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楽しい職場みんなのF2

生産性向上を社員の幸福のために−Fマットセミナーより
2000年10月30日(月)18:40よりF2本社20階大会議室において(株)アシスト代表取締役ビル・トッテン氏の講演が開催されました。惜しみない拍手とともに共鳴した内容をご紹介します。
はじめに
ビル・トッテン氏は講演の最初にあたっておもむろにカバンから日の丸を取り出して正面にかかげました。他国ではこの講演会規模の集まりで国旗を掲げることは普通のことだそうです。氏はこの行動は日本への愛の現れと表現されました。講演を聴き進むにつれて、氏の愛する日本とは現在驀進している規制緩和と自己責任の日本ではないことに気づきました。
1.ITによる生産性向上が供給過剰を作り出した
ITの導入目的は生産性の向上以外にはありません。ところが日本では生産性の向上により供給過剰(デフレ)の状態が作り出されてしまいました。こうなると、企業間の競争が激化しつぶれるところも出てきます。つぶれないために経費を減らそうとリストラをしたり、海外で生産したりするようになります。こうなると失業、自殺、倒産、不良債権、麻薬、犯罪などがどんどん増えていきます。つまり供給が増えると常識とは逆に人々はより貧しくなっていきます。ところが、政府や大手の新聞はITの推進によりもっと供給を増やせと主張しています。ちょうど半世紀前に朝鮮、中国、シンガポール、フィリピン等を植民地化し戦争をあおったころと似ていませんか。
2.マネーゲームの行き着く先
現在Internetやeビジネスで中心になっているのは広報・営業・マネーゲームです。広報/営業活動の活発化は供給過剰のもとでの競争激化が原因です。また、個人消費が伸びなければそのための先行投資は不要になります。銀行に集まった貯金や生保会社へ積み立てられた保険料に健全な投資先はなく株式市場や国際通貨市場、地上げなどの「賭博」に向けられています。銀行や生保会社は賭博に勝てばその利益を独占し預金者や保険加入者には還元しません。また負けてもその負債は大蔵省に泣きつき税金で補填してもらうという構造になっています。現代の銀行強盗は銀行に押しかけ金を奪う徒ではなく預金者から金を奪う銀行そのもののことです。
3.企業は利益を求めるな
では、どうしたら良いのでしょうか。高度成長の時代の考え方=デミング賞の考え方を取り戻すことです。つまり、終身雇用・年功序列で年俸制はとらない。競争はせずみんなで協力しよい製品を作りことです。企業の目的を国民の幸福におき、そのために良い製品・サービス・雇用を供給することを使命とし、利益は目標としないばかりではなく、出してはいけない。現在の日本は暴利をむさぼることがよいこととされ、そのために企業は競争を激化させ首切りを行っています。また武士道を忘れアメリカの真似ばかりし、通信料金や高速道路料金、大店舗法などみなワシントンにお伺いを立てて決定しています。これは奴隷の行動です。
4.ITによる生産性向上を国民の幸福のために
1990年代の生産性は80年代の2倍、70年代の4倍、60年代の16倍になっています。しかしそれに比例した労働時間の短縮は実現されていません。生産性向上を労働時間と通勤時間の短縮、解放のために使うべきです。週休3日を実現しても、社員が毎週半分ずつ交代で勤務することにより企業活動は維持できます。青森に広い住居を構え、週3日東京でカプセルホテル暮らしで勤務してもゆとりある生活ができます。日本の個人消費は他の先進国の1.5倍、アメリカの1.2倍です。ところが、政府の消費は他国の半分です。その結果が地獄のような東京生活環境となっています。ヨーロッパ諸国では空気や水はきれい、働く人達のための保育施設は整っていて高齢者の医療は増やし、自由に使え乗り捨てできる自転車があります。日本は個人の成金を奨励するが社会を大切にしようとはしません。この傾向に拍車をかけるのが一匹狼(規制緩和、自己責任個人の自由、権限の拡大、個人の利益のみの追求)です。これでは社会を良くし、社会を豊かにする方向性は出てきません。トッテン氏は最後に憲法上の支配者である国民が国のことをすっぽかしているうちに経団連、日経連、銀行協会が暴利をむさぼっており、社会を良くするために支配者としての役割を果たそうと呼びかけて講演を終えました。