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さて、慣らしも残りわずかとなって来ました。
もう、早く全開走行がやってみたくてしょうがないよベイビー!ってことで、金曜に、ひと月前の休日出勤の代休をとることにした。
これにはわけがあって、できれば土曜にトミンのコース開放で走りたかったので、それまで準備をしておきたかったのだ。

しかし、いよいよサーキットを走るにあたっては、慣らし以外にも準備するものがあった。ツナギ、またの名をレーシングスーツだ。
俺はいままでは、膝パッド付きの革パンとふつうのジャケット(いわゆるMA-1ね)で走ってたのだが、バイクとの釣り合い?もあるし、なにせいままでのバイクとは桁違い(本当に桁がひとつ増えてる。53ps→118psってことで)のパワーがあるので、飛んだ時の勢いも激しいかも、と思ったり、さらには、今回の購入にあたってちょっと相談した友人から、本人が直前にサーキットでハイサイドを起こして怪我をしたこともあり、「装備はしっかりしろ」と忠告されたこともあり・・・ツナギの購入を決意した。高いものだから、バイクを買った勢いででも行かないとなかなか手が出ないしなあ。
で、さすがにオーダーのはツラいので、つるしのものから選んだのだが、何度か店に行って見ておいたので、この日は決めるのに時間はかからなかった。
迷ったのはサイズだが、俺は身長167cmの体重53kgとやや小柄の痩せ型だ。ので、Mサイズでいいかと思ったのだが、これが着てみるとパツンパツン。脚や腹はいいのだが、肩がツレてしまうの加え、決定的なのは着丈だ。俺の体型は非常に東洋的というか、脚が短い、いやこの場合の問題はむしろ「胴が長い」という特徴も備えているのだ。Mでも入るが、これでチャックを閉めるといくらツナギといえ、背骨が伸ばせずにあまりに変な姿勢に体が固定されてしまう。
で、結局、背中や脚がちょっとたるんでしまうがLを買った。これは非常に動きやすい。が、肩は余らないし、Lと言っても7サイズ用意されている下から2番目(M、L、Lワイド、2L・・・って感じ)なので、こんなモノかも知れない。ちなみにメーカーは比較的安くてサイズ展開が豊富なTrinity(参照)のものを選んだ。デザインも気に入ったし。
リュックを背負って行ったが、とてもその中には入らなかったので、来ていた服をリュックに入れてツナギを着て帰ることになった。靴が普通の靴なところがお洒落過ぎると思ったが、おそらく通行人はそんな細かいところは見ていまい、と割り切ったものの、やはりそれ以前にツナギで蛍光緑一色のバイクに跨る様は、明らかに街の景色に馴染んでない気がしてちょっと、いやかなり恥ずかしい気がした。
・・・すぐどうでもよくなったけどさ。

ちなみに、ツナギに合わせてグローブも新調した。というのも、俺は常にオフロード用のジャージメッシュのグローブを使っていて、手の動かし易さは抜群だし概してロードのより格好いいと思うのだが、いかんせん薄手で、見た目もプロテクションもツナギとは不釣合いと思えたからだ。レーシンググローブとというのを買ったが、後ではめると・・・試着した右手はよかったのだが・・・左手は指輪をしてるので、中でそれが突っ張る。まあ外すしかないか。

この日は、それでも買い物に予想以上に時間がかかってしまい、結局あまり慣らしはできなかった。が、それでも走行距離は900km/hに達したので、もういいか・・・ていうかもうこれ以上は無理、と判断して夕方にバイク屋へ。1000km点検をしてもらい、オイルを高級グレードに変えて慣らし完了

・・・ついに来たあ!と喜び、現実世界では寡黙な俺様がいつになく饒舌に、店の人に「明日、トミンに行って走って来るんスよ」と、笑顔で喋っていた。で、さんざん気をつけてくださいね、と念を押され、「ははは、八分目で行きますからね、大丈夫ですよ」と軽く応えて店を出る。そう、いま思えば、この辺からもう軽率な気配が漂っていたのだろうか・・・。

店を出て、4車線の国道に出て、おもむろに2速を引っ張る。5000、7000、9000、10000、120000・・・ひゃあ〜!とどまるところを知らず吹けていくエンジンと貧血気味の気がある俺としては眩暈を起こしそうな加速・・・素晴らしい。これならどんなバイクにも負ける気がしねえ!

・・・実際に、6Rより速いバイクは確かに存在するのだが、それはそれなりの高いレベルの話であって、大きな枠組みで見たときには、こいつは確かに「最速バイク」グループの一角に存在しているのだ。だから、「負ける気がしない」と思った俺の感性は一般的には真っ当だと思う。
ただ、それはバイクが、の話。俺が、ではない。
俺自身はまだ、とてもこいつを乗りこなしているとは言えないワケだが、あたかも自分がすごく速くなったという錯覚を与えるに十分な魔力か術か・・・そういうものをコイツは備えていた。

さあ、ひたすら頼りなくなっていく心の安全弁。欧米では、実は忍者(Ninja)という名を冠するZX6R。慣らしの進行とともに錯覚と妄想に囚われていくガイに不吉な影が迫る・・・(TOPへ