(自称)中型の星、ガイ・・・討死
排気量で実に3.25倍
最大出力で3.3倍という
強大な力で立ちはだかる我が仇敵、
隼 ジョニー
ヤツの駆るモンスターマシン、
その異形は邪悪さえ放つGSX1300R。
対する我が方は、
軽量ライトスポーツ、SV400S。
車重も軽いがノリもライト感覚。
それでも、勝てる筈だった。
とかく最高速度が取り沙汰されるが
隼はけして曲がらないバイクではない。
それじゃあますます勝てないって?
そんなことはないさ。
むしろ曲がらないのは、隼でなくジョニー。
俺はヤツの走りを長い間見て来た。
安全マージンを多くとり、けっして無茶はしない。
パワーのある大排気量車ならではのゆとりを充分に生かし
直線の加速に頼るところのある走りは、
峠ではしばしば俺の後塵を喫していた。
思えば梨本塾初参加の時。
周囲との比較はともかく、少なくともヤツに対しては、俺はコーナリングで圧倒して見せたはずだ。
その後、ヤツは俺の居ぬ間に修行。
その後、お互いにタイムアップしながらも、
いつも「前回のジョニー」には勝てるのに!というイタチごっこを演じてきた。
それでも、俺は、まだヤツの直線加速に負けているだけだと思った。
コーナリングで勝てばイケる、と。
しかし。
今回、10月開催の梨本塾。
確かに、朝の俺は久しぶりでイマイチ調子が悪かった。
だが午後はそんなことはなかった。
それでも、ヤツは俺より1秒以上早いラップを重ねていた・・・。
実に29秒台前半。
コーナリングで直後につけて、
俺は不覚にも思ってしまった。
こりゃ抜けねェ・・・
・・・!!
しまった!!?
そう・・・どうやら俺は敗北を認めてしまったようだ・・・。
いや。
はっきり言おう。
負けたわ。
漢勝負の決着は、誰よりも自分の骨身に染みてわかるもの・・・。
いや、ほんと。認めるよ。
ジョニーさんよ、あんた速くなったわ。
あー負けた負けた。
俺の負けだよ。
・・・今回はな!!
だが見ていろ・・・。
はっきり言ってやっぱ大型を・・・とか一瞬考えちまったが、
しばらく頭を冷やして俺は考え直した。
やはりSVで勝たなければダメだ。
まだ策はない。策など弄せず修行しろって意見はもっともだが、それができんから困っている。
だが、なんとかする。すぐには無理だろう・・・しかし、このままでは終わらない。
漢の真価は、敗北にあってこそ問われるのだ・・・。
って、あああ!
また言っちまった!!
・・・いや、でも本当に。
このままでは、引き下がれんね・・・。