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楽しい職場みんなのF2

 

最近の会社生活-雑誌速読み−2004年

週刊 ポスト9/10 2004.9.10発行 320円 小学館
チーム内でボーナス”分捕り合戦も”

 「内側から見た富士通」の著者・城繁幸氏のインタビューが掲載されています。内容的には著書に書かれていることとダブります。そこで、同記事に書かれた他の成果主義導入企業の社員の不満をご紹介。
[大手電機メーカー50代社員の場合]
 各社員のボーナスから2万円が差し引かれ、それが成果に応じて配分されるチーム別業績評価制度が導入されました。同じチーム内での”ボーナス分捕り合戦”となりました。他人を蹴落として自分だけがいい給料をもらいたいわけではなく、チームでいい仕事をしたいという現場は不満が噴出しています。
[中堅広告会社30代社員の場合]
 管理部門は営業とは違い、数字での目標が立てにくい。だが、営業と同じ尺度で評価されるのでどうしても評価が低い。同部門の同期間でボーナス20万円、営業とはもっと差がついています。

週刊SPA!6/8 2004.6.8発行 350円 株式会社扶桑社
知ってるヤツだけトクをする「会社を利用しつくす」極意

 会社の言いなりになって社員を守ってくれない労働組合のことを「御用組合」といいますが、昨今の組合はほとんどこれです。その仕組みは非常に狡猾で、労組の要職を歴任した人がそれなりの管理職になっています。サービス残業にしても、労働基準監督署に持ち込んだら、会社に厳しい罰則があるはずなのに御用組合はそれをしません。ましてやリストラには泣き寝入りです。ちなみにアメリカ(グローバルスタンダード)では日本で いう、電機連合や自動車総連にあたる労組連合の力が非常に強くなっています。例えば、自動車総連でGMしか儲かってなくても、クライスラーはGMと同じ給料を払わなければいけないというようなわけです。そして、 この記事では、「いざとなったら、新左翼や共産党の活動家が上にいるような団体が使えるかもしれません。自分の身は自分で守るしかありません。」と結論付けています。

Yomiuri Weekly5/30号 2004.5.30発行 350円 読売新聞社
負けるなサラリーマン!「不条理査定」に立ち向かえ

 成果主義制度による上司の査定は、賃下げ・いじめ・退職勧告さらには、不眠・鬱などの精神的ダメージを生み出しています。会社にとっては、人件費の抑制効果という大きなメリットがあるはずですが、反面さまざまなリスクをとらなければなりません。成果主義は社員を早めに「勝ち組」と「負け組」に分けてしまい、「これ以上がんばれない」ほどの差がついてしまいます。この絶望感は社員の病気や自殺、会社側には「補償問題」につながります。職業モラルの低下は、不正行為・事故へ、忠誠心の喪失はことの良し悪しはさておき内部告発につながります。このように成果主義は本来「高くつくもの」と覚悟を決めなければなりません。

週刊エコノミスト5/4・11合併号 2004.5.11発行 700円 毎日新聞社
IBM社員 サービス残業告発

 日本IBM大崎東事業所に勤める田中純さんは、元ロータス社社員で経営統合後、IBMに転籍となりました。月40〜50時間の残業をしていましたが、日本IBMでは、残業は自己申告制のため上司に勤務表を月15〜20時間に書き変えるよう指示されました。同僚の中には体調を崩し退職した人もいます。田中さんは2002年10月に品川労働基準監督署に申告を行い、IBMに立ち入り検査が。しばらく改善しましたが、また以前と同じ状態になり、2003年に2度にわたり労働基準監督署の検査が入りましたが、改善しませんでした。結局労働組合に話を持ち込み、団体交渉の結果、15か月分約653時間分の残業代を獲得しました。労働組合IBM分会・高橋副会長によると、「IBMは人事評価が直属の上司との1対1のミーティングで決められ、残業代を多く申請すると上司からの評価も悪くなると労働者側は受け止めている。そのため、勤務時間を実際より短く申請する社内文化が育ってしまっている」と話します。

週刊SPA!5/4・11合併号 2004.5.11発行 350円 株式会社扶桑社
ビンボー人は一生ビンボーの悶絶メカニズム

 成果主義や小泉政治の下、「勝ち組」と「負け組」、「金持ち」と「ビンボー人」の二極化が進行しています。この特集では「ビンボー人をいじめると国が滅ぶ」と題して、企業の人件費圧縮に警では鐘を鳴らしています。日本の大企業の売り上げに占める人件費はだいたい10%くらいです。(週刊SPA!の調査によると、本田技研工業10.8%、松下電器産業10.7%、富士通10.8%)人件費を半分にして市場での値引きにまわしても、5%にしかなりません。それよりも給料を上げた方が経済はまわるだろうに。日本企業は国内消費を支えてきた”中流”を潰し、自分で自分の首を絞める結果になっていると指摘しています。

Yomiuri Weekly5/2号 2004.5.2発行 350円 読売新聞社
「職場うつ」を救え!

 サラリーマンの鬱病はここ数年激増しています。大企業がメンタルケアに取り組み始めたのは事実ですが、労災で訴えられないように、社会的なイメージが悪くならないように、企業のリスクヘッジとして社会的な制裁を避ける言い訳にしか過ぎない場合が少なくありません。
[大手食品メーカー・ノリアキさんの場合]
 3年前、鬱病の診断を受け、欠勤が続くと会社は露骨な嫌がらせをしてきました。診察を受けていた精神科医から会社専属の産業医に強引に代えられ、人事部に病状が筒抜けとなりました。別の医師の診断を受けようとしたら、秩序紊乱だと3週間の給与差し止めを受け、上司の言葉にショックを受けたことを別の精神科医に話しに行ったら、"職場放棄"としてその分の時間給をカットされました。彼は今、自殺することばかりを考えています。部下にも同じ悩みを持っている者が大勢いますが、上司の「お前はもういらない。別の会社に行ってくれ。」のひとことで切り捨てられていきます。
[大手ゼネコン・カズトさんの場合]
 担当していた現場監督の業務は月150〜200時間の残業が当たり前、業務自体が自分に会っていないことから、ひどい腕のしびれが起こりました。病院をたらいまわしされた挙句、「仮面鬱病」と診断されました。現在休職し、会社は復職後の仕事を考慮すると言いながら、また同じ現場を考えているようでショックを受けています。
 この記事では各企業に鬱病対策のアンケート行い、結果を載せていますが、富士通の回答は以下の通りです。

Yomiuri Weeklyの質問 富士通の回答
 「うつ」状態になった社員が相談できるような施設・窓口・診療所等はありますか。その場合は、社内あるいは社外に設置していますか。

社内

 窓口等への相談件数は、年間、何件ぐらいですか。また、増加あるいは、減少していますか。

 精神科専門の産業医を置いていますか。
 相談者が、心の悩みを相談したことや、その商談内容が、上司や会社に知られないような対策があれば、具体的に教えてください。 カウンセラーや健康管理スタッフに守秘義務順守を徹底している。
 管理職に当たる人に対して、部下がうつになったときにどうしたらよいか、などの研修や、社内的な対策をしていますか。していれば、具体的に教えてください。 幹部就任時に、集合研修で教育。その他適宜教育を行う。
 部下が、心の病になったときに、その上司が管理責任に問われることはありますか。上司の査定に響くことはありますか。 あまりない(うつの原因は単純でないので)
 うつ病で休んでいた人が復職した場合、特別な措置(時間の短縮や仕事量の軽減など)はありますか。ある場合は、具体的に教えてください。 仕事量の軽減も。残業禁止などの就業規制をかけることもある

週刊SPA!4/20号 2004.4.20発行 350円 株式会社扶桑社
20〜30代にとって[新成果主義給料]は悪夢か!?福音か!?

 「富士通のように成果主義を先駆けて導入しながら撤回を決めた企業も相次ぐ。」という書き出しで始まるこの記事は、「評価基準のあいまいさ」「上司の好き嫌いによる評価」など、F2の常識が世の中の常識であることをまざまざと見せつけてくれます。
[T生命保険・伊藤さんの場合]
 四半期ごとに提出する自己評価シートには、100項目に及ぶ質問や「これからの生保業界はどうあるべきか」なんていう小論文を3〜4つも書かないといけません。相対評価でA〜Eと1〜5の組み合わせで結果が記入されますが、”A−2”と”B−1”の違いも金額格差も不明といいます。結局、年功序列の時と年収は変わらず、ただ面倒くさいだけです。
[大手重工X・加藤さんの場合]
 これ以上望めないほどの成果を上げ、上司も評価を保障してくれましたが結果はSでなくAでした。当分、商品化されない製品の開発なので売り上げにつながらなかったのです。その後、加藤さんは配転になったため、その製品が売り出され、大きな利益がでても彼の評価には関係ありません。
[外資系C銀行・鈴木さんの場合]
 この銀行には通常の賞与のほかに、オープンにしていない秘密ボーナスがあります。本当にがんばっている人はもらえないのに、部長のお気に入りである賀来千賀子似のMさんは100万円もらっています。
[大手書店・平井さんの場合]
 「毎日4回、担当の棚を見回る」なんて細かいチェック項目がたくさんあって、その達成度で評価が決まります。みんな自分の仕事しかしなくなり、「レジの担当者じゃなくてもお客さんが並んでいたらレジに入らなきゃいけないのに、みんな評価項目にないから入らない。」といった現象が起こっています。

WEDGE4月号 2004.3.20発行 400円 株式会社ウエッジ
ちょっと待て!成果主義導入に弊害大噴出 ゴマすり平目は当たり前、落ちる一方の現場力

 「危機感の共有」を理由とした、横一線の賃金カットに現場は混乱しました。「俺はがんばって成果を挙げてきたのに、成果のない連中と一緒に給料を減らされるのか」と、「できる課長」たちは憤懣やるかたありません。成果主義導入以前のF2は「IBMに勝つ」という大目標の下、深夜残業・休日出勤をいとわず一丸となっていましたが、成果主義はこの一体感に水をかけました。巨大システムの受注に成功したとき、"営業・SE・事業部のどこが一番貢献したか"という、以前はどうでもよかったことが最大の関心事になったのです。さらに、要領の良い社員は無難な目標を掲げ達成率を引き上げる裏技を身に付け、個々の社員はフェアに評価されず、上司と部下・役員と社員は相互不信に陥ってしまったのです。

プレジデント5/3号 2004.5.3発行 650円 プレジデント社
わが社の成果主義には「はき違え」があった

 「賃金、ポスト・・・これが成果主義の実態だ」と題して黒川社長へのインタビュー記事が掲載されていました。社長はあれこれ問題を指摘し、”成果主義の部門ごとのカスタマイズ”で解決しようと考えているようですが、はき違え幹部社員が牛耳っている部門はどうするんですかね。

社長の指摘する問題点 社長の考える対策
 成果主義以前に、経営陣の投資の仕方ややるべきディシジョンが行われなかった。

 部分最適を加速させ、全体最適の追求を怠ることにつながった。 ”ワン富士通”という考え方をしろと言っている。
 一部に数値目標にとらわれた社員がいた。
 人事部門はしっかり説明したはずだが、はき違えている社員もいる。
 公平な評価ができていなかった。
 会社の成績は後回しにされ、個人の評価が優先された。
 達成しやすいように目標を設定する社員がいた。
 サービス事業だと仕事を数値化するのは難しいがSEの売り上げ・受注目標が営業とおなじものになってしまった。 部門、職種に応じた目標設定、評価制度のカスタマイズをする。
 ヒト、モノ、カネというリソースを動かす権限のない課長クラスに数字だけ達成しろと言っても無理。 同上

エルネオス4月号
 http://www.elneos.co.jp/
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かつての好業績にはまだほど遠い秋草・富士通の険しき再生の道
  
■不採算部門を切ってもなお利益が出ない現実を、冷静に、本気で見詰めることができるか──
 
 数字の上ながら、日本経済が久々の活況に沸いている。その中心のひとつが「デジタル家電景気」といわれる。
 プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶テレビ、DVDレコーダーが急成長し、大手家電メーカーは増産投資に追われている。もちろん、半導体はじめ各社電子部品も好調だ。昨年度まで2期連続の最終赤字に沈んでいた富士通も、本稿執筆時には確定していないが、2003年度は黒字浮上の見込みである。
 しかし利益水準はいまだに極めて低く、かつてのような高収益の優良企業にはほど遠い。なぜ富士通は、かくも苦戦しているのか。意外に険しい再生の道を追った。
 
 投資家に“オオカミ少年”と呼ばれてしまうトップの弁明
 
 「これだけの追い風の中で、富士通はどうして利益が出せないのか」
 アナリストらが、秋草直之・会長兼CEO以下の富士通経営陣に対してぶつける疑問と不満は、この1点に集中している。
 富士通の04年3月期連結決算見通しによると、営業利益は1500億円、経常利益は500億円、最終利益は300億円だ。売上高4兆7500億円に対する最終利益率は1%以下。しかもデジタル家電景気の加速にもかかわらず、昨年10月の業績予想の一部を、この1月に下方修正した。
 それだけではない。実はこの業績予想の中には、“虎の子”というべき超優良関係会社・ファナックの株式売却による特別利益が含まれている。
 富士通の発表によれば、この株式売却による連結最終総益のプラス効果は250億円だ。つまり最終利益300億円の大半は株式売却によるものであり、もし3月末までに50億円規模の損失が新たに発生すれば、3期連続の最終赤字決算に転落する危険も捨てきれないのが現状なのである。
 しかも富士通は、これまで決して手をこまねいてきたわけではない。01年度、02年度と連続して数千億円規模の巨額のリストラ損失を計上し、事業構造改革を急いできた。そのたびに経営陣は「これでリストラにめどがついた」と言い続けた。
 しかし結果は見ての通り。いまや富士通の経営トップは投資家から“オオカミ少年”と呼ばれ、すっかり信用を失っている。松下電器産業の中村邦夫社長が大規模なリストラを断行して、鮮やかなV字回復を確実なものにしたのに比べても、富士通の“リストラ下手”は際立っている。
 
 繰り返された赤字垂れ流しとリストラ損失の追加計上
 
 こうした事実から、富士通の抱えているキズは外から見た以上に大きく、再生には長期の時間を必要とするのではないかという見方が浮上してきているのだ。
 01年夏、富士通は第1四半期の決算発表の席で突如、3000億円もの特別損失を含む大規模なリストラ策を発表した。これが日本の“ITバブルの崩壊”の先駆けだった。
 この時点で、富士通のリストラ着手は他の大手エレクトロニクスメーカーのどこよりも早く、また規模も大きかった。秋草社長(当時)以下のトップは再生に自信満々だったし、その証拠に、この年には赤字決算にもかかわらず配当を強行した。
 ところが現実には、その後は赤字の垂れ流しと、リストラ損失の追加計上の繰り返しだ。資金が尽きて昨年秋にはついにファナック株の一部を手放し、持ち株比率は33%から18%に低下した。
 アナリストらはこの3年間、さまざまな角度から富士通の不振の原因を分析してきた。主なものを挙げただけでも、次のようになるだろう。
  (以下、本誌をご覧ください)

週刊ダイヤモンド4/3号 2004.4.3発行 670円 ダイヤモンド社
ソフト・サービス事業を襲うバブル後遺症とデフレの波

 2002年の夏、福島の東邦銀行事務センターでは、全国から集められた600人のSEが「PROBANK」の開発に取り組んでいました。室温40度の中、過労で倒れる者も出、ホテルやタクシー、コンビニは「プロバンク特需」に沸きました。こうしてついに完成したPROBANKは、東邦銀行の吉田システム部長に「軌道修正後のスピードのすさまじさ、SEの献身的な努力、史上最高の技術」と絶賛を受けたほどです。2003年、F2はSS事業の混乱収拾に追われたわけですが、"次の差別化戦略を打たなければ未来は危うい"とこの記事は指摘しています。その背景には、国内企業のITサービス投資が2000年の7%から2003年の1%へ低下、大手のITサービス企業の提案と技術はほとんど同じという現実があるのです。

サンデー毎日3/14号 2004.3.14発行 350円 毎日新聞社
全国約1000人の労働基準監督官アンケートから判明した「タダ働き大国」の現実

 サービス残業の摘発はどのように行われるのでしょうか。この記事では昨年春某信用金庫での出来事をドキュメンタリー風に紹介しています。
 夜10時−。建物の窓から明かりが漏れるのを確認すると、男たちは通用門の呼び鈴を押した。「労基署です」ドアが開けられると、一行はなだれ込むようにしてオフィスに踏み込んだ。「深夜臨検」と呼ばれる労働基準監督官の立ち入り調査である。案の定、大勢の社員が机に向かっていた。「全員、机の上はそのままに。こちらに集まってください!」踏み込んだ監督官はすぐさま、仕事をしていた証拠を押さえた。広げられたままの書類、雑然とした机の上を、カメラで撮影する。さらに、その日の出退社記録を確認する。記録ではその場に居合わせた社員全員が、数時間前に「退社」したことになっていた。「どういうことですか?」監督官に詰問された支店長は、しどろもどろだった。

週刊ポスト2/13号 2004.2.13発行 340円 小学館
「春闘崩し」の賃カツは一般社員にも広がる−富士通が「課長いじめ」

 1/22に幹部社員の3〜5%賃金カットを打ち出したF2を有識者は次のように見ています。”利益・売上の達成できない幹部社員、組織だけ作り戦略の描けない幹部社員の賃金カットは歓迎”なんていうのはあまりノンキな感想のようで・・・
[全労連の寺間誠治さん]
 F2は近年、悪しき賃金体系をもたらす”賃金カット”の切り込み隊長となってきました。今回の課長イジメも系列や下請けの中小企業を巻き込んで、電機産業はもちろん春闘にも波及します。”課長が賃金カットを我慢しているのだから、組合員も我慢しろ。”という論理です。
[住友生命総合研究所の山上俊彦さん]
 今や春闘は賃金の上げ下げを争うのではなく、賃金のあり方そのものを問う場になっています。
[作家・経営評論家の江坂彰さん]
 強い企業は、部下をまとめ上げて、トップが描いたグランドデザインを実行に移す課長クラスが支えています。課長イジメをする企業は伸びません。成果主義・能力主義を謳うのであれば、能力に応じて賃金の上げ下げを決めるべきですが、F2は横並びでカットしました。これでは優秀な人間のやる気を削ぐだけです。

サンデー毎日1/18号 2004.1.18発行 300円 毎日新聞社
日本IBM社員がぶちまける「月平均50時間サービス残業しています」

 超優良企業である日本IBMですが、サービス残業のオンパレードだといいます。ところがこの3月から裁量労働制(F2のSPIRIT)が導入されます。そうすると始業時間・就業時間というものがなくなり、労働時間の観念そのものがなくなってしまいます。5〜7万円の裁量手当が出ますが、多くの社員にとっては実質賃下げです。サービス残業代を取り返した以下のような事例もつかの間の夢です。
[元ロータス社Aさんの場合]
 IBMに転籍すると、月50時間以上の残業が、自己申告で15時間上限にされてしまいました。品川労働基準監督署に申告すると、2ヶ月間は残業時間をきちんと申告でき、上司も把握していたが、3ヶ月目には逆戻り。再び労基署に相談し、抜き打ち検査が入るも改善なし。同僚のBさん、別の事業所のCさんとともに、労働組合の団交で取上げてもらったが、会社の反応はなし。Bさんが上司に「近日中に東京地裁か品川労基署に行く」と通告すると、翌日本社の人事部門の部長が来て「全額払います。」と言いました。Aさんは653時間分、Bさんは602時間分、Cさんは1200時間分の一部が支払われました。しかし、人事部長は「3人以外のサービス残業については知らない」とウソぶいたそうです。
[関西大学・森岡教授のコメント]
 会社に忠義を尽くしサービス残業にいそしんでも、いつクビを切られるか分からない時代です。働く側が自分たちの権利を主張しないと、会社は変わらない。−要は”社畜”からの脱却です。

「労災保険」を損保会社が肩代わり!?

 長時間労働が原因の脳・心臓疾患や過労死に対する労災認定が過去最高となる中、政府の総合規制改革会議が労災保険民営化の検討を打ち出しました。しかし、あまりにも問題がありすぎ、厚生労働省と労働団体がそろって反対しているといいます。
(1)過労死問題などで遺族と会社がその死因をめぐって対立している場合、民間損保がどれだけ公正に判断することができるでしょうか。例えば、F2社員が過労死し、労災保険の扱いが東京海上様だったとしましょう。F2はシステムの”値引き”や”無料サービス”を持ち出して労災をもみ消そうとしないでしょうか?
(2)自動車の自賠責保険は加入しないと車検が通りませんから強制力があります。労災保険に同様な強制力があるでしょうか?保険料逃れで労災保険未加入企業の増大が予想されます。
(3)災害が発生した場合、民間には強制捜査の権限がありません。そんな面倒でコストのかかる仕事をやるでしょうか?
(4)民営主体の米国では、保険給付に厳しい制限がつけられ、補償を受けるのは容易ではありません。ニューヨークの9.11テロ犠牲者の労災補償額は日本が米国の2倍だったといいます。