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蛙乗修行日記 外伝 - How many デストラクション -

2004年の走り納めで大破したマイティフロッグをいかに再生させるか、の記録

Z-636
被害状況は甚大である。まず、ドロよけ以外では、緑色の外装で使えるものはひとつも無い。灯火類が基本全滅。…通常ならここでもう再生は諦めてしまうところだ。外装一式は30万円コース。灯火類、計器類を加えると、もうすぐ中古車の価格に届きそうだ。そして勿論、我が財政状況はそんな大金をポンと出せるほど潤ってはいない。
幸いにしてボーナスを貰った直後だが、ボーナスの使い道として考えていたのは「ヘルメットの買い換え」。つまり、余力はその程度の金額。しかも、マシンとともにヘルメットもお釈迦になったので、いずれにしろこれも買い替えなければならない。
ダメ。もうダメ、沈没です。

…通常ならばそれが結論となり、このサイトも活動に終止符を打つハメになるところなのだが。

切り札はとっておくもんだぜ

さて、バイク屋で割れたカウルを外し、さながら「Z-636」と言った風情のマイティフロッグ。これは、一時とはいえZ-750への買い換えを検討した俺に天が与えた罰なのか?浮気はせずとも浮気心を抱いただけで咎人とならねばならないのか?
…いかんいかん、つい悲劇に酔いしれてポエットになってしまった。現実逃避は程々にしてよく見れば、実は足回り、フレームには大きな異常は認められない。割れたフロントカウルから回収したデジタルメーターユニットは、本体側に残ったコネクタに繋ぐと見事に作動した。これはラッキーだ。通常のアナログ式ユニットだったら無事ではなかったろう。
外装以外で大きな損傷は…まず、タンクがベッコリ。しかし穴が空いているわけではない。そして、ラジエータ本体に溶接されている、ラジエータをフレームに固定するステー(右側)が折れている。ラジエータは5万円。また、ラジエータファンも別途5万円。高過ぎる。が、ラジエータファンは、ラジエータの左側についており、スイッチを入れてみるとファンは異音もなく元気に回る。ラジエータ本体も、歪みが出ている可能性は大きいが液が漏れている様子はない。…使えるんじゃないか。

そして、外装。実は、俺は1年以上前にYahoo!オークションで外装セットを4万円弱で競り落としていたのだ!!さすが俺!先見の明というヤツか!(違う。わかってる。)
売り主は、どうやら6RRを買ってレーサーにしたようで、本当に一式と呼ぶに相応しい内容だった。実家の物置から回収してきた外装セットは、フロントカウル、サイドカウル左右、シートカウル、テールカウル、フロント/リヤ灯火ユニット、ウィンカー4点、バックミラー。すべて揃っていた。…オークション万歳!ありがとうインタ−ネット!

あけまして再生開始

年末にバイク屋を訪れ、何点か部品と作業をお願いした。右ハンドル廻りのダメージが意外と大きく、アクセルとブレーキの操作系に問題がったので、それらの修理をまず依頼した。同時に、エンジンが始動できることは確認しておいた。

大晦日直前。
なんとなく、久しぶりのYahoo!オークションを見てみると、ZX-6Rの純正マフラーが。見事5000円で落札(その後1980円というのもあったが、タイミングが悪かった。まあそこまで贅沢は言うまい)。マフラーは使って使えない状態ではなかったが、かなり削れていて、ステーにもガタが出ていたのでこの価格で奇麗になるなら替える価値は大きい。ところで、純正マフラーというのは、社外マフラー購入者が処分のために出品することが多いみたいだ。6Rに限らず純正マフラーが必要な人は、ぜひ注文する前にオークションを見てみるといいだろう。

年が明けて2005年、早々から走り初めなどしてる人々も世の中にはいるようだが、僕には関係ありません。しばらくは仕事が忙しくてバイク屋に行けなかったのだが、月半ばにバイク屋を訪問。するとどうだろう。ぱっと見はあんまり変化ないが、アクセルとブレーキがちゃんと操作できるようになっているではないか。つまり、もう走れるってことだ。うひょー。…でも、物理的には走れても法律的には走れないのである。
年末にDIYショップで購入しておいた、6ミリの穴が空いたステンレス板棒(\110)を持参する。ラジエータの金具にあてがって具合を見ながら、バイク屋の工具と万力を借りて、板棒を3次元的に曲げまくる。なんとか上手いこと、ラジエータ側でカウルと固定するためのステーを付けているネジと、フレーム側の本来のラジエータステーが固定されるべきネジとを繋いで固定した。
ラジエータをちょっと押してみるが、あまりぐらぐらしない。強く押してみる…のは、止めておいた。俺の創意工夫の成果を見たバイク屋のメカニックは「ぶっ」と笑っていた。失敬な。

とにかくこれで、後は外装を取り付けるだけだ。が、実は、フロントカウルとフレームを繋ぐ鉄製のパーツと、ラムエアダクトの筒がない。この2点を注文し、また来週に作業を進めることとした。

ちなみにこの日、友人の中古車探しにも付き合った。元「SV400Sをおおいに語る会」会長としての責務を果たして置いた。

震えるぞハート。

それから、再び2週間。年末から春まではろくにバイクに乗らないのはいつものこと。だが、それでも普通は、バイクの調子を保つ程度には乗る。週に1回くらいは、買い物に行くのに使ってみたり、意味もなく近所を走り回ってみたり(寒くなったらすぐ帰れるように、遠くには行かない)。
が、今冬は完全にバイクにまたがらずにもう1ヶ月以上が過ぎている。もちろん、壊れてるからだ。

いつもは、ショボい(※言い方を変えると、「俺の趣味には合わない」)バイクや遅い(※言い方を変えると「飛ばしていない」)ライダーを見ると、心の内で「俺がマイティフロッグに乗ってればブチ抜いてやるな、あれは」などと密かに妄想するわけだが、ここのところはその直後に「でも、もしこれが人生の間続く耐久レースだったら僕は自爆転倒でパドックに引き蘢ってて、レース続行が危ぶまれてるわけで、彼らは着実にラップを刻み俺を追い越し追い抜いていくわけですよ」なんて自嘲気味な感覚を味わっていた。

そんな気分の晴れない日々、ある曇り空の土曜、俺は昼飯の食パンを1枚食べてから、バイク屋へと向かった。注文していた部品(ラムエアの口とフレームを繋ぐパイプ。こいつがメーターやカウルをも支える)は入荷していた。とりあえず足りないと判明しているものだけ注文し、オークション購入+転倒現場回収の部品とともに組み立ててみることにしていた。まず、その部品をフレームに装着。別のステーをそれに装着。そこにメーターを装着。そこに、ライトユニットを組み付けたアッパーカウルを装着。あれ?普通に出来てきたぞ?ここで試しに、メインスイッチをオンにしてみる。デジタルタコメータが2回転、それにタンクの奥あたりからキュイー…という作動音。セルを回すと、エンジンは事もなく始動した。破損していたアクセル回りは修理済み。軽く捻ると、グォン、と小気味よく反応する。唐突に、何か嬉しくなって来た。
フロントから見ると、異形ライトの片目とポジションランプが光っている…が、なんか、違うな…と、破損したユニットから外しておいた緑のLEDを装着する。
それからは、結局6時間ほどかかってすべての外装とマフラーを装着した。結局、サブフレームが若干曲がっていたり、やはりラジエータが歪んでいるせいでカウルが上手く装着できなかったり、ウインカーが点かないと思ったらヒューズが跳んでたりといろいろあったのだが、なんとか形になった。

素晴らしい。スクリーンだけは、傷だらけのものを使うか、新しいものを付けるか悩んで未装着だが、まるで新車のようではないか。
素晴らしい。実は中でラジエータがほとんど宙ぶらりんだったり、ラジエータとカウルを繋いでいたボルトはもちろん位置が全然違ってて使えなかったり、また実はタンクの右側に小物置き場に出来そうな凹みがあったり、さらに実はサブフレームが歪んでてナンバーがリアタイヤの真上になかったりしても、そんなことは目を瞑れる。
見るべき事柄は、とりあえず奇麗に見えるし、真っ直ぐ走るし、ちゃんとブレーキも効くし、そして久々に味わう痛快な加速もするということだ。つまり、走ることに不都合ない。

この修理にかかった金額は、アクセル、ブレーキ周りなどの作業を依頼した分の工賃と消費税を入れても38,000円くらいだった。実際には、オークションでカウルを買った金が別にかかっているが、それは1年近く前に買っていたものだから数えないことに決めた。


蘇ったマシンに「Mighty Frog G4」という名前を与えることとした。純正外装セットが第4世代だからである。マイティフロッグは何度でも蘇る…ワケねーって。今回は、ほんとに悪運があった。もう次に大破したら、直さずに処分する(しか選択出来ない)と思う。
ちなみに、「ZX-6RR」になりました。カウルに注目。…カウルだけだけど。(TOPへ