな中でもやはり気になるのは人気者の岡登玉打さんだ(以後面倒なので岡玉さん)。
免許取得後すぐの梨塾参加以来、あっと言う間にタイムを上げていまや28秒を切らん勢い。最初の頃は(こう言うと偉そうだが)勢いのあるニューカマーか、という程度の認識で、岡玉さん自身もここの掲示板にライバル意識がチラチラ覗く書き込みをしてくれたものだ。それがもはや俺が教えを乞う立場。
正直アンタが憎いよ!…と思いつつも、ただで教えてもらうヒント、しかも今まさに実践し、成果を出している人からならば、これを有り難く聞かない手は無い。
そんな彼から得たヒントは、「自分の走りをビデオで見て観察し、速い人と比べて見る」。…実は前にTAKさんも言っていた気がするが、とにかく、なるほど、やはりそれか!という事で過去の梨塾ムービー、そして「漢ムービー」を繰り返し見てみる。

残業を終えて帰宅後、スコッチと豆ミックスを片手に、ヘッドホンを装着してパソコンに向かう。そしてムービー再生。
…あははは、解説面白いな。「漁父の利」って好きだよな。おお、ここのギターのハーモニクスと急ブレーキのタイミング合わせんの大変だったんだよな…。

いや、楽しんでいる場合ではない。でもどうも、見ている内に本来の目的を忘れる。それでも、俺はひとつ、決定的な問題に気付いた。いや、気付いたって言うか、実は前からわかってんだよ!ってとこなんだが、改めて突きつけられたと言うか…。

俺のハングオンは、なんかおかしい。
足が、真横に出過ぎている。まあ、無理膝ってヤツだ。が、それにしても真横過ぎだ。それつられて体自体も開いている。この点が特におかしい。バイクの乗り方には結構個性があって、みんなそれぞれちょっとずつ違うフォームで乗ってると思う。でも、効率よく曲がる為には、一定の条件がある筈。梨塾ムービーの1コーナーを内側から撮っているショットが、参加者全員分流れるところで、俺だけなんか異質に見えた。これがもし間違い探しなら、間違いなくみんなが○を付けるのは俺だろう。
いや、本当になんか変なんだって。疑うなら2003年9月のAグループとか見てみれって。特に第3コーナーとか妙だから。

そもそも、サーキット走行の基本フォームであるハングオン(ハングオフでもどっちでもいいよ、とにかく膝するヤツ)の、要である「ハング」の仕方が変では、そりゃ上手く行かないんではないか。
そこで、俺はとりあえずの課題として、もうどーせ良くわかりもしねえ荷重がうんたらステアがなんとかってのはちょっと置いといて、「とにかく普通に見えるハングオン」をしなければならないと考えた。

前に、「バンクセンサーの擦れる位置がおかしい」と書いたことがあるように、この問題はずっと気にしていたことではある。だが、改めてムービーを見返して、とにかくここを直さないと何も進展はしないんではないか、とその重要性を認識したのだ。

まあ、他にもいろいろ課題は見つけた。課題が明確になれば効率よい練習ができるだろう。実にグッドだ。ただ一つ困ったことは、紙に書いてみたのだが項目が多過ぎて覚えられなかったということくらいだ。

俺はこの漢を知っている

さて、ある夜、俺は梨塾ムービーを改めてダウンロードする為に梨塾の公式サイト、Standard Speedに接続していた。
トップページには直近の梨塾のリザルトが掲載されている。最近のリザルトでは、実は一人非常に気になる人がいた。2ヶ月くらいまえに初参加し、2度目にしてAクラスで3位入賞。Standard Speedに掲載された写真ではバリバリの走り屋系とかではなく、どちらかと言うとIT系のニオイがするモヤシ野郎(とても失礼)なのにあっけなく28秒台に突入、塾長からの一口コメントも「もっともっとタイムが上がるはず」。わざわざ「もっと」が二回も。いったい何者…。

俺が梨塾に最期に参加してから後に現れた知らない人がちょっと速い成長株、そんなことなら別に珍しい話ではない筈(俺のタイム、哀しいことに大したことないからね。)。でもなんかひっかかるなあ、と思って改めて写真を見ていたら、突然、俺の脳内で断絶していた記憶が繋がった。そうだ!この人、1年くらい前にコソ練に励んでいた頃にトミンで会った人だ!マシンもR1だったし、名前もその時に俺の掲示板に来た時と同じだ!
去年の夏、29秒台がコンスタントに出るようになった頃、トミンで会った彼は俺と同じ位の腕前だった。で、梨塾の話題になった時、「気になるけど参加費が高いから行ってない」と言っていた彼、ヒダカさん。
なんてことだ…俺が足踏みどころかムーンウォークをしている間に、着実に前進し、ついに敵を求めて(<-俺の断定)梨塾に参加、注目株の岡玉さんを抑えてAクラス入賞まで果たしていたとは!
…なんだかちょっぴり懐かしく思いつつも、ちょっとしたショックも覚える。みんなが俺の横を通り過ぎて行く…。

しかしだ。
別に一度通り過ぎられたからって二度と追いつけないなんてことはないのだ。彼らだって練習してタイムを上げたのだ。これは常識論ではなく、目の前で起こった現実だ。ならば、俺だって練習してタイムを上げることが出来るはずだ。確かに、俺はいろんな意味でちょっと視野の狭いところがあり、いままでの練習の効率も良いとは言えない。だが、負けの理由を才能だけに求めたりするようなレベルではまだない筈だ。過程の違いがあっても、彼らに出来たことが俺には絶対不可能ということはない。
つまるところ、とにかく走らなければ始まらない。
ということで、土曜日。いくつかの課題を胸に、いざ土浦へ。

今日のお題とうんめいのいたずら

この日は、午前の走行。余裕をもって到着し、走行の準備をする。台数は結構多く、見た事のある人もちらほらいるが、話したことがあるような人は見当たらない。塾に出入りしてそうな人も見当たらない。
はじっこに荷物を置き、一人、心静かに今日のお題…「ブレーキング時に体を起こす、コーナ−では出る方にちゃんと顔を向ける、アクセルは…、そもそもハングオンの…」などとメモされた紙をポケットから出して眺める。
ビデオ研究の結果見つけた課題は、あたり前のような項目が多かったが、そのあたり前のことを出来ていないことが問題だと思った。だから、前から知識として知っている項目でも、改めて課題として捉え直すべきと思った。で、とりあえず最低限ここだけは、という点に絞ろうと努力はしたが、それでも課題項目は多くなり、覚えられないのでメモして来たのだ。
しかし…、メモを見ながら走れる筈も無く、家で覚えきれないものをトミンのコースサイドで覚えられる筈もなく、仕方ないのでとにかくハングオンの姿勢だけでも直すべしと思ってコースに入る。
とりあえず、体慣らしのつもりで20周だけしてコースを出る。一休みしていると、やや遅れて来たトランポから降りてきた人物が声をかけて来た。
なんと!ヒダカさんその人ではないか!トランポ?去年は自走だったのに…変わっていたのはタイムだけではなかったようだ。
そして、トランポのフタが開いてみれば、R1も俺の記憶にあったノーマルのシルバーのR1ではなく、レーシングカウル装着に灯火無しに変貌していた。変わっていないのは本人の眼鏡くらいしかないのではないだろうか?
その変貌ぶりには正直ちょっと衝撃を受けた。

本人曰く、安い値段でトランポを見つけてしまってからこうなってしまった、とのことだが…。

中途半端に復活

さて、それはともかく、自分の練習だ。人の成長にびっくりしたり感心したりするのはもうお腹いっぱいだ。そろそろ自分の成長が見たい。
2本目の走行。俺の今の走り方は、特に最終コーナーで、ブレーキング時に思い切り腰を引いていて、けして体格の良い方でもないのにケツがシート後ろのコブに当たっていた。俺の場合、そこまで腰を引くと必然的にかなり伏せた姿勢になる。しかし、改めて梨塾ムービーを見直すと、速い人の中に、カウルに伏せてコーナーに突っ込んでいる人はいないようだった。
この進入時の変な姿勢がその後の変な姿勢の原因かも、とも思ったので、とにかくそれを止める。あと、膝をわざと擦ろうとすると膝を真横に出してしまうので、それも止めるようにする。とにかくそれだけは、と思っても、ちょっと気を抜くとすぐ忘れていつものように走ってしまう。ペースを上げようとしても、忘れる。
とにかく、なによりも姿勢に気をつける、という点に注意して走行を続ける。
どの程度かはともかく、改善はされていたと思う。感覚的にも、たまにいい感じで旋回から立ち上がりへと繋がり、明らかにいつもよりストレートの速度が上がったということもある。
しかし、どうにも、その同じ感覚で1周分のコーナーをすべて回ることが出来ない。上手くいった!と思うと、それで気が散ってもう次のコーナーは失敗する。ちょっとぼーっとするとまた従来通りの走りに戻る。混んでいるので他のライダーと絡むことが多いのだが、前の人のラインにつられたり、追いかけようとしてムキになったり、その度に掴みかけた感覚は揮発してしまう。勘が鈍いというか、染み付いた癖を矯正するのはなかなか難しい。

それでも、走行を終えてP-LAPを見ると、結構頻繁に29秒台が出ている。ベストは29.631秒。お?今のでこれなら、今日は29秒台前半は楽勝なんじゃない?
…しかし、そう思ってしまうと無駄に力んでしまう俺のマインドコントロールの下手さはいかんともし難く、結局、これが本日のベストとなってしまった。

28.8秒がベストと言うヒダカさんは、走行する周回数は少ないものの、走るたびにベストを更新するような感じで、28.3秒までタイムを詰めていた。見ているととても滑らかで、ある意味迫力がないくらいだ。すげえ!というよりも「ほーう、速いですね」と感心してしまうようなライディング(我ながら解釈の難しい表現だな)だった。
俺は結局、29秒後半に止まってしまったが、この日は1日を通して結構な頻度で29秒台で走ることが出来た。走行台数は30台近い状態を考えれば、「何事もなければ30秒は切れる」、という状態にまでは戻って来たと言ってもいいと思う。
納得のできるようなタイムは出ていないが、今年のこれまで、つまり30秒を切ったのが前々回の必死に走った2周のみということを考えれば、これは前進と考えてもいいだろう。

見つけた課題の有効性は確認できたし、いくつか、ヒダカさんにもアドバイスをいただいた。
自分で言うのもなんだが、マイティフロッグに乗ってからの俺は、ボタンを掛け違えたような状態だと思っている。やはり最初の掛け違えはトミン一発目のハイサイドだと思う。そこから、あれやこれや迷走した結果、いまや俺のシャツの第三ボタンはズボンのボタンに嵌ってるような状態だ。まずボタンを外し、それからかけ直す必要があるのだが、間違えて無理にはめたボタンはなかなか外れない。しかし、なんとかボタンは緩みつつあるという手応えは感じることが出来た。それは今日の収穫だ。

そうとなれば、ここで冬眠に入ってしまうわけにはいかない。もう一押し、路面が凍り出すまでに、納得できる「今年の成果」を出したいところだ。


今回は、あんまり小宇宙は燃焼してませんが。ただ、これも使いどころがあるようで、これでカバーすべきとこと、技術で補正すべきところはしっかり見極めないといけないな、と思った。(TOPへ